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【愛知の県民性】尾張エリア・名古屋の人々の感性が独特な理由

尾張エリアを見ると、名古屋を中心に北部に尾張、西部に海部(あま)、南部に知多が構えます。

尾張は元々、東西交通の要衝にあって商業が盛ん。そうした土壌で、未来は自分の能力次第で開かれるものだ、という現実的かつ合理的な思考が備わりました。こうした考えは、地元の雄・織田信長に通ずるものがあります。同時に、尾張藩が「勤倹貯蓄」を奨励した影響があるかもしれない、「堅実さ」も尾張人の特徴です。

また、明治初期には新政府から冷遇されたため、他人を信用しない傾向もあります。貯蓄志向が高いいっぽう、株式運用などのリスクを嫌うのです。「一安二量三味(いちやすにかささんあじ)」といわれるように、価格の安さを最優先するのも尾張人特有の堅実さ。こうした価値観は見方を変えれば、「尾張はケチ」に映ってしまうのです。

尾張は、江戸時代以降、東西の狭間で歴史の中心地になれなかったためか、人々はどこか閉鎖的・排他的な気質をもち合わせています。とくに強烈な個性を放っているのが名古屋です。教育、就職、出産といったライフステージを東京や大阪などと変わらない水準でステップアップできるので、若者の上京志向は強くありません(帰趨本能も強い)。一生を名古屋で過ごす人も多く、独特の価値観が磨かれます。とりわけ、名古屋のファッションは、関東とも関西ともつかない独自性満点です。

【愛知の県民性】名古屋周辺地域の県民気質

名古屋周辺地域の尾張、海部、知多エリアは、名古屋と同様の気質を色濃く残すものの、それぞれ生態には細かな違いがあります。

たとえば津島(海部)は、織田信長のルーツとしての自負心が強く、名古屋よりも伝統的な尾張の気質を受け継いでいます。津島は町史に「薄情で上の者が下の者を助けない土地柄」と記されるように、個々の独立心が強いのです。薄情者ではありますが、自身の能力を信じて突き進む人間的な強さも併せもっています。

知多は、尾張エリアに属しながらも、方言は三河エリアに近く、双方の気質をミックスしたような人種が多いとされています。

【愛知の県民性】徳川家の伝統が色濃い三河エリア

いっぽう、徳川家康の出身地である三河エリアは、徳川家の伝統が色濃いです。三河武士団のように地元での団結心が強く、古くからのしきたりや風習を重んじる傾向があります。尾張と比べると、のんびりしている面もあります。

なかでも、岡崎を筆頭とした西三河は郷土に対するプライドが高く、「愛知=名古屋」という考え方に違和感はもちろん、嫌悪感さえ覚える住民も少なくないようです。トヨタのお膝元だから移住者も多く、ゆるやかに人種のミックスは進んでいますが、三河人としての自負心はしっかりと根づいているのです。

【愛知の県民性】三河エリアのなかでも東三河の県民性は異なる

渥美半島を含む東三河になると、三河気質に変化が見られます。影響を与えているのは各都市の産業構造です。

豊橋は商業、田原は農業、蒲郡は漁業といった土地を代表する産業が異なるため、生活リズムや風習に大きな違いがあります。たとえば、漁師が多い蒲郡は言葉も気性も西三河より荒いです。田原は農家独特の排他性がより強調され内にこもりがちです。

愛知の県民性の最大の特徴は家族を大切にしている点

このように県内のエリアによって気質はだいぶ異なりますが、共通している面もあります。それは、現代では失われつつある家族意識です。

愛知県は、3世代世帯数が都道府県別で最多。家族が近くで暮らす習慣があります(2016年国民生活基礎調査)。愛知では、若夫婦いずれかの実家の近所に自分たちの戸建てを新築、というケースも多いです。家族で「モーニング」を食べに出るのだって愛知らしさです。

愛知県民の通奏低音として、古くからの日本人的家族意識を大切にする文化があるのです。

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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く愛知の大地

・山地の三河と低地の尾張、愛知県が東高西低なわけ
・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム

・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。

【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網

・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道

…などなど、意外と知られていない愛知の鉄道トリビアを厳選してご紹介。

【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!

・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?

・・・などなど、興味深いネタに尽きない愛知の歴史。知れば知るほど愛知の歴史も面白い。

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