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スーダンは、2つのナイルが交わる地

スーダンの首都ハルツームは、青ナイルと白ナイルの合流地点にできた街です。エチオピア高原に水源を持つ青ナイルと、遠くウガンダからたどり着いた白ナイルがハルツームでひとつになり、エジプトへと下っていきます。川の流れと同じく、人や文化もこの地で交わり、時に衝突しました。

スーダンの歴史

紀元前11〜紀元4世紀、スーダン北部にはクシュ王国が存在しました。クシュはエジプトの影響を受けながら独自のメロエ文字を生み出し、貯水池やピラミッドを建設するなど、高度な文明を築いていました。

5世紀にキリスト教が到来し、マクリア王国などが栄えます。やがて後発のイスラム教が北アフリカを席巻しますが、スーダンではしばらくキリスト教が勢力を保ちました。イスラム教を奉じるセンナール王国が成立したのは、1504年です。その後はイスラム化が進みましたが、キリスト教や伝統宗教の信仰は現在も根強く残っています。

現代のスーダン

19世紀にエジプトのムハンマド・アリー朝に征服され、後にイギリスとエジプトの共同統治下に置かれました。1956年に独立するも、北部のアラブ系と南部の非アラブ系の対立が続きます。2000年代には、西部のダルフール地方で非アラブ系住民へのジェノサイド(大量虐殺)が発生し、国際社会の非難を浴びました。

2011年に、南部が南スーダンとして分離独立。2019年にはクーデターでスーダンのバシル独裁政権が崩壊しました。スーダンの政情はいまだ、安定する気配を見せていません。

スーダンを知るキーワード

スーダンのキーワード:ハルツーム包囲戦

1885年、植民地時代の首都ハルツームが反乱軍により陥落、英国ゴードン将軍が戦死し英国民に衝撃を与えました。13年の短い独立でしたが、スーダン史における意味は大きいのです。

スーダンのキーワード:メロエのピラミッド

エジプトより多い200基以上のピラミッドが残っています。クシュ王国の都だったメロエはその中心。19世紀のイタリア人盗掘者による破壊が、恨みをこめて語り継がれています。

スーダンのキーワード:シュモクザメ

美しいサンゴ礁が残る紅海には、世界中からダイバーが集まります。いかつい頭を持つシュモクザメは外見とは裏腹に、人を襲うことはありません。

スーダンのキーワード:アラビアゴム

アカシア科の木の樹脂、アラビアゴムの一大産地がスーダン。ガムシロップや医療品の錠剤などに用いられ、世界中の人が口にしています。

スーダンのキーワード:ハブーブ

乾季に砂漠から巻き上がるハブーブ(巨大砂嵐)が町を襲います。人々は慣れたもので、子どもたちは砂まみれで元気に外で遊ぶらしい。

スーダンのキーワード:ダルフール紛争

バシル政権時代、スーダン西部のダルフール地方で民兵が非アラブ系の住民を大量虐殺。世界最悪の人道危機といわれました。民族対立は今も続いています。

スーダンのキーワード:金をめぐる暗闘

スーダンは金の産出国。貧しいこの国にとって貴重な輸出品ですが、武装勢力による密輸も横行。その行き先は、中東のドバイだといいます。

スーダンのキーワード:美を求める民族

スーダン南部のヌバ山地に住む先住民族ヌバ。肉体美を追求することが美徳とされ、男性は顔や体に化粧を施し、レスリングに情熱を傾けています。

スーダンのキーワード:トーブ

スーダンの女性が着る、色鮮やかな伝統衣装。同じイスラム教国でも、黒一色のアバヤを着る女性が多い中東諸国とはまるで別世界です。

スーダンのキーワード:結婚式でミルクを吹く

スーダンの結婚式では、新郎新婦がミルクを口に含んで相手に吹きかけるという伝統的な習慣があります。ミルクは清純さの象徴だとか。

スーダンのキーワード:アビエイ

スーダンの南に位置するアビエイは、南スーダンとの係争地。スーダンが実効支配中です。

スーダンのキーワード:スーダン映画

スーダン政府が規制を強める前は、アフリカ映画を牽引していました。障害を持つ娘を描くドキュメンタリー『ビバ・サラ!』は、巨匠ガダラ・グバラの代表作。

スーダンの著名人

スーダンの著名人:難民出身のモデル アレック・ウェック

南スーダンのワーウ出身。内戦を逃れてイギリスへ移住しました。アフリカ系モデルの草分けとして活躍。スーダン難民の窮状を世界に訴えています。(1977〜)

『地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域』好評発売中!

ヒット商品『地図でスッと頭に入る』海外シリーズの第4弾。宗教・民族対立、石油資源競争・・でつねに紛争の絶えない中東は、昔から日本人にとって遠い存在の地域であり続けた。しかしながら、日本がもっとも石油資源を依存している地域でもあり、われわれ日本人はこの地域に無関心ではいられないはずである。また、中東および中央アジア、北アフリカはイスラム教が最も普及しており、イスラム教なくしてこの地域を語ることはできないほどである。
本書は、これら中東・中央アジアの国々について、他の関連図書よりもわかりやすく解説する入門書となることを目指します。

その国や地域の概略がスッとわかる、1カ国ごとに見て楽しいイラストマップを掲載

好評を得た「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」「同 ヨーロッパ47カ国」「同 アジア25の国と地域」に次ぐ第4弾。日本人にはなかなか馴染みのないその国について知っておきたい知識がスッと頭に入ります。この本を読んでおけば、日本にいる中東出身の人たちともコミュニケーションが盛り上がること間違いなし。
また、ヨーロッパ版では1カ国につき2ページの展開でしたが、今回の中東版では主要な国と地域についてはページを増やして、より詳しく紹介しています。

掲載している国・地域

イラン/イラク/トルコ/シリア/レバノン/イスラエル/パレスチナ(ヨルダン川西岸、ガザ地区)/サウジアラビア/クウェート/バーレーン/カタール/アラブ首長国連邦/オマーン/イエメン/エジプト/スーダン/リビア/チュニジア/アルジェリア/モロッコ/アフガニスタン/カザフスタン/ウズベキスタン/キルギスタン/タジキスタン/トルクメニスタン/アゼルバイジャン/ジョージア/アルメニア

【監修者】高橋和夫 (たかはし・かずお)

福岡県北九州市生まれ、大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒、コロンビア大学国際関係論修士、クウェート大学客員研究員、放送大学教員などを経て2018年4月より一般社団法人先端技術安全保障研究所会長。主な著書に『アラブとイスラエル』(講談社1992年)、『イスラム国の野望』(幻冬舎、2015年)、『世界の中の日本』(放送大学教育振興会、2015年)、『中東から世界が崩れる』(NHK出版、2016年)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会、2018年)、『国際理解のために(改訂版)』(放送大学教育振興会、2019年)、『中東の政治』(放送大学教育振興会、2020年3月)、『最終決戦トランプVS民主主義―アメリカ大統領選挙撤退後も鍵を握るサンダース』(ワニブックス、2020年7月)など。

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