更新日: 2024年8月26日
『星の王子様』の作家「サン=テグジュペリ」の生涯~世界的名作童話で知られる作家の人生とは
フランス・リヨン市街の中心地にあるベルクール広場には、300超の言語に翻訳された名作童話『星の王子さま』(1943年)の作者、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの像が立ちます。
世界的な作家であると同時に、草創期の航空路開拓に貢献した飛行士でもあるサン=テグジュペリの生涯を追ってみましょう。
危険を伴う飛行士と作家の兼業を行ったサン=テグジュペリ
1900年6月29日に貴族家系の長男として生まれたサン= テグジュペリは、4歳で父を失いますが、母方の祖母らが暮らす城館で幸せな幼少期を過ごしました。
12歳で初めて飛行機に乗ると、少年は空を飛ぶことへの憧れを強くします。成人し、ついにフランス空軍に入隊するものの地上勤務を命じられます。飛行訓練を受けられずにいましたが、彼は自費で民間飛行機の操縦免許を取得するほどの熱意を持っていました。
除隊後は不遇の会社員時代を過ごしていましたが、空への夢を捨てきれず、26年に郵便サービスを手がけるラテコエール航空会社に入社。念願だった飛行士の道を歩み始めます。パイロットとして定期飛行したのは、南仏のトゥールーズからアフリカ、ダカールまでの航路。やがて、サハラ砂漠にある中継基地、キャップ・ジュビーの飛行場長に就任すると、不時着して行方不明になったパイロットの捜索という危険な任務も課せられました。このときの冒険的な飛行体験をもとに綴ったのが初の長編小説『南方郵便機』(1929年)です。次いで夜間航空路の開拓のために赴任したアルゼンチンでの経験をもとに『夜間飛行』(1931年、フェミナ賞)を出版。飛行士として活躍するかたわら執筆に情熱を注ぎ、作家としての名声を高めていきました。
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