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東京タワー建設の経緯
当時、各テレビ局が建てていた電波塔は150m程度の高さ、送信範囲は半径70kmほどであり、関東一円を網羅できるものではありませんでした。そこで持ち上がったのが、300m級の高い鉄塔を建設して電波塔を一本化する計画です。
東京タワーの所有者である日本電波塔株式会社の創設者となった前田久吉は、「どうせ造るなら、世界一のエッフェル塔の高さをしのぐものを」との思いを抱き、見た目にも美しい東京の新名所を目指して建設プロジェクトを立ち上げたのです。
東京タワー建設は設計から難航!設計図は1万枚に及んだ
東京タワー設計の責任者を任されたのは、建築構造学者の内藤多仲(たちゅう)。内藤はすでに名古屋のテレビ塔や大阪の新通天閣など、30基近い鉄塔を手がけていました。
しかし、いくら高層建築の権威といえども、相手はこれまでにない、世界一高い建築物。当然のことながら、設計は難航し、電卓さえない時代であったことから構造計算だけで3か月を要し、作成された設計図は1万枚におよんだといわれます。
東京タワー建設の課題とそれを克服した高度な技術とは
特に課題となったのが、耐震性と耐風性です。地震と台風が多い日本にあって、建設地は東京湾から吹く強風にさらされる場所。結果的に、東京タワーの建設にあたっては、部材を三角形に組み上げることで構造的な安定度を高められるトラス構造が採用されることになりました。部材同士を完全に固定せずにあえて余裕をもたせ、揺れを吸収する工夫も施されました。
4本の塔脚は4000tの重さに耐え、鉄柱は90mの風速に耐えらえる構造になっていて、鳶職人は命綱なしで高所作業を行い、納期を守るため風速15mまでなら作業を続けたといいます。
完成から60年以上が経過している高層建築ですが、東京タワーの建設に用いられた核となる技術は、現代においても十分に通用するほどの高水準とされています。
東京タワーの建設は職人の技術の粋を結集し、手作業で組み立てた!
東京タワーの建設工事が開始されたのは昭和32(1957)年6月で、増上寺(ぞうじょうじ)の墓地を一部取り壊して進められました。翌々年初頭の開業が決定していたため、工期はわずか1年半。異例のスピード工事を実現させるために、鳶職人をはじめとする優秀な技能者が全国から集められました。
重機などの建設技術が今ほど発達していない時代だけに、鉄骨を運び上げるまでは機械でしたが、組み立てはすべて手作業です。例えば、鉄骨をつなぐ鋲の受け渡しでは、炉で800℃に熱したものを鉄製の箸ではさんで放り上げ、上にいる者がそれをバケツでキャッチ。それを28万回繰り返す、といった高所作業が行われていたというから驚きです。
毎日、朝6時から12時間のフル稼働、急ピッチで、延べ約22万人が工事に関わり、30億円もの巨費を投じて、なんとか予定の日程で竣工。各分野のプロたちがもつ技術の粋を集めて東京タワーは完成しました。
東京タワーの色の秘密
ところで、東京タワーの色が赤(厳密にいうとインターナショナルオレンジ)と白の2色で塗り分けられていることにも理由があります。実は一定の高さ以上の建物はこの色を使わなければいけないと航空法で定められているからなのです。
外観の総塗装面積は9万4000㎡、使うペンキは3万4000リットルという途方もない量が用いられます。現在でも5年に1度の周期で、延べ約9000人が約1年かけて外観塗装の補修を行います。すべてハケを使って人の手で塗られているというから驚きです。
現在の東京タワー周辺地図
当初は上野公園付近も建設候補地でしたが、地盤の強固さ、各放送局への近さなどの理由から芝公園に決定。
東京タワーが建つ前のこの界隈は、紅葉山と呼ばれて、能楽堂、老舗料亭や西洋料理店などが並んでおり、政財界の社交場として機能していました。
東京タワー
- 住所
- 東京都港区芝公園4丁目2-8
- 交通
- 地下鉄赤羽橋駅から徒歩5分
- 料金
- メインデッキ=大人1200円、高校生1000円、小・中学生700円、4歳以上500円/(障がい者と同伴者1名半額)
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・多摩川によって作られた? 東京に広がる武蔵野台地
・昭島市はかつて海だった!? アキシマクジラ発見の衝撃
・御神火が生んだ島々、伊豆諸島の誕生と火山の関係
・実は立川市内にはない? 東京の活断層「立川断層」とは?
・玉川兄弟が江戸まで引いた ! 標高差わずか92mの玉川上水
・23区内は坂だらけ? 900以上の名前を持つ坂がある
・凸凹を考えて見てみるとおもしろい! スリバチ状の地形が点在する東京
・渋谷は谷が密集してできた街だった
・千鳥ヶ淵はダムだった !?
・荒川と隅田川に囲まれた低地はなぜできたのか? 海抜ゼロメートル地帯江東デルタ
・“荒ぶる川”荒川の流路付け替え
・地下の大宮殿!? 日原鍾乳洞
・火山活動で誕生した島々の進化の歴史 、小笠原諸島の成り立ち
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【見どころ】Part.2 東京を駆け抜ける鉄道網・交通網
・海の中を走る鉄道だった!? 日本初の鉄道が新橋~横浜で開通
・馬車鉄道から始まった東京の都市交通機関、60年にわたる路面電車の活躍
・日本の発展を支えた100年。帝都の玄関口、東京駅開業
・関東大震災以降、東京は郊外へと拡がった。田園調布の開発と私鉄の発展
・地下鉄は銀座線から始まった/東京地下迷宮! 幻のホームとは!?
・64年東京五輪のレガシー “夢の超特急”東海道新幹線開通!
・都電荒川線が唯一存続した理由
・新宿駅がビッグターミナルになるまで
・高尾山ケーブルカーは日本一の急勾配!?
・五街道の起点となった日本橋
・勝鬨橋は幻の万博のために作られた
・首都高速の誕生と未来/東京の交通網の未来予想図
…etc.
【見どころ】Part.3 東京で動いた歴史の瞬間
・天之手力雄命と菅原道真公を祀る 古代に創建された湯島天満宮
・片田舎の武蔵野は関東随一の大国だった
・文武両道の才人、太田道灌が江戸城を築城
・八王子城の落城と戦国時代の終焉
・江戸幕府開府と家光で完成した大都市
・迫られる外交方針 ! 徳川家光が定めた「鎖国」体制
・江戸を襲った明暦の大火
・江戸を恐怖の底に陥れた安政の大地震
・徳川慶喜の思惑が外れた大政奉還
・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
・“玉砕の島”硫黄島の悲劇
・条件降伏と玉音放送
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・敗戦から19年目の東京五輪
・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
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【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化
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・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
・西洋スタイルの銀座煉瓦街が誕生
・日本初の第一国立銀行は日本橋で誕生した
・一丁倫敦と呼ばれた丸の内 職人が手作業で組み立てた東京タワー
・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
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