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海賊海岸と呼ばれていたアラブ首長国連邦

乾燥した厳しいアラビア半島に住む人々は、古くから遊牧、通商、狩猟、略奪など多方面に才を発揮し何とか生計を立ててきました。17世紀、西欧がインドと中東の間に通商路を開くと、ペルシャ湾南岸のアラブ人は商船を襲い始めます。イギリス人は、この地域を海賊海岸と呼びました。

海賊海岸とイギリスの関係

1819年、イギリスはアラブ人の本拠地ラスアルハイマを攻撃しました。翌年に首長らと休戦協定を結び、海賊行為を中止させました。このとき協定を結んだ首長の支配地域が、今日のアラブ首長国連邦の原型となっています。

1853年には恒久休戦条約が結ばれ、海賊海岸は休戦海岸と名を変えました。協定締結を機にイギリスは影響力を強め、1892年にこの地を保護領としたのです。その後、第二次大戦後の海外からの撤退の流れのなかで、1971年にイギリスはペルシャ湾岸から撤退。これを受け6首長国が独立し、翌年にラスアルハイマが参加して7首長国となります。バーレーンとカタールは、単独での独立を選択しました。

近年のアラブ首長国連邦

首長国の中では、アブダビがリーダー格で大統領の職を代々継承しています。アブダビの力の源泉は、豊かな石油収入です。オイルマネーがアブダビを変えました。

近年はドバイが貿易と金融の中心として急成長しました。その理由の1つは、2001年アメリカ同時多発テロで欧米が中東マネーを警戒したため、アラブが投資先を欧米からドバイに切り替えたためです。この両輪が回る限りアラブ首長国連邦は安泰です。

アラブ首長国連邦を知るキーワード

アラブ首長国連邦のキーワード:ドバイのブルジュ・ハリファ

ドバイのシンボル、高さ828mの超高層ビル。他国の建設計画が不景気などで滞ったため、完成から10年以上経っても高さ世界一です。

アラブ首長国連邦のキーワード:ドバイのドレスコードはまちまち

国際都市ドバイでは、外国人の服装はかなり自由です。その感覚で他の保守的な首長国へ行くと、地元の人から凝視されてしまうかもしれません。

アラブ首長国連邦のキーワード:7人の君主

アラブ首長国連邦を構成するのは、7つの首長国とその世襲首長。税負担は領土と経済が大きいアブダビとドバイだけですが、他首長国に割と気を使っています。

アラブ首長国連邦のキーワード:光り輝くモスク

ドバイ、アブダビに次ぐ第三の都市シャルジャは、アラブ首長国連邦の文化の中心地。年に一度の「光の祭典」では、まばゆいモスクが夜の闇に浮かび上がります。

アラブ首長国連邦のキーワード:ご当地アニメ

若者を中心にアニメ好きが多く、国産の作品が増えつつあります。ドバイを舞台にした中東初の3Dアニメ「フリージ」は、大人気を博しました。

アラブ首長国連邦のキーワード:おれたちゃ海賊

17〜19世紀、ペルシャ湾ではアラブの部族がイギリス船を襲う海賊行為が頻発しました。現在の首長の先祖たちも、昔は海賊のお頭だったのです。

アラブ首長国連邦のキーワード:投資で世界を操る

アラブ首長国連邦のアブダビ首長国は、膨大な石油収入を原資に投資ファンドを運営しています。運用資産額は約7000億ドルで、世界経済への影響は無視できません。

アラブ首長国連邦のキーワード:アルアインの街

アラブ首長国連邦の内陸部のアインは砂漠のオアシスから発展した歴史ある都市で、紀元前2500年頃の建造物跡も残っています。アインは「泉」という意味。

アラブ首長国連邦のキーワード:アブムサ島領有権問題

イランが実効支配中で、アラブ首長国連邦も領有を主張。付近の海域はタンカーが通行する要所です。

アラブ首長国連邦のキーワード:シールバニーヤース島

アラブ首長国連邦の初代大統領ザーイドが情熱を注いだ生物保護区。アラビアオリックスやガゼルの他、元来はこの地域にいないキリンまで放し飼い。

アラブ首長国連邦のキーワード:デーツでおもてなし

乾燥した砂漠でも育つナツメヤシの実、デーツは昔から愛好される貴重な栄養源です。スパイシーなアラビックコーヒーとの相性は抜群。

アラブ首長国連邦の著名人

アラブ首長国連邦の著名人:インフルエンサー ハムダン皇太子

アラブ首長国連邦ドバイのイケメン皇太子。資産家、馬術のチャンピオン、詩人など多彩な顔を持ち、インスタグラムのフォロワーは1400万人を誇ります。(1982〜)

『地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域』好評発売中!

ヒット商品『地図でスッと頭に入る』海外シリーズの第4弾。宗教・民族対立、石油資源競争・・でつねに紛争の絶えない中東は、昔から日本人にとって遠い存在の地域であり続けた。しかしながら、日本がもっとも石油資源を依存している地域でもあり、われわれ日本人はこの地域に無関心ではいられないはずである。また、中東および中央アジア、北アフリカはイスラム教が最も普及しており、イスラム教なくしてこの地域を語ることはできないほどである。
本書は、これら中東・中央アジアの国々について、他の関連図書よりもわかりやすく解説する入門書となることを目指します。

その国や地域の概略がスッとわかる、1カ国ごとに見て楽しいイラストマップを掲載

好評を得た「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」「同 ヨーロッパ47カ国」「同 アジア25の国と地域」に次ぐ第4弾。日本人にはなかなか馴染みのないその国について知っておきたい知識がスッと頭に入ります。この本を読んでおけば、日本にいる中東出身の人たちともコミュニケーションが盛り上がること間違いなし。
また、ヨーロッパ版では1カ国につき2ページの展開でしたが、今回の中東版では主要な国と地域についてはページを増やして、より詳しく紹介しています。

掲載している国・地域

イラン/イラク/トルコ/シリア/レバノン/イスラエル/パレスチナ(ヨルダン川西岸、ガザ地区)/サウジアラビア/クウェート/バーレーン/カタール/アラブ首長国連邦/オマーン/イエメン/エジプト/スーダン/リビア/チュニジア/アルジェリア/モロッコ/アフガニスタン/カザフスタン/ウズベキスタン/キルギスタン/タジキスタン/トルクメニスタン/アゼルバイジャン/ジョージア/アルメニア

【監修者】高橋和夫 (たかはし・かずお)

福岡県北九州市生まれ、大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒、コロンビア大学国際関係論修士、クウェート大学客員研究員、放送大学教員などを経て2018年4月より一般社団法人先端技術安全保障研究所会長。主な著書に『アラブとイスラエル』(講談社1992年)、『イスラム国の野望』(幻冬舎、2015年)、『世界の中の日本』(放送大学教育振興会、2015年)、『中東から世界が崩れる』(NHK出版、2016年)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会、2018年)、『国際理解のために(改訂版)』(放送大学教育振興会、2019年)、『中東の政治』(放送大学教育振興会、2020年3月)、『最終決戦トランプVS民主主義―アメリカ大統領選挙撤退後も鍵を握るサンダース』(ワニブックス、2020年7月)など。

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