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成田山新勝寺と人気歌舞伎役者・初代市川團十郎

中世に寺が廃れる時期はありましたが、江戸時代、成田山新勝寺が佐倉藩の祈願所となって復興。江戸庶民のあいだでは、半ば信仰で半ば娯楽の「成田詣で」(なりたもうで)が大流行します。この隆盛に大きくかかわったのが、歌舞伎役者である初代市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)です。

市川團十郎の屋号が「成田屋」なのはなぜ?

團十郎は、千両役者になったが子に恵まれませんでした。そこで、1687(貞享4)年、実家近くの成田山新勝寺に通い、一心に祈願したところ、翌88(元禄元)年に長男・九蔵(くぞう)(2代目・團十郎となる)を授かりました。大いに喜んだ團十郎は成田山を厚く信仰し、屋号を「成田屋」としました。

市川團十郎の屋号が「成田屋」なのはなぜ?

成田山新勝寺に設置されている七代目市川團十郎寄進の石造

成田山新勝寺の人気を後押しした「出開帳」

さらに、人気の原動力となったのが出開帳<(でかいちょう)です。これは、秘仏(本尊)を外に持ち出して開帳する仏事で、成田山新勝寺では、1703(元禄16)年の夏に初めて江戸深川の永代寺(えいたいじ)で開催。

時を同じくして、團十郎と九蔵の親子が、祈願により子を授かった実体験を元にした演目『成田山分身不動』を上演し大当たり。

こうして、「成田詣で」は江戸庶民から不動の人気を得ることとなりました。また、深川での開帳後、本尊が5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院(けいしょういん)の参拝を受けたこともまた、庶民人気を後押ししました。

成田山新勝寺の人気は明治時代以降も継続

明治時代に入り総武鉄道、成田鉄道が敷かれると、東京からの参拝がより身近なものとなりました。両鉄道会社が集客合戦を繰り広げたこともあり、1903(明治36)年には、成田駅の乗降客数は53万人と千葉駅を押さえて県内1位を記録しています。

戦時下には戦勝祈願・武運長久祈願が流行

また、日清・日露戦争では、霊験あらたかだとして「成田山の身代わり札」が人気を博しました。成田山新勝寺の住職・石川照勤(いしかわしょうきん)は、広島にある大本営へ赴いて、身代わり札6000枚を奉納しています。日中戦争勃発以後、第二次世界大戦にかけての戦時下でも成田山の不動信仰は衰えず、戦勝祈願・武運長久祈願が盛んに行われました。

戦時下には戦勝祈願・武運長久祈願が流行

成田山新勝寺の額堂

成田山新勝寺は教育文化事業も展開

なお、新勝寺では、明治後半に成田中学校(現・成田高校)の創立など5つの教育文化事業を行っています。当時県内には、中学校は千葉中学校があるだけで、そうした時代に私立中学校を創設した意義は大きいでしょう。

成田山新勝寺

住所
千葉県成田市成田1
交通
JR成田線成田駅から徒歩10分
料金
情報なし

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