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正統カリフ時代に形成されたイスラム世界と芽吹いていた分裂

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年7月25日

正統カリフ時代に形成されたイスラム世界と芽吹いていた分裂

ムハンマドが亡くなり、イスラムによるアラビア支配は崩壊します。ムハンマドの後継者を早急にたてる必要がでてきます。4代目までの後継者を正統カリフと呼びます。正統カリフのもと領土拡大していくなかで、富の集中に対する民衆の不満が高まっていきます。

ムハンマド没後の情勢と正統カリフの初代・2代目の時代

ムハンマドの死後、アラビアにできたゆるやかな国家らしきものはただちに崩壊します。アラブ・ユダヤ部族らは信仰の受入や税(喜捨)を納める約束はムハンマドと結んだもので、死後は守る必要はないと考えたのです。

残された者たちは急いでムハンマドの後継者を決めます。最古参の信者でムハンマドの旧友であるアブーバクルが選ばれ、後継者=代理人を意味するカリフを名乗りました。以後ウマル、ウスマーン、アリーまでを正統カリフと呼びます。

正統カリフ・初代アブーバクル

初代正統カリフのアブーバクル(位632〜34)は諸部族のウンマ(イスラム教の共同体のこと)からの離脱に対して反逆罪を宣告、背教した部族を討ち1年余りで半島をふたたび統一しました。彼は思慮深い温和な人として知られ、ムハンマドのように粗末な衣服を身にまとい、富を蓄えませんでした。カリフ就任から2年、彼は高熱に冒され死期を悟り、後任にウマル(位634〜44)を推挙しました。

正統カリフ2代目・ウマル

喧嘩っ早いウマルがイスラムに帰依したいきさつは、ムスリムに語り継がれています。

ある日ムハンマドを憎悪するウマルが殺害決行のため歩いていると、愛する妹が一片の紙片を読んでいました。何を読んでいるのか尋ねると妹は「クルアーン(コーラン)です。わたしはイスラム教徒になったのです」と応えました。ウマルは憤慨して紙片を取り上げ読んでみると、クルアーンの言葉は彼の心に直接語りかけてきました。ウマルは剣を捨て預言者の家に着くやいなやこう言いました。「あなたはたしかに神の信徒です。私はあなたを信じます」。

ウマルはクルアーンを集成しイスラム神学の方向性を定め、ヒジュラ暦を制定しました。さらにイラク、シリア、エジプトを征服してダマスカスやエルサレムを獲得、同代のニハーヴァンドの戦い(642年)でサーサーン朝ペルシャを打ち破ったのです。

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