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千葉への産業集積の動きが進んだ1980年代

1980年代に入ると、こうした産業集積の動きはハイテク産業やバイオテクノロジーといった分野におよびました。

その大きな契機となったのが、1978(昭和53)年に開港した成田空港です。流血事件にまで発展した成田闘争が発生するなど、開港までには紆余曲折を経たものの、成田空港は首都圏の国際物流拠点となりました。

千葉新産業三角構想とは?

さらに、1980(昭和55)年には京葉道路が全通。県内の交通インフラが着々と整備されつつあるなか、県は幕張A地区と呼ばれていた区域を「学園のまち」とする構想を打ち立てました。しかし、この構想の核としていた早稲田大学の誘致に失敗。広大な埋立地に県立高校が3校だけ並び立つ、寂しい街になりかけていました。

起死回生を図りたい県は、1983(昭和58)年、「千葉新産業三角構想」という開発構想を掲げ、幕張に産業を集積させる新都心構想を発表。幕張に最先端企業を集積させ、成田空港周辺に工業団地を形成、木更津周辺には研究学園都市を築く計画で、なかでも幕張は急ピッチで開発が進められました。

千葉新産業三角構想の最重要地域とされた幕張新都心付近

千葉新産業三角構想の最重要地域とされた幕張新都心付近

千葉県が1973(昭和48)年から埋め立てを始めた千葉市幕張の造成地、幕張新都心。幕張メッセ、日本最大級のイオンモールがあるほかタワーマンション開発が今も進行中です。

千葉新産業三角構想に差したバブル崩壊の影

1986(昭和61)年に海浜幕張駅、1989(平成元)年に幕張メッセなどの主要施設が次々と開業。幕張テクノガーデンを中心に、国内外の大企業を誘致して産業集積が図られると同時に、1994(平成6)年には、幕張ベイタウンの分譲も開始。

しかし、着々と新都心化が進められるなかで、右肩上がりの経済が破綻。バブル崩壊によって計画は大きく進行を阻まれることとなります。都心の地価が下落したため、賃料の割安感が魅力だった幕張に社屋を置く必要性がなくなり、企業の都心回帰が相次いだのです。

そのため商業地区は閑散とし、1990 年代後半にはメディアや専門家からゴーストタウン化が懸念されるほどでした。

千葉新産業三角構想に待ち受けていたバブル崩壊後の苦難の数々

他方、木更津市周辺では、1994(平成6) 年にかずさDNA研究所がオープンし「かずさアカデミアパーク」が誕生。研究学園都市構想がスタートしましたが、キヤノンなど大企業の誘致に失敗。空洞化が深刻となり、2010(平成22)年には運営法人が民事再生手続きに入るなど、現在も混迷を極めています。

「千葉新産業三角構想」に待ち受けていたのは苦難の連続でした。

木更津の新名所「かずさアクアシティ」

バブル崩壊後、木更津市は地価下落率が全国ワーストを記録し、駅前商業施設は軒並み撤退するなど凋落の一途をたどっていました。その木更津市がV字回復を果たしています。

2010(平成22)年からの5年間で人口増加率は4.8%を記録。復調の最大の要因は1997(平成9)年に開通した東京湾アクアライン。金田インターチェンジ付近には国内最大級の三井アウトレットパークができ、周辺は「かずさアクアシティ」として再開発が進められています。

ただ、急速な開発に道路整備が追いつかず、休日などは大渋滞が発生しています。

千葉新産業三角構想に見え始めた明るい兆し

しかし、幕張新都心は計画の見直しにより、進出企業数や人口が増加するなど回復傾向にあります。また、成田空港周辺にある18の工業団地はすべて分譲が完了。かずさアカデミアパークも民間研究所等用地148.9ヘクタールのうち、未決定用地は残り29.1ヘクタールほどとなっています。

「千葉新産業三角構想」は令和に入り、ようやく明るい兆しを見せ始めています。

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