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所沢飛行場での日本初の動力飛行

最初の飛行演習が行われたのは、開設から4日後の4月5日。徳川好敏(とくがわよしとし)陸軍工兵大尉がファルマン機で初飛行しました。シャフトの不具合により約1分で着陸しましたが、これが日本初の動力飛行となりました。

所沢飛行場での陸軍特別大演習

1912(大正元)年には、大規模な陸軍特別大演習が実施されました。参加師団は「北軍(侵入軍)」と「南軍(国防軍)」に分かれ、所沢は川越、立川とともに「会戦地」に設定。これは飛行機と飛行船が初めて参加した演習でもあります。

所沢飛行場での墜落死亡事故

1913(大正2)年、青山練兵場での観覧会の帰路に木村鈴四郎(すずしろう)陸軍砲兵中尉、徳田金一(とくだきんいち)陸軍歩兵中尉の両氏が突風により墜落、死亡。これが日本初の飛行機による死亡事故となりました。翌年には木村・徳田両中尉銅像記念塔が建てられ、現在も所沢航空記念公園内に見ることができます。

所沢飛行場と地域住民の想い

1931(昭和6)年の満州事変から軍事色が強まるなか、所沢地域の住民は「軍隊のない埼玉で、所沢は唯一非常時に日本を背負って立つ日本空軍の代名詞」という自負心をもつようになりました。市民による「飛行機献納運動」や「愛国耕作地」の取り組みが行われています。

所沢飛行場の敗戦後と現在の姿

所沢飛行場の敗戦後と現在の姿
園内にはさまざまな飛行機が展示されている所沢航空記念公園

1945(昭和20)年、日本の敗戦により所沢飛行場は米軍が接収。昭和30年代後半から返還運動が起こり、1967(昭和42)年には基地全面返還運動市民大行進が行われました。1971(昭和46)年から順次返還され、米軍施設は現在、所沢通信基地を残すのみ。跡地には所沢航空記念公園や公共施設、住宅などが建設されています。

所沢飛行場の敗戦後と現在の姿

所沢飛行場の敷地は、現在の所沢航空記念公園から米軍所沢通信基地、その西側の学校や病院に及んでいました。

女性パイロットの草分け・西崎キク

女性パイロットの草分け・西崎キク
写真:123RF

日本の女性パイロットの草分けで、1976(昭和51)年にはNHKの連続テレビ小説『雲のじゅうたん』のモデルとなった西崎キクは、児玉郡七本木村(現・上里町)の出身です。

1912(大正元)年に生まれ、埼玉県女子師範学校を卒業し小学校の教員となりましたが、尾島飛行場で見た飛行機に魅せられ、飛行士になることを決意。1933(昭和8)年に日本初の女性水上飛行機パイロットとなったのです。

その後、郷土訪問飛行や満州訪問飛行(女性初の航空機による日本海横断飛行)を成功。見事、ハーモン・トロフィーを受賞しました。

所沢航空記念公園

住所
埼玉県所沢市並木1丁目13
交通
西武新宿線航空公園駅からすぐ
料金
入園料=無料/所沢航空発祥記念館(展示館)=大人520円、小・中学生100円/所沢航空発祥記念館(大型映像館)=大人630円、小・中学生260円/共通券=大人840円、小・中学生320円/

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