湯島天神の歴史：創建
湯島天神がこの地に創建されたのは、地理的位置が重要だったからと推察されます。江戸時代でも境内の男坂は、本郷台地と低地を結ぶ道の役割も果たしていたように、湯島天満宮は台地と低地を結ぶ高台の縁に位置しているからです。
時代が下り、正平（しょうへい）10（1355）年、郷民の勧請（かんじょう）により菅原道真公の偉徳を慕い、文道の大祖と崇めて本社に勧請し併せて奉祀したことで、湯島天満宮は天之手力雄命と菅原道真公の2つの祭神をもつ神社となりました。
湯島天神の歴史：天神信仰とは
菅原道真公を祀る天神信仰は、神さまとして崇められるようになる菅原道真公の神霊に対する信仰です。
菅原道真は大宰府に左遷され当地で亡くなりましたが、その後、菅原道真を左遷した藤原時平は39歳の若さで死亡し、左遷を支持した人物は落雷により死亡。京都では地震、落雷などの天災地変、干ばつ、洪水、疫病などが続き、それらは菅原道真の怒りの表れといわれ、恐れられるようになりました。当時は怨霊に対する御霊信仰や雷神信仰が盛んだったのです。
その後も宮中では災いが相次ぎ、これらは、若くして優秀で出世も早かった菅原道真の学問に対する事績や人柄から、文学、詩歌、書道、芸術の神として菅原道真を崇める信仰へと変化し、天神信仰となって各地に天神さま、天満宮が建立されていくようになります。
現在も、天満宮は学問の神様として人々の厚い崇拝を集めています。
湯島天神の歴史：湯島天神を保護した徳川家
文明10（1478）年、江戸城の基をつくった太田道灌（おおたどうかん）は、江戸に入ると湯島天満宮を再建しています。また、天正18（1590）年、江戸城に入った徳川家康は翌年、豊島郡湯島郷に朱印地を寄進、一般の信仰がさらに深まりました。
湯島天満宮は関東における北野天満宮の文霊社中もっとも有力な社のひとつで、江戸に出開帳の際は湯島天満宮が使用され、徳川将軍も代々にわたり保護。特に、元禄16（1703）年に火災で全焼したとき、5代将軍・綱吉は金500両を寄進しています。
綱吉の時代には、湯島聖堂が上野から現在地の昌平坂（しょうへいざか）に移転してきたこともあり、湯島天満宮とともに、湯島は文教の中心となり、新井白石（あらいはくせき）など文人、学者の参拝が多くなりました。
現在でも学問の神様として信仰を集め、入学試験合格祈願の参詣人でにぎわっています。その時期は折しも、菅原道真にゆかりの梅の開花とも重なっています。
現在の湯島天神周辺
湯島天満宮の周辺には、文教の中心といわれるように神田神社や湯島聖堂が近くにあるほか、東京大学も近いです。
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