太田道灌の活躍と悲劇の最期
享徳の乱は幕府方、山内・扇谷両上杉方と鎌倉公方方が争い、鎌倉公方・足利成氏は下総国古河(茨城県古河市)に追いやられ、古河公方と名乗ることになります。そんな中、山内上杉の家臣、長尾景春が反乱を起こし、景春軍から両上杉家を守るため、45歳の道灌は4年間で30回以上も出陣したといわれています。
太田道灌の采配により長尾景春の反乱を鎮めると、主家扇谷上杉家の勢力が広がり世の中も平定されました。ところが、乱が静まったと思った矢先、文明18(1486)年太田道灌は55歳で主君の上杉定正(うえすぎさだまさ)によって暗殺されるという悲劇で生涯を終えました。これは、主君が道灌の力を恐れたからといわれています。
太田道灌の文芸の才能
悲劇的な最期をとげた太田道灌ですが、武芸だけでなく、文芸にも秀でた人物として評価されています。太田道灌は江戸城を文化サロンとしても利用しました。京都相国寺の僧を招いた際は、城内の静勝軒で歓迎の宴を催し、こうした場面では、自ら舞を舞うこともありました。
太田道灌亡きあとも、彩色した舟を隅田川に浮かべ、歌を詠み、笛や鼓を奏した船遊びをするという会は、江戸城で連歌会などに引き継がれました。
太田道灌死後の江戸城
太田道灌といえば、江戸城を築いた関東武士として伝説的な人物で、関東各地に道灌像が建てられています。
太田道灌の死後、扇谷上杉家は急速に力を失い、小田原・後北条家が武蔵に進出、扇谷上杉家は川越へと敗走し、江戸城は徳川家康の時代を迎えるまで小田原城の支城として、後北条家の拠点として活用されることになります。
太田道灌が築城した江戸城の「江戸」の語源
江戸城の江戸の地名はどこからきたのでしょうか。
平安時代の後期、武蔵国豊島郡江戸郷(としまぐんえどごう)として江戸の地名が出てきます。語源は、入江(江)の入口(戸)にあります。それは現在の皇居前から日比谷公園にかけてあった入江といわれています。
もう1つは、平安時代後期、桓武平氏の流れをくむ秩父一族の平重継が江戸郷を開発、江戸四郎を名乗り、桜田(皇居付近)の高台に屋敷を構えたことに由来するといいます。江戸四郎の子孫はやがて坂東8か国に勢力を拡大しますが、次第に江戸氏の勢力は衰え江戸から去りました。江戸氏が江戸を去った後に入ったのが太田道灌です。
江戸城はどんな城なのか
江戸城は康生2(1456)年、道灌によって築城が始まったとされます。川越城・岩付城(岩槻)の築城も同じころに太田道真・道灌父子によって進められました。
太田道灌の築いた江戸城は、入江や川にのぞむ、高く険しい崖の上に築かれました。子城、中城、外城、の3つの独立した曲輪から成り、周囲に垣をめぐらしています。曲輪の間には深い濠を掘り飛橋をかけて敵の攻撃に備えていました。
太田道灌の築いた江戸城は、その後の江戸城の原型になりました。
太田道灌は品川にも築城していた?
太田道灌は多くの城館を築きましたが、品川にも城を築きました。後に、徳川将軍の鷹狩りのために築かれた御殿山あたりといわれます。太田道灌が江戸城を築くと、別の人物が配されました。
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