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伊勢湾台風の被害が愛知県と三重県に集中
台風の接近にともない伊勢湾沿岸などで大規模な高潮が発生し、名古屋では平常時の潮位よりも3.5m高くなりました。その結果、伊勢湾・知多湾・渥美湾では海水がほとんどの防潮堤を乗り越え、広域で浸水被害をもたらしました。名古屋、桑名、津では海岸から10㎞以上離れた場所にも海水が到達。
この台風による死者・行方不明者は、最終的に5098名を数え、記録に残る台風被害としては最悪な数字となりました。しかもその9割が愛知県と三重県に集中しました。
伊勢湾台風の被害の原因と災害対策基本法
死者・行方不明者数の被害をここまで大きくした原因は高潮です。高潮は「気象津波」の異名をもつほど破壊力が強い現象です。
この台風は被災地名から「伊勢湾台風」と命名され、日本の防災計画の礎となる「災害対策基本法」という法律が制定されるきっかけとなりました。伊勢湾台風は今なお災害対策の指標として用いられています。
国民の生命・財産を脅かすような危機的な事態が差し迫っているときに「最大級の警戒」を呼びかけるために発表されるものが特別警報で、2013(平成25)年8月より提供が開始されました。台風に関するものとしては大雨、暴風、高潮、波浪が考えられますが、発表の目安として「伊勢湾台風クラス」が例示されています。
伊勢湾台風で高潮被害が甚大になった理由
では改めて、伊勢湾台風ではどうしてここまで高潮被害が甚大になったのでしょうか。
これには気象学的要因に加え地形も関係しています。まず、台風接近時は平常時よりも気圧が大きく低下します。すると、海水が上へと吸い上げられる「吸い上げ効果」が起こります。一般に、気圧が1hPa下がると海水面が1㎝上がります。
また、海面を強い風が吹き抜けると、風の力によって海水が吹き寄せられます。これを「吹き寄せ効果」といいます。台風の中心に近い伊勢湾周辺では最大風速40~50m/sの猛烈な風が吹きました。「吹き寄せ効果」の影響もかなり大きなものであったでしょう。
また、伊勢湾のような南側に面していて、さらに内陸側へ深く入り込んでいるような湾は、大規模な高潮が発生しやすい傾向にあります。伊勢湾台風のときも、台風の中心の東側に位置した伊勢湾では外海から湾内に向かって南寄りの猛烈な風が吹き込み、風とともに湾の奥に向かって大量の海水が流れ込んでいったため、より激しい高潮になったのです。
伊勢湾台風から考える災害への備え
近年では、2018(平成30)年の台風21号による顕著な高潮(大阪で最高潮位329㎝など)により、関西国際空港が浸水しました。
気象災害の激甚化が叫ばれる昨今、伊勢湾台風、あるいはそれを上回る規模の台風がいつ来襲してもおかしくありません。いざというときに慌てないよう平時からハザードマップを確認し、災害への備えを怠らないようにしたいものです。
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・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム
・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。
【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網
・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道
…などなど、意外と知られていない愛知の鉄道トリビアを厳選してご紹介。
【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!
・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?
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