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割と登場が新しいウズベク族がいるウズベキスタン
アムダリア沿いの肥沃な土地は、東西貿易の中継地。古代からソグド人らが栄え、7〜8世紀にイスラム教が広がりました。以降はイラン系王朝が来て、13世紀にはモンゴルが来襲。その後14世紀後半にサマルカンドを都とするティムール朝が興こり、現在のトルコまでを支配しました。
ティムールは東西交易のルートを自分の支配領域に導き入れて、莫大な利益を得ました。そこではサマルカンドのような壮麗な都市が造られました。同時にライバルの都市を破壊します。ティムールは創造と破壊の征服者でした。その帝国を滅亡させたのが、南下してきたウズベク人だったのです。
ウズベキスタンの歴史
ウズベク人はティムール朝を滅ぼすと、16世紀に3つのハン国を内包する王朝を建てました。やがて権力は3ハン国に移りますが、いずれも19世紀に南進するロシアに屈します。革命が起こりロシアがソ連に変身すると、1924年にウズベク・ソビエト社会主義共和国が誕生。スターリンは知識人を粛清し、ティムールは残虐な征服者の烙印を押されました。
1991年のソ連崩壊で、ウズベキスタンは独立しました。それから歴史再評価の流れが生まれ、ティムールは国民的英雄へと担がれ、1996年には生誕660年記念祝典が盛大に開かれました。ウズベキスタン独立後には独裁体制を敷く一方、ナショナリズムを育成したカリモフ大統領は2016年に死没。後任者は反対に開国路線を打ち出しており、ウズベキスタン民主化に対する期待が高まっています。
ウズベキスタンを知るキーワード
ウズベキスタンのキーワード:ウズベキスタンといえば
ウズベキスタンは天然ガスを自国で使う他、パイプラインで国外輸出しています。大規模灌漑で栽培する綿花や、世界屈指ムルンタウ鉱山の金も外貨の稼ぎ頭です。
ウズベキスタンのキーワード:サマルカンド
13世紀にモンゴル軍が破壊するもティムール朝が再建した古都。神学校が並ぶ広場や青い霊廟が敢行の定番ですが、ティムール像も見てあげてみてください。
ウズベキスタンのキーワード:古都ブハラ
13世紀にモンゴル軍が破壊するも、ウズベク王朝が再建。旅人は青いミナレットに、セレブはここ原産のカラクール羊の毛皮にため息をつきます。
ウズベキスタンのキーワード:干上がるアラル海
化学肥料と塩が貯まる最悪の環境破壊の現場です。ソ連が自然より綿花栽培用の灌漑を選んだため、世界で4番目に大きかった湖が10分の1になりました。
ウズベキスタンのキーワード:キジルクム砂漠
ウズベキスタンのど真ん中にあり、国土を東西に分けています。完全な不毛の地ではなく、羊やラクダが放牧され、金まで眠っています。
ウズベキスタンのキーワード:肥沃なフェルガナ渓谷
中央アジアで最も肥沃な地。ウズベキスタンと周辺国との国境が複雑に絡んでいます。ウズベク領の街の市場は賑やかで、模様がある丸パンやハミーメロンが並んでいます。
ウズベキスタンのキーワード:まっすぐな国境線
ソ連は意地悪なことに、ウズベキスタンとの国境線をカスピ海手前に引きました。もしカスピ海に面していたら石油とキャビアが採れ、二重内陸国を回避できました。
ウズベキスタンのキーワード:ジャディード
19〜20世紀のイスラム近代化改革運動とその参加者のこと。中央アジアでは、ウズベキスタンが運動の中心です。近年になって再評価が進んでいます。
ウズベキスタンのキーワード:リシタン焼き
フェルガナ地方リシタンの赤土と、遊牧民の繊細な手仕事が生み出す千年の歴史を持つ逸品。人気が高くウズベキスタン国内の各地に卸しています。
ウズベキスタンのキーワード:国民食プロフ
中央アジア一帯でポピュラーなピラフ。ウズベキスタンではマトンが主流で、大鉄鍋カザンで豪快に作ります。首都タシュケントの中央アジア・プロフセンターでどうぞ。
ウズベキスタンのキーワード:カラカルパクスタン共和国
ウズベキスタン内の自治共和国。独自言語を話すカラカルパク人が暮らしています。アラル海が干上がったため、生活の糧の1つである漁業ができません。
ウズベキスタンの著名人
ウズベキスタンの著名人・初代大統領:イスラム・カリモフ
ウズベキスタンの独立後25年間大統領を務めました。反対勢力の弾圧、報道規制、児童労働黙認から最悪の独裁者の1人とされた元共産党員の親日家。(1938〜2016)
ウズベキスタンの著名人・元新体操選手:アリーナ・カバエワ
タシュケント生まれロシア育ち。2004年アテネ五輪で金メダルを獲得した後、ロシア国営メディアの役員になりました。プーチンの愛人らしい。(1983〜)
『地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域』好評発売中!
ヒット商品『地図でスッと頭に入る』海外シリーズの第4弾。宗教・民族対立、石油資源競争・・でつねに紛争の絶えない中東は、昔から日本人にとって遠い存在の地域であり続けた。しかしながら、日本がもっとも石油資源を依存している地域でもあり、われわれ日本人はこの地域に無関心ではいられないはずである。また、中東および中央アジア、北アフリカはイスラム教が最も普及しており、イスラム教なくしてこの地域を語ることはできないほどである。
本書は、これら中東・中央アジアの国々について、他の関連図書よりもわかりやすく解説する入門書となることを目指します。
その国や地域の概略がスッとわかる、1カ国ごとに見て楽しいイラストマップを掲載
好評を得た「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」「同 ヨーロッパ47カ国」「同 アジア25の国と地域」に次ぐ第4弾。日本人にはなかなか馴染みのないその国について知っておきたい知識がスッと頭に入ります。この本を読んでおけば、日本にいる中東出身の人たちともコミュニケーションが盛り上がること間違いなし。
また、ヨーロッパ版では1カ国につき2ページの展開でしたが、今回の中東版では主要な国と地域についてはページを増やして、より詳しく紹介しています。
掲載している国・地域
イラン/イラク/トルコ/シリア/レバノン/イスラエル/パレスチナ(ヨルダン川西岸、ガザ地区)/サウジアラビア/クウェート/バーレーン/カタール/アラブ首長国連邦/オマーン/イエメン/エジプト/スーダン/リビア/チュニジア/アルジェリア/モロッコ/アフガニスタン/カザフスタン/ウズベキスタン/キルギスタン/タジキスタン/トルクメニスタン/アゼルバイジャン/ジョージア/アルメニア
【監修者】高橋和夫 (たかはし・かずお)
福岡県北九州市生まれ、大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒、コロンビア大学国際関係論修士、クウェート大学客員研究員、放送大学教員などを経て2018年4月より一般社団法人先端技術安全保障研究所会長。主な著書に『アラブとイスラエル』(講談社1992年)、『イスラム国の野望』(幻冬舎、2015年)、『世界の中の日本』(放送大学教育振興会、2015年)、『中東から世界が崩れる』(NHK出版、2016年)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会、2018年)、『国際理解のために(改訂版)』(放送大学教育振興会、2019年)、『中東の政治』(放送大学教育振興会、2020年3月)、『最終決戦トランプVS民主主義―アメリカ大統領選挙撤退後も鍵を握るサンダース』(ワニブックス、2020年7月)など。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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