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大崎氏をはじめ葛西氏や伊達氏が勢力を伸ばした室町時代
室町時代になると状況は大きく変わります。岩手南部や宮城北部は葛西氏が制し、宮城北西部は大崎氏が治め、福島北部には伊達氏が台頭しました。
なかでも大崎氏は足利氏の有力一門であり、室町時代に幕府から奥州探題に任じられ、陸奥国一帯を支配しました。その館跡が古川市大崎にある名生館(みょうだて)遺跡です。当時はその館に、葛西氏や留守氏、伊達氏ら陸奥国各地の大名や国人(小領主など)が参集しました。
名生館の遺跡とは
ちなみに、名生館遺跡は7世紀末~平安時代にかけての官衙跡でもあり、これまでの通説を覆し、多賀城以前に、律令政府の支配がこの地域まで及んでいたことが明らかになっています。
中世の統治体制
①鎌倉初期
古代から続く郡を基本単位として、鎌倉御家人が地頭に就任して開発と統治を行いました。郡のほかには、荘園や保(私領)、陸奥国府を擁する高用名という所領が存在しました。
②鎌倉末期の北条氏所領
鎌倉中期以降、陸奥国の大部分が北条氏の支配下に置かれました。着色部が北条氏所領。
③戦国時代(天文期頃)
室町時代には、足利氏の支流・斯波(しば)氏が奥州の統括役として送り込まれました。斯波氏は大崎地方を領地として与えられ、大崎氏を名乗るようになったのです。
伊達氏の勢力拡大
伊達家は朝宗(ともむね)が初代で、福島県伊達地域を本拠としていました。その勢力が宮城県まで及んだのは南北朝の後半、九代政宗のころであるといわれます。江戸幕府開府後、初代仙台藩主となった政宗は、伊達家の十七代目です。
話を九代政宗に戻しましょう。この時代、大崎氏が圧政を敷いたため、宮城郡の国人が伊達氏に応援を頼み、伊達氏は留守(るす)氏の一族と協力して一揆(反乱)を起こしたのです。
伊達氏とともに戦った留守氏とは
留守家は鎌倉時代初期に多賀城の留守職として国務を行い、室町時代には岩切城を居城としていました。
大崎氏との戦いは、留守氏、大崎氏の内紛もからんで複雑ですが、結局は伊達・留守氏側が勝利し、大崎氏の領地であった出羽国置賜(でわのくにおきたま)地方などを手に入れました。のちに留守家は伊達家と婚姻関係を結び、伊達家の家臣になっています。
こうして伊達家の支配は、福島、宮城、山形の広域に及ぶようになり、奥州一の大大名に成長します。
伊達政宗が鎮圧した一揆
時代は下り、豊臣秀吉が天下統一を目前にして小田原攻め(1590年)を行ったとき、伊達政宗は遅参し、葛西氏や大崎氏は参陣できませんでした。秀吉はこれを理由に、葛西氏、大崎氏を改易。刀狩りや検地などを厳しく行いました(奥州仕置)。
その後、この地方の新領主に木村吉清(きむらよしきよ)・清久(ひよひさ)父子を据えましたが、苛烈な支配に旧葛西家、旧大崎家の家臣と領民が一揆を起こし、木村父子が籠城する佐沼城が陥落しそうになりました
秀吉の命でそれを鎮圧したのが伊達政宗です。この一揆で首を落とされた者、約2500人と伝わり、登米市役所迫(はさま)庁舎の北西の高台に、その首塚(首壇)が今も残ります。
伊達氏の貢献に対する豊臣秀吉の仕打ち
そうした功績にもかかわらず、秀吉は政宗の本領であった長井、伊達、信夫(しのぶ)、刈田(かった)などの6郡を没収。そのかわり、旧葛西・旧大崎領12郡を与え、陸奥岩手沢城(大崎市)に国替えを命じました。さらに、本領であった6郡を蒲生氏郷(がもううじさと)に与えたといわれます。政宗は、これらの仕打ちにじっと耐え、秀吉に恭順の姿勢を示しています。
伊達政宗はその後、岩手沢を岩出山と改め、1601(慶長6)年に仙台に移るまで、岩出山城を居城としていました。
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