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覚えておきたい経済用語~ニュースでよく耳にする専門用語をわかりやすく説明 画像:123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年8月7日

覚えておきたい経済用語~ニュースでよく耳にする専門用語をわかりやすく説明

経済界には、さまざまな専門用語があります。
ニュースなどでよく目にするけれど、意味があいまいかも・・・という単語、意外とありませんか?
用語の意味を知っておくことで、経済をより深く理解できるようになりますよ。

経済用語:基礎知識・メカニズム編

GDP

「名目」と「実質」では、どこがどう違うのか?

Gross Domestic Productの略。日本語では「国内総生産」と訳され、一定期間内に国内で生産された付加価値を合計したものを示します。付加価値とは、個人や企業が商品・サービスに対して付け加えた価値のことです。このGDPは国の経済規模を表す際に使われますが、名目GDPと実質GDPの2つがあります。名目GDPはGDPから物価の変動による影響を差し引いていないもの、実質GDPは名目GDPから物価の変動による影響を差し引いたものです。

GNI

最近よく使われる国の経済規模を示す指標

Gross National Incomeの略で、日本語では「国民総所得」。GDP同様、国の経済規模を表す際に使われる指標です。両者が異なるのは、海外からの所得が加わるか否かという点。GDPが国内で生産された付加価値を合計したものを示すのに対し、GNIは居住者が国内外から得た所得を合計したものを示します。近年は企業の海外活動が活発化したり、海外投資が増加したりしているため、GNIを使うケースが増えてきています。

経済成長率

どれくらい経済が成長したかを測る

経済規模が大きくなれば、GDPが増加します。そのことを経済成長といいます。経済成長の度合いは経済成長率で表し、一般的にはGDPの年間の増加率をパーセンテージで表します。近年の世界全体の経済成長率は減速傾向にあり、2023年は2.6%と低い水準にとどまりました。24年の予測も2.4%で、3年連続の減速です。世界的にインフレが根強く、それに対応するため各国の中央銀行が金利水準を引き上げたことが影響しています。

インフレ・デフレ

どちらにもメリットとデメリットがある

物価が上がり続ける状態をインフレ(インフレーション)といいます。消費が活発化し、企業の売り上げが増え、従業員の給料がアップするなど、好景気のときに起こりやすい特徴があります。ただし、お金の価値が下がってしまうため、行きすぎたインフレはよくありません。インフレとは逆に、物価が下がり続ける状態をデフレ(デフレーション)といい、不景気のときに起こりやすい特徴があります。物価が下がって生活しやすくなりますが、消費者の買い控え心理からモノが売れにくくなり、企業も投資意欲を喪失。社会にお金が回らず、景気が悪化していきます。そして、景気の低迷と物価下落が相互に作用すると、デフレ・スパイラルという悪循環へ陥るのです。

インフレ・デフレ

スタグフレーション

景気低迷+物価上昇でもたらされる最悪な状況

景気が後退して需要が落ち込み、物価が下がり続ければデフレとなります。しかし、不景気であっても物価は上昇するケースもあります。1970年代にオイルショックが起こり、石油製品などの価格が上昇したことがありましたが、まさにそうした状況です。景気が後退しているのにインフレが同時進行したり、インフレで物価が上がっているのに景気が後退してしまう――。この経済現象をスタグフレーションといいます。「不景気」を意味するスタグネーションと、「物価上昇」を意味するインフレを結びつけてできた造語がスタグフレーションです。

スタグフレーション

貿易黒字・赤字

過度な赤字が続くと国家間対立の原因にもなる

その国が貿易でどれくらい稼いでいるかを調べる際には、貿易収支をみます。貿易収支は輸出額から輸入額を引いたもので、それがプラスになれば貿易黒字、マイナスになれば貿易赤字となります。貿易黒字が増えるとGDPが増加したり、自国通貨が高くなったりする傾向を示すのに対し、貿易赤字が増えるとGDPの減少、自国通貨安などの傾向を示します。アメリカは中国との貿易で巨額の赤字を出しており、貿易収支は1980年代からマイナスが続いています。そのことが近年の米中対立の原因の一つになりました。日本は2010年まで30年間にわたって貿易黒字が続いていました。しかし、2011年に貿易赤字となり、それ以降、2015年まで貿易赤字が続きました。

貿易黒字・赤字

サプライチェーン

グローバル化で複雑化・大規模化が進む

サプライチェーンとは、原材料や部品の調達から完成品の配送、販売に至るまでの一連の流れのことで、供給網ともいいます。供給(サプライ)が鎖(チェーン)のように連なる様子から、こう呼ばれるようになりました。かつてのサプライチェーンは国内や周辺国だけで完結してしまうこともありました。しかしながら、現代ではそうはいきません。グローバル化とともに、多くの企業が人件費の安い国、政治的なリスクの少ない国に拠点を移すなどし、現代のサプライチェーンは複雑化・大規模化しています。

外貨準備高

国際的な信用の目安となる指標

外貨準備高は、その国の信用を測る目安になる指標です。各国の政府や中央銀行が、外国為替市場に介入したり、対外債務を決済したりするときのために資産を準備しています。それを外貨準備高といいます。外貨準備高が大きいほど、国際社会で「為替相場の急激な動きにも対応できる国」「対外債務の返済力が高い国」などと評価され、信用力が高まるわけです。その内訳は、現在の基軸通貨であるドル建て資産(米国債など)を中心に構成する国が多くみられます。2023年のデータでは、中国が3兆3,710億ドルで世界一。第2位は日本で1兆2,540億ドル、第3位はスイスで8,860億ドルと続きます。日本はほかのG7諸国に比べると多いため、経済対策や財政再建に活用すべきとの声も上がっています。

債務残高

増える世界の債務 日本は世界一の借金大国

「日本は世界一の借金大国」などとよくいわれますが、世界全体で借金は増えています。IIF(国際金融協会)の報告によると、2023年における世界の債務残高は313兆ドルで過去最高を更新。過去10年で100兆ドルの増加です。アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、日本などの先進国が経済成長の鈍化やコロナ禍後の物価高などが原因で債務を増やし、全体を押し上げました。ただし、先進諸国のなかでも日本の状況は深刻とされています。日本の債務残高を対GDP(国内総生産)比でみた場合、日本はGDPの2倍超でワースト1位。先進諸国の比率が0.6~1.5倍であることからも、いかに突出しているかがわかります。国が債務返済能力を疑われると、国債や通貨に対する信用が失われ、ひいては国の財政破綻につながりかねません。将来世代に負担を先送りしないためにも、対応策が求められるところです。

債務残高

デフォルト

借金を返済できなくなった国は破綻することに

国が財政難などで債務を返済できなくなると、デフォルト(債務不履行)と呼ばれる状況に陥ります。デフォルトはそれほど珍しいことでもなく、過去に何度も起こっています。たとえば1980年代にはメキシコとブラジルがデフォルトに陥り、1998年にはロシアも財政危機に直面しました。2000年代以降も01年と14年と20年にアルゼンチン、08年にエクアドル、15年にギリシャ、22年にロシアなどと、デフォルトした国は意外とたくさんあります。財政危機に陥った場合に手助けしてくれるのがIMF(国際通貨基金)で、融資や経済再建のアドバイスなどをしてくれます。ただ、15年のギリシャのデフォルトの際には15億ユーロを融資したにもかかわらず、期限を過ぎても返済されませんでした。

デフォルト
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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