インド洋に浮かぶ１０００超の珊瑚島からなるモルディブのナシード元大統領は、「人間の創意工夫で、このままの場所で海に浮く方法を見つけられるだろう」と、浮島型の水上都市の可能性に言及しました。

しかし、こうした大規模プロジェクトの財源を、小さな島嶼国が確保できるかなどの課題も多くあります。

また国が水没しないまでも、海抜の低い沿岸部をもつすべての国が、今から研究し、対策をとっていく必要が生じています。海面上昇は、遅らせることはできても、下げることは不可能なのです。

地球温暖化の影響によって、2100年までに太平洋やインド洋では海面が約1ｍ上昇。その結果、モルディブ、ツバル、マーシャル諸島、ナウル、キリバスの５ヵ国は人が住めなくなり、60万人が難民化するといわれている。

モルディブ
国を構成する約1200の島々のうち、97％の島で海面上昇による浸食がはじまっている。

ツバル
島の最も高い場所が海抜4.6m。2023年にオーストラリアと移住協定を締結した。

マーシャル諸島
平均海抜2m。人口約6万人で、国外在住者もアメリカなどに5万人ほどいる。

ナウル
かつてリン鉱石で著しい経済成長を果たしたが、すでに枯渇。現在は海岸浸食が深刻。

キリバス
国を構成する33の島々と環礁のうち、海抜3.5m以上の土地がほとんどない。

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地理の予備校講師。大阪外国語大学（現・大阪大学外国語学部）アラビア・アフリカ語学科卒。スタディサプリをはじめ、全国の大手予備校で地理を教える。講習では100人規模の大教室が満席になる人気講師。おもな著書に『世の中のしくみが氷解する 世界一おもしろい地理の授業』（KADOKAWA）などがある。