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中京工業地帯で工業が隆盛した理由
この地域で近代機械器具工業が盛んになったのは1890年代から。関東(東京)と関西(大阪)という巨大都市の中間に位置する地理的な条件(原料や製品の輸送が便利)、人口の多さ(労働人口が確保しやすい)、広大な濃尾平野(工業用地に恵まれている)、豊富な水量の河川(工業用水を確保しやすい)など、工業化に適した条件が揃っていたのです。
かくして中京地域は近代工業化への道を歩み始め、日清戦争の頃には時計、鉄道車両、自転車、織機などが製造されるようになります。
中京工業地帯の飛躍の一端はトヨタグループの原点でもある自動織機
なかでも注目したいのが織機です。もともと愛知県域(尾張・三河・知多)は江戸時代から綿織物の一大産地であり、いわば「繊維王国」でありました。
明治に入ったばかりの頃は、まだ伝統的な手織機が用いられていましたが、豊田佐吉が日本初の自動織機を開発。この豊田式織機はまたたく間に普及し、イギリスへも出荷するようになり、世界でも有数の綿織物業地帯となりました。豊田佐吉の創業した豊田自動織機製作所は、昭和初期に名古屋市長が自動車産業創出のために提唱した「中京デトロイト構想」に準じて自動車部門を開設します。
それが現在のトヨタ自動車へと発展していくのです。世界に冠たるトヨタグループも、そのルーツは愛知伝統の綿織物でした。
中京工業地帯の形成と発展
日露戦争(1904年)の頃になると、民間工場への軍需品の発注が急増し、中京の工業地帯はにわかに軍需工場化していきました。その傾向は第一次世界大戦(1914~1918年)を迎えると拍車がかかります。
大戦の影響でヨーロッパからの機械設備の輸入が停滞すると、重工業部門の国産化が進み、鉄鋼業や機械工業が発展。名古屋では明治末期に貿易の拠点となる港が完成していたこともプラスに影響し、中京工業地帯が形成されていきました。
中京工業地帯は激しい空襲を受けるも戦後復興を果たす
太平洋戦争の頃には愛知航空機、三菱重工業、中島飛行機など航空機産業が盛んになります。とりわけ三菱重工の名古屋発動機製作所第四工場では、航空機用エンジンの製造の分野では全国シェアの約40%を占めたといいますから、中京工業地帯が担った「軍都」としての役割は大きかったのです。そのため、戦争末期にはアメリカ軍の空襲の標的とされ、やがて工場だけでなく無差別に市民まで対象とされるようになり、1945(昭和20)年の名古屋大空襲では名古屋市のおよそ6割が焼失しました。
戦後の中京工業地帯は、戦前から培ってきた技術を生かして自動車産業や航空産業が盛んになりました。
また、名古屋港や四日市港(三重県)周辺ほか伊勢湾沿岸部に、石油化学コンビナートが建設されるようになります。高度成長期には四日市ぜんそくなどの公害病が社会問題となりましたが、現在までに厳格な環境基準が定められ、大気汚染は大幅に改善されました。
これからも中京工業地帯は「モノづくり大国・日本」の中核を担っていくことになるでしょう。
中京工業地帯にかかわる幹線道路と企業分布
名古屋や四日市などの沿岸部に、石油コンビナートや重工業の工場が立地するいっぽうで、輸送に便利な幹線道路沿いの内陸部にもトヨタグループをはじめとした製造メーカーが数多く工場などを構えています。
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・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム
・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。
【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網
・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道
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【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!
・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?
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