目次
日本初の鉄道が新橋～横浜で開通
公共輸送を目的とした日本初の鉄道が、新橋～横浜に開通したのは明治5（1872）年のこと。新橋停車場（のちの国鉄汐留駅）に明治天皇、皇族、各国公使、政府首脳を迎えて、10月14日に鉄道開業式典が盛大に執り行われました。
明治天皇をはじめとする参列者一行を乗せた特別列車は、新橋を午前10時に出発し1時間かけて終点の横浜停車場（現在の桜木町駅）へ到着。蒸気を吐きながら走る陸（おか）蒸気をひと目見ようと、大勢が沿線に群がったといいます。
日本初の鉄道は4か月前に仮開業していた品川～横浜間？
一般的には、この新橋～横浜の開通が日本最初の鉄道といわれていますが、実は、これに先立つこと4か月前の6月12日に品川～横浜が仮開業しました。この仮開業区間は、新橋～横浜の本格開業への前段階と位置付けられています。
日本初の鉄道の開通と技術躍進
いずれにせよ鉄道の開通は、長距離移動の時間を大幅に短縮させるものでありました。技術の発達とともに、明治37（1904）年には甲武鉄道により飯田町～中野が電化。以降、鉄道の電化は急速に進み、明治42（1909）年には、品川～赤羽、池袋～田端でも電車運転が開始されました。
鉄道の開通を阻んだ軍備優先派の西郷隆盛
鉄道の開通は、わが国の都市化を支える礎となりましたが、最初から事がすんなりと運んだわけではありませんでした。
当時の国庫には余裕がなく、「植民地主義を推し進める西洋列強に対抗するための軍備増強を最優先すべし」と唱える西郷隆盛らは、鉄道建設に猛反対。さらに、藩邸や兵部（ひょうぶ）省（軍務機関）の海軍操練所などがあった新橋から品川にかけての土地の買収問題も鉄道建設の行く手を阻みました。
日本初の鉄道の問題解決をした大隈重信の提案
鉄道の建設を主宰した大隈重信は、問題解決策として高輪（たかなわ）～品川に海上鉄道を走らせる案を掲げました。海の中に長い土手を築いて、そこに鉄道を敷くことを指示。鉄道工事のためにイギリスから日本へ招かれていた建築師長のエドモンド・モレルは、あまりにも大胆で奇想天外な発想に「海の中へ鉄道を造れと言われたのは初めてだ」と、あきれたといいます。
そして、資金難の問題は、工事請負業者への報酬をお金で払うのではなく、工事でできた埋め立て地の一部を無償で貸すことで解決。工事途中で反対派からの妨害や脅迫に遭いましたが、135日を費やし、約3万坪を埋め立てて工事は完了しました。
日本初の鉄道利用料金はどれくらいだった？
お金といえば、新橋～横浜の運賃は、3等級に分かれていて、「上等」は1円12銭5厘、「中等」は75銭、「下等」は37銭5厘。当時の米の値段が、1.5kgで4銭だったのと比べると、かなり高額だったことがわかります。
長距離移動が飛躍的に便利になったとはいえ、開業当初の鉄道は、一般の人々が気軽に利用できる乗り物ではなかったようです。
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