トップ > カルチャー >  海外 > 中東 >

イスラムは再生する。中東の歴史で栄華を誇ったオスマン帝国

モンゴル来襲によってアッバース朝が滅亡しました。そのカリフはカイロに亡命しマムルーク朝の保護を受けます。そして同朝はモンゴル軍を撃退し、そもそもはトルコ系の「奴隷(マムルーク)」の樹立した王朝の権威を高めました。また、カイロがイスラム世界の一大中心地となりました。

チンギス・ハンの子孫を自称するティムール(位1370〜1405)がティムール朝の首都としたサマルカンドは、後に世界遺産となって往時の壮麗な建築群を誇り、そのティムールの子孫バーブル(位1526〜30)はインド最大のムスリム王朝となるムガル帝国(1526〜1858)の祖となりました。

中東の歴史で輝く、オスマン帝国の隆盛

オスマン帝国はメフメト2世(位1444〜45・51〜81)代には国力を回復、ついに1453年ビザンツ帝国最期の地コンスタンティノープルを征服しイスタンブールと改称、新首都としました。その後セリム1世は1517年マムルーク朝を破りエジプトを併合、メッカ・メディナの両聖都を得てオスマンのスルタンはスンナ派イスラム教徒の守護者となります。続くスレイマン大帝(位1520〜66)代がオスマン最盛期です。

同時期にはイランに建ったサファヴィー朝、インドのムガル帝国とイスラム王朝が並び立ち、後に近世イスラム3帝国の鼎立と呼ばれています。

中東の歴史の大転換。西洋と近代化の来襲

西洋は着々と発展していました。社会・宗教の改革を経て16世紀までにさまざまな科学的発見と応用が広がる科学革命を遂げ、商業発展もあり富を蓄積しました。航海技術や大砲・小銃など優れた火器や兵法も発明しました。

オスマン帝国は勃興から隆盛期まで欧州の領土を拡大できましたが、次第に軍事でも経済でも西洋に勝てなくなっていきました。18世紀になるとオスマン帝国各地に徴税請負権を得た有力層が生まれ地方勢力を形づくり、南進するロシアには黒海北岸を奪われます。18世紀末フランス革命が起こると民族自立が促され、ギリシャなど各地で独立運動が発生、英仏露は混乱に乗じオスマン帝国領内の権益を争いました。

西洋優位と旧制度の悪弊に対処すべく、オスマン帝国は近代化の試みを本格化しますが、性急な西洋化は保守派が抵抗し不満が高まります。騒乱の末、トルコ独立戦争に敗戦すると600年に渡るオスマン帝国は滅亡を迎えました。

『地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域』好評発売中!

ヒット商品『地図でスッと頭に入る』海外シリーズの第4弾。宗教・民族対立、石油資源競争・・でつねに紛争の絶えない中東は、昔から日本人にとって遠い存在の地域であり続けた。しかしながら、日本がもっとも石油資源を依存している地域でもあり、われわれ日本人はこの地域に無関心ではいられないはずである。また、中東および中央アジア、北アフリカはイスラム教が最も普及しており、イスラム教なくしてこの地域を語ることはできないほどである。
本書は、これら中東・中央アジアの国々について、他の関連図書よりもわかりやすく解説する入門書となることを目指します。

その国や地域の概略がスッとわかる、1カ国ごとに見て楽しいイラストマップを掲載

好評を得た「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」「同 ヨーロッパ47カ国」「同 アジア25の国と地域」に次ぐ第4弾。日本人にはなかなか馴染みのないその国について知っておきたい知識がスッと頭に入ります。この本を読んでおけば、日本にいる中東出身の人たちともコミュニケーションが盛り上がること間違いなし。
また、ヨーロッパ版では1カ国につき2ページの展開でしたが、今回の中東版では主要な国と地域についてはページを増やして、より詳しく紹介しています。

掲載している国・地域

イラン/イラク/トルコ/シリア/レバノン/イスラエル/パレスチナ(ヨルダン川西岸、ガザ地区)/サウジアラビア/クウェート/バーレーン/カタール/アラブ首長国連邦/オマーン/イエメン/エジプト/スーダン/リビア/チュニジア/アルジェリア/モロッコ/アフガニスタン/カザフスタン/ウズベキスタン/キルギスタン/タジキスタン/トルクメニスタン/アゼルバイジャン/ジョージア/アルメニア

【監修者】高橋和夫 (たかはし・かずお)

福岡県北九州市生まれ、大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒、コロンビア大学国際関係論修士、クウェート大学客員研究員、放送大学教員などを経て2018年4月より一般社団法人先端技術安全保障研究所会長。主な著書に『アラブとイスラエル』(講談社1992年)、『イスラム国の野望』(幻冬舎、2015年)、『世界の中の日本』(放送大学教育振興会、2015年)、『中東から世界が崩れる』(NHK出版、2016年)、『現代の国際政治』(放送大学教育振興会、2018年)、『国際理解のために(改訂版)』(放送大学教育振興会、2019年)、『中東の政治』(放送大学教育振興会、2020年3月)、『最終決戦トランプVS民主主義―アメリカ大統領選挙撤退後も鍵を握るサンダース』(ワニブックス、2020年7月)など。

『地図でスッと頭に入る中東&イスラム30の国と地域』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2 3

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  海外 > 中東 >

この記事に関連するタグ