安房国（あわのくに）へ逃れた源頼朝が再起し、相模国へと戻ってきた1180（治承４）年、源頼朝は先祖・頼義の館があった大倉（雪ノ下三丁目付近）を本拠地としました。この地でのちに鎌倉幕府が開かれることになります。

やがて、執権北条氏が鎌倉幕府の実権を握るようになると、1225（嘉禄元）年、鶴岡八幡宮の南側の宇都宮辻子（小町二丁目付近）へと移転します。このあたりは執権北条氏の居宅が近いので、便宜を図ったものと思われます。

それからわずか10年後の1236（嘉禎２）年、今度は若宮大路（雪ノ下一丁目付近）へと移りますが、移転理由は明らかにされていません。以降、1333（元弘３）年に新田義貞によって鎌倉幕府が攻め滅ぼされるまで、幕府の政庁は若宮大路に置かれ続けます。

1184年、すでに鎌倉に入府していた源頼朝は、この父祖伝来の地に父・源義朝の菩提を弔う寺を建てることを決めました。翌1185年、源頼朝は鎌倉大御堂ヶ谷（現在の鎌倉市雪ノ下）に勝長寿院（しょうちょうじゅいん）を建立し、京から届けられた義朝の首を埋葬したのです。

勝長寿院は事実上の将軍家の菩提寺として重視され、鶴岡八幡宮（鎌倉市雪ノ下）や永福寺（鎌倉市二階堂）と並び「鎌倉三大寺社」のひとつとされました。

なお、『吾妻鏡』によると、鶴岡八幡宮で暗殺された３代将軍・源実朝（さねとも）（頼朝の次男）の亡骸も同寺に埋葬されたと記されています。

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