【茨城の地形】北部は古い岩石、南部は新しい堆積物
筑波山塊に新生代初期(約6000万年前)の花崗岩類や変成岩類が分布するいっぽう、北部の山塊では三畳紀(さんじょうき)~ジュラ紀頃(約2億年~1億5000万年前)に大陸から供給された砂や泥などの堆積物と海洋底プレートから付加された石灰岩やチャートといった海洋堆積物をいっしょに見ることができます。このように、海嶺(かいれい)で形成された海洋プレートが移動し、堆積物などとともに大陸プレートの下へ沈み込もうとする際、それらが大陸側にはぎ取られてくっついたものを付加体といいます。
また、平野が開けた県南〜県西には、第四紀(約258万年前以降)の海底で堆積した砂や泥の層が広く分布します。その上に、赤城山や日光男体山など西にある火山の火山灰や軽石が厚く積もった関東ローム層を形成、台地をなしているのです。このように、茨城はおおむね、北部は古い岩石、南部は新しい時代の堆積物からなっています。
【茨城の地形】発見される地形形成の証拠
久慈川中流域に金鉱山!?
久慈川中流域には、西金、盛金、金砂郷といった「金」がつく地名がありますが、これはエリアがかつて金の産地だったことに起因しています。八溝山地を構成する岩石には、しばしば石英でできた白い筋(石英脈)が見られ、ここに少量の金が含まれることがありそれを鉱山で採掘していました。近年まで観光金山(栃原金山)がありましたが、これもすでに操業を停止し金山は姿を消しています。
金砂郷(かなさごう)古生物群とは?
1990年代、常陸太田市大里町(当時は金砂郷町大里)に分布する久米層(約400万年前)の露頭で約1000点もの化石が採取されました。内訳はイバラギホタテなどの貝類68種、ブナなどの植物39種、ウニ類やカニ類、有孔虫類、フジツボ類、深海生のホカケダラといったさまざまな魚類や鯨類で、総称して金砂郷古生物群と呼ばれます。
化石群は、地域がかつて海だったことを意味し、多種多様な生物化石が採取された裏には、海底地すべりの影響が考えられています。もともと浅海底には貝類や植物が堆積していましたが、ここで海底地すべりが発生し堆積物が深海へ運ばれ再堆積したとされます。
茨城で火山由来の鹿沼土(かぬまつち)!?
培養土として広く知られる鹿沼土は、栃木県鹿沼市産の軽石の総称です。
約4万4000年前に赤城火山から噴出された軽石で、通気性のよさ、適度な保湿性、雑菌をほとんど含まないこと、肥料分を逃さない吸着性、強酸性といった特徴があります。この軽石は噴出した際、偏西風に乗って東へ流され茨城県にも降り積もりました。県域で見られる赤城鹿沼軽石層は、日立市で厚さ約15㎝、笠間市で約50㎝にもなり、茶褐色の関東ローム層の中に黄色い帯状の層として認められます。関東ローム層もまた、富士山や箱根山、御嶽山などさまざまな火山(灰)に由来する地層です。
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日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。茨城の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地
・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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