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京成スカイライナーの高速走行を可能にした技術

スカイライナーは、それまで京成本線経由だったものを、2010(平成22)年7月に開業した京成高砂~成田空港間の成田スカイアクセス(京成成田空港線)経由にルート変更。これは、北総鉄道北総線の終点だった印旛日本医大駅から成田空港方面に新規路線を延伸した路線で、スカイライナーは、印旛日本医大までが最高時速130㎞、以東の新規路線では同160㎞で運転されます。

この運転に当たり、まず分岐器(ポイント)が改良されました。分岐器は一般に、レールが分かれる構造上、途中のクロッシング部に欠線、つまり隙間が生じて高速運転に支障をきたします。そこで、クロッシング部のノーズと呼ばれる尖った部分を動くようにし、隙間をなくした「ノーズ可動クロッシング」を採用。これは新幹線で見られる方式で、在来線では京浜急行電鉄、北越急行ほくほく線などにも採用されています。レールの隙間がないため、高速走行が可能になるわけです。

成田湯川駅に設置された「38番分岐器」

さらに、成田湯川駅では成田空港側で単線になり分岐器が必要となるため、時速160㎞の高速走行で分岐できる日本一の「38番分岐器」が敷設されました。これは、上越・北陸新幹線が分かれる高崎駅付近に使用されているものと同形で、もちろんノーズ可動クロッシングです。

京成スカイライナーの安全性を高めた色灯式信号機

安全のため、色灯式信号機にも工夫が施されました。従来の「進行=G(緑)」に加え、「高速進行=GG」が用いられています。信号機にGが縦にふたつ並んで点灯現示され、時速160㎞運転が可能なことを示すしくみです。また、「抑速(よくそく)」と呼ばれるYGF(橙・緑のフリッカ点滅現示)を採用、さらに安全性を高めています。

京成スカイライナー「AE形」のデザインは山本寛斎氏プロデュース

車両のAE形は、2010年の開業区間を走るスカイライナーのために開発されました。高速運転に備えて列車選別装置を設け、地上子(ちじょうし)に列車種別を送信。信号機の高速進行(GG)を現示させています。

主電動機には、出力175キロワットの強力な三相交流誘導電動機を搭載。客室では気圧変動を抑えるため、走行中のドアをシリンダで押さえる新幹線と同様の構造を採用しています。

また、「風」をイメージしたスピード感ある流線形の車体は山本寛斎氏のプロデュース、デザインです。こうした地上設備や車両が渾然一体となり、スカイライナーは時速160㎞という高速にして、安全かつ快適な運転を実現しているのです。

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・恐竜時代の岩石がむき出しの見て楽しい銚子のジオ巡り
・火山がない県なのに鴨川に海底火山が流出?
・繰り返される巨大地震の爪痕・南房総に発達する海岸段丘
・鋸山の絶景をつくった「房州石」とはどんな石?

・・・などなど、千葉のダイナミックな自然の成り立ちを解説。

【注目2】古代から中世、江戸時代、近現代の千葉の歴史を一望

・ふたつの大型環状貝塚からなる巨大な加曾利貝塚の謎
・32基もの古墳がつくられた富津の内裏塚古墳群とは?
・鴨川市小湊がゆかりの地、高僧・日蓮の波乱に満ちた生涯
・坂東太郎の流れを変えた徳川家康の利根川東遷
・日本地図を完成させた佐原村の名主・伊能忠敬の素顔
・廃藩置県で26県もあった千葉県域をどうやって統一?

・・・などなど、千葉の歴史のポイントがわかる。

【注目3】千葉を駆け巡る鉄道網をはじめ、千葉で育まれた文化や産業を紹介

・民鉄最高速160キロでスカイライナーが走れる理由
・成田空港線の高架橋は成田新幹線の遺構だった
・登山鉄道も計画された小湊を目指した小湊鉄道
・かつて千葉市の中心駅は京成千葉駅だった!?

・・・などなど、千葉を走る鉄道網の秘密に迫る。

また、銚子港が水揚げ量日本一を誇る理由や明治期最先端の土木技術が光る海の要塞・第二海堡とは?、皐月賞や有馬記念の舞台として知られるJRA中山競馬場の誕生秘話・・・など、千葉県にまつわる文化・産業の面白話もたっぷりと紹介します。

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