勝鬨橋とはどんな橋?
関東大震災からの復興を果たし、2つのビッグイベントの開催を迎える高揚感のなか、東京ではさまざまな準備が行われていました。その成果のひとつが、隅田川河口部に築造された日本最大規模の可動橋「勝鬨(かちどき)橋」でした。
勝鬨橋が日本初の可動橋になったのはなぜ?
昭和15(1940)年に完成した勝鬨橋は、月島と築地間の交通不便を解消し、埋め立てが進んでいた晴海・豊洲地区の開発支援のために建造されました。橋長246m、有効幅員22mで、当時は東洋一の規模を誇りましたが、最大の特徴は、日本初の両開きの跳ね橋という点にあります。
可動橋にした理由は、当時の隅田川は上流の両岸に石川島造船所や三菱、住友などの倉庫が建ち並び、行き来する大型船を通す必要があったため。通常は橋として人や車を通し、1日に数回開橋して、遡上する大型船も通すことができる可動橋となりました。中央部の約50mの可動部分が両側に最大約70度まで跳ね上がり、70秒で「ハ」の字に開きました。
橋の上には都電のレールも通っており、当時の最先端をいく高度で複雑な仕組みが注目を集めました。建築計画が持ち上がったときにはアメリカの会社から援助の申し出がありましたが断り、日本人の手で設計・施工した、日本初の跳開橋でした。
勝鬨橋には東京万博で世界の人々を歓迎するメインゲートという側面も
勝鬨橋が跳開橋(ちょうかいきょう)とされたのには、別の理由もありました。万国博覧会で、各国から船で訪れる人々を歓迎するメインゲートとしての役割も持たせられていたのです。計画では、月島の埋立地(現在の晴海地区)にパビリオンを建て、万博後には東京市の市庁舎にする予定でした。その会場へ、ゲートを上げて導く勝鬨橋は「万博の顔」となるはずだったのです。
つまり、壮麗な見た目、日本の技術力の誇示などが、設計段階から十分に考慮されていたのです。
勝鬨橋は稼働停止以降も高く評価され続けている
当時の勝鬨橋は、1日に5回、最盛期には1日7回、20分ずつ開いていました。しかし、戦後に橋上の交通量が増加し、船舶の通行量は減少して、昭和45(1970)年11月29日を最後に開閉は中止されています。
それでも、その価値は衰えず、2007年には、日本の橋梁技術史上、高い価値がある橋梁として国の重要文化財に指定され、2017年には「機械遺産」にも認定されました。1998年からは夜間ライトアップが行われており、周辺を散策しながら幻の万国博覧会と東京五輪に思いを馳せてみるのも一興です。
勝鬨橋周辺地図
現在の勝鬨橋周辺の地図。橋が開閉していた当時は、船が通ると20分間は通行止めとなるため、橋の交通量が増えると渋滞の原因となりました。
名称は、日露戦争の勝利を記念して築地~月島に設けられた渡し場「勝鬨の渡し」に由来します。
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