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日露戦争は満州をめぐって日本とロシアが激突(1904年)

日露戦争のポイント

ポイント1.日露戦争は帝国主義の代理戦争の様相を呈する
ポイント2.日清戦争の勝利で日本は欧米列強から注目される存在となった
ポイント3.日本の“まさか”の勝利はアジア諸国から大いに称賛される

日露戦争に勝利した日本はアジアの新リーダーとなる

日本も帝国主義の勢力争いと無縁ではありません。1894年、日本はイギリスとの戦争に負けて落ち目になっていた清と朝鮮の独立をめぐって争い(日清戦争)、優勢な軍事力で勝利しました。これによって日本は清に代わるアジアの盟主となりました

その後、日本は北の大国ロシアと衝突する。ロシアはシベリア鉄道による南下政策をとっており、大陸進出をうかがう日本と1904年に中国東北部の満州をめぐってぶつかります。日露戦争の勃発です。

地図の見方:日露戦争は、英米が支持する日本対仏独が支持するロシアという構図に。日清戦争に続いてまたも勝利した日本は、植民地化されたアジア諸国の希望の星となった

日露戦争は帝国主義の代理戦争であった

日露戦争は帝国主義の代理戦争でした日英同盟を結ぶイギリスと、ロシアの南下を警戒するアメリカは日本を支持。一方、露仏同盟を結ぶフランスと、日本・イギリスを警戒するドイツはロシアを支持していました。日露両国は互いの支持国から資金を調達して戦争を行なったのです。

日本は日本海海戦で勝利するなど戦局を有利に進め、革命に揺れるロシアを下します。日本の勝利は「ヨーロッパに対するアジアの勝利」と称賛され、植民地となった国々を刺激します。

日露戦争:その時日本は!?

韓国併合

日本は1904年、日韓議定書を結び、朝鮮半島内での軍事行動の自由を確保した。その後、徐々に韓国政府の権限が委譲され、1910年には韓国を併合した。

第一次世界大戦が勃発(1914年)~人類初の世界戦争は三国同盟と三国協商が激突~

第一次世界大戦勃発のポイント

ポイント1.三国同盟三国協商が対立
ポイント2.戦車、毒ガス、飛行機などの新兵器が登場し各国とも総力戦になった
ポイント3.ドイツ革命でドイツ帝国が崩壊すると大戦は終わりに向かう

第一次世界大戦は三国同盟対三国協商の戦争

日露戦争でロシアが敗戦すると、ヴィルヘルム2世率いるドイツが台頭してきます。ドイツはオーストリア、イタリアと三国同盟を結んでおり、それに対抗するためイギリス、フランス、ロシアは1907年に三国協商を締結。このふたつのグループが「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれるバルカン半島で衝突することになりました。

地図の見方:三国同盟と三国協商の対立が世界中を巻き込んだ戦争に発展。戦いは熾烈を極めたが、ドイツ帝国の崩壊で連合国が勝利した

第一次世界大戦の引き金となった「サラエボ事件」

バルカン半島ではロシアの支援を受けたセルビアが南スラヴ人地域の統一を目指していました。そうしたなかオーストリアがボスニア・ヘルツェゴビナを併合したため、セルビア人青年がオーストリア皇太子夫妻を暗殺。このサライェヴォ事件を受けてオーストリアが1914年7月にセルビアに宣戦布告すると、ロシアがセルビアを支援したことから、三国同盟と三国協商(連合国)を中心とした世界戦争へと発展したのです

1917年にはアメリカも連合国側で参戦。翌年にはドイツ革命でドイツ帝国が崩壊し、4年にわたる戦争は終わりを告げます。

第一次世界大戦勃発:その時日本は!?

大戦景気

第一次世界大戦中、日本には連合国側から軍需品の注文が殺到し、空前の好景気に。工業生産額が農業生産額を抜き、都市人口が増えるなどして急速に近代化が進んだ。

現在のパレスチナ紛争の発端となったイギリスの3枚舌外交(1917年)

イギリスの三枚舌外交のポイント

ポイント1.ユダヤ人の間でシオニズム運動が盛り上がっていた
ポイント2.ユダヤ人もアラブ人も帝国主義と野合して自分たちの利益を追求していく
ポイント3.イギリスの三枚舌外交が今日のパレスティナ紛争の原点になる

シオニズムを指示したイギリス

「20世紀最大の負の遺産」といわれるパレスティナ紛争。この国際問題は、第一次世界大戦の混乱のなかで原因が生じていました。

19世紀末以来、ユダヤ人の間で「パレスティナにユダヤ人国家を建国しよう!」という運動が行なわれていました。このシオニズムといわれる運動に目をつけたイギリスのバルフォア外相は1917年、戦争資金を調達するため、ユダヤ系財閥ロスチャイルドにユダヤ人国家の建設を支持すると明言しました(バルフォア宣言)

地図の見方:イギリスはユダヤ人、アラブ人、露仏のそれぞれと矛盾する約束を交わす。それが混乱を招き、現在に続くパレスティナ問題が生じることになった

矛盾する3つの約束

ところがイギリスはその2年前、アラブ人に対して独立国家建設を承認しています(フサイン・マクマホン協定)。さらにフランス、ロシアとの間で「パレスティナとメソポタミアをイギリスが支配する」という密約も結んでいました(サイクス・ピコ協定)

これら3つの約束はそれぞれ矛盾する内容で、たとえばアラブ人国家の建設予定地にユダヤ人国家が含まれていたりします。いまに続くパレスティナ紛争には、イギリスの三外交が大きく影響していたのです。

イギリス三枚舌外交:その時日本は!?

大正デモクラシー

世界的に民主主義が広まるなか、日本でも吉野作造がデモクラシーを唱え、民意の政治を求めた。これを大正デモクラシーといい、普通選挙を求める運動が推進された。

世界恐慌が起こりブロック経済とファシズムが生まれる(1929年)~世界は再び戦争へと向かう~

世界恐慌のポイント

ポイント1.ヴェルサイユ体制はドイツとソヴィエトを警戒するものであった
ポイント2.1929年の世界恐慌が潮目を変える
ポイント3.“持てる国”の経済のブロック化が第二次世界大戦の一因になった

ヴェルサイユ体制ができる

第一次世界大戦は連合国側の勝利で終わります。1919年には敗戦国とドイツ、ソヴィエト抜きで講和会議が開かれ、ドイツ再興の阻止とソヴィエト警戒のふたつを柱にした国際体制がとられることになりました。

この国際合意をヴェルサイユ体制といいます。

地図の見方:植民地や資源をもっている国はブロック経済で世界恐慌に対処したが、もっていない国は軍事力による植民地獲得に乗り出し、両者がぶつかることになった

世界恐慌によって国際対立が激化!再び戦争の道へ

ヴェルサイユ体制は列強主導の国際協調体制となって進み、1928年には国家間の対立を戦争で解決しないとする不戦条約へと発展します。しかし翌年、ニューヨーク株式市場の株価が大暴落し、世界恐慌が発生すると国際対立が激化してしまいます。

イギリスやフランス、アメリカなどは不況対策として自国と植民地で貿易圏をつくり他国を排除するブロック経済(保護貿易主義)を推進します。一方、植民地や資源のないドイツやイタリア、日本ではファシズムが台頭し、軍事力による植民地獲得に乗り出しました

こうして国際協調体制が崩れ、世界は再び戦争へと向かったのです。

世界恐慌:その時日本は!?

軍部の台頭

1932年に犬養毅首相を射殺した五・一五事件、36年に軍事政権の成立を目指した二・二六事件が発生するなど、軍人らによるテロが多発。戦争への道が開かれていった。

第二次世界大戦により世界各地で戦闘が繰り広げられる(1939年)~2度目の世界戦争が勃発~

第二次世界大戦勃発のポイント

ポイント1.第二次世界大戦ファシズム陣営民主主義陣営の戦争
ポイント2.ドイツ軍のポーランド侵攻が引き金となる
ポイント3.当初は枢軸国が優勢だったが最終的には連合国側が勝利した

第二次世界大戦はファシズム国家の侵攻によって始まる

第二次世界大戦は、ファシズム国家の侵攻によってはじまります。1939年、ヒトラー率いるドイツがポーランドに攻め入りました。これが2度目の世界戦争の引き金となったのです。

アジアでは日本が満州国を建国し、1937年から中国との戦争に突入。そして1940年に日独伊三国同盟(枢軸国)が締結されると、これにイギリスやフランス(連合国。のちにアメリカ、ソ連、中国なども参加)が対抗し、戦火が広がっていきます。

当初、ヨーロッパではドイツが快進撃をみせます。日本も1941年にアメリカとの太平洋戦争を開始し、連戦連勝を重ねました。

しかしその後、戦局は連合国側に傾き、1943年にイタリアが降伏、2年後にはドイツと日本が降伏して戦争は終わります

地図の見方:第二次世界大戦はドイツ・イタリア・日本などの枢軸国(ファシズム陣営)と、ソ連・イギリス・フランス・アメリカなどの連合国(反ファシズム陣営)による戦争で、世界各地で戦闘が繰り広げられた

東西冷戦(冷たい戦争)が展開される(1947年)~第二次世界大戦後、米ソの対立で世界は二分~

東西冷戦開始のポイント

ポイント1.第二次世界大戦後の世界の覇権はアメリカが握りる
ポイント2.アメリカを中心とする西側諸国とソ連を中心とする東側諸国が対立
ポイント3.東西対立は冷戦となり各地で代理戦争が繰り返されるなど激化した

第二次世界大戦後、超大国アメリカが誕生

第二次世界大戦後の世界をリードしたのは、大戦での勝利によって超大国となったアメリカです。

アメリカは国際連合の創設をリード。経済面ではドルを基軸通貨とするブレトン・ウッズ体制が定まり、世界経済の中心となりました。

しかし、世界は一枚岩になることができず、アメリカを中心とする資本主義の西側諸国とソ連を中心とする社会主義の東側諸国の東西対立が深刻化。直接戦火を交えない「冷戦」がはじまったのです

地図の見方:第二次世界大戦後はアメリカを中心とした資本主義の西側陣営と、ソ連を中心とした社会主義の東側陣営が対立し、冷戦時代が到来した

東西冷戦(冷たい戦争)では核戦争の危機も!

1947年3月、アメリカは内戦が激化するギリシアとトルコにソ連の影響を排除するため経済・軍事援助を行ないます。さらに同年6月、全ヨーロッパへの経済復興援助を発表すると、これにソ連が反発。1949年にはドイツが東西に分割されるなど、冷戦が激化していきました。

東西両陣営は軍拡を続け、各地で代理戦争が勃発。1962年のキューバ危機では核戦争の一歩手前まで至ります。この冷戦の状態が1989年まで続いたのです。

東西冷戦(冷たい戦争):その時日本は!?

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◎3つの要点で事件の概要が把握でき、歴史上の位置づけがしっかりわかる
◎歴史の一ページを形成した地理的背景、時間の経過がより一層理解できる解説
◎同時期の日本では何が起きていたか比較できるワンポイントコラム

『地図でスッと頭に入る世界史』見どころ―目次から抜粋

■紀元前221年、秦がバラバラの貨幣を統一したことで、歴史上はじめて〝ひとつの中国〞が実現した
■紀元前202年、中国を再統一した漢がシルクロードを開いた結果、東西交易が盛んになった
■208年、魏の曹操・蜀の劉備・呉の孫権の三者が死闘を繰り広げる『三国志』の時代が到来する
■618年、隋を引き継いだ唐が巧みな統治で周辺諸国を服従させ、国際色豊かな大帝国に発展
■1405年、周辺国の朝貢を求める明がヨーロッパより100年早く南海への大航海を展開する
■紀元前5世紀、アテネとスパルタの二大ポリスが戦争を繰り広げ、ギリシア世界は大きく変化
■紀元前334年~、アレクサンドロス大王の東方遠征で東西文化が融合したヘレニズム文化が生まれる
■紀元前27年、200年間にわたって続いたローマ帝国の最盛期は、30万キロの幹線道路が支えていた
■313年、イエスが説いたキリスト教がパウロの布教活動をきっかけに世界宗教へと飛躍した
■800年、ゲルマン人が建てたフランク王国のカール大帝が西ローマ帝国を復活させた
■1096年、計7回の十字軍遠征で当初の目的ははたせなかったが、ヨーロッパ経済が変化した
■14世紀、経済成長を背景にはじまった文化や思想の新しい動きがルネサンスの呼び水となる
■14世紀半ば、「黒死病」とも呼ばれるペストが猛威をふるい、欧州人口の30%以上が死亡
■16世紀、世俗にまみれて堕落・腐敗したローマ・カトリック教会に抵抗するプロテスタントが生まれる
■15世紀、大海原に漕ぎ出したヨーロッパの航海者たちが世界経済を大きく変えた
■16~18世紀、覇権争いを繰り広げるヨーロッパの強国が世界各地に植民地を築く
■紀元前8~4世紀、オリエント世界に興ったアッシリアとアケメネス朝ペルシアが世界帝国として君臨する
■紀元前500年頃、アジア各国で信仰され、世界宗教のひとつになっている仏教がインドで生まれる
■4~6世紀、インドで産声をあげ、民衆の間に浸透したヒンドゥー教が仏教を駆逐
■610年頃、アラビア半島のオアシス都市メッカでアッラーを唯一神とするイスラーム教が成立する
■661年、勢力拡大を続けるイスラーム教がカリフの暗殺をきっかけにスンナ派とシーア派に分裂
■16世紀、地中海の覇権を握り異教徒を効果的に使ってオスマン帝国が大帝国に成長
■18世紀、躍進するイギリスで現代の資本主義社会につながる産業革命が起こる
■1775年~、イギリスの植民地への重圧が植民地の人々を怒らせ、アメリカ独立戦争が勃発
■1789年、英仏戦争での財政悪化とブルボン王朝の贅沢三昧がフランス革命の火種となった
■1804年、フランス革命を引き継いだフランスの英雄ナポレオンが〝ヨーロッパ帝国〞を建設する
■1861年~、産業構造の違いが原因で北部と南部の対立が深まり、アメリカ南北戦争が勃発
■19世紀後半、「眠れる獅子」と呼ばれた清がアヘン戦争でイギリスに負け、列強のアジア進出が加速
■1917年、中東の権益を狙うイギリスが現在のパレスティナ紛争につながる3枚舌外交を展開する
■1929年、世界恐慌が起こり、ブロック経済とファシズムが生まれ、世界は再び戦争へ向かう

『地図でスッと頭に入る世界史』監修者

祝田秀全(いわたしゅうぜん)
東京出身。歴史学専攻。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員、代々木ゼミナール講師を経て、現在北九州予備校東京校で東大世界史講師を務める。『銀の世界史』(筑摩書房)、『東大生が身につけている教養としての世界史』(河出書房新社)、『2時間でおさらいできる世界史』(大和書房)、『歴史が面白くなる東大のディープな世界史』(中経出版)、『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)など、多数の著書・監修書がある。趣味はコーヒー飲用。ジャマイカのあの山の中腹でとれるコーヒー豆を炒って飲んでみたい。それに古典落語鑑賞。

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