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クルド人が住む土地・クルディスタン~中東のもうひとつの大きな火種 123RF

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年7月10日

クルド人が住む土地・クルディスタン~中東のもうひとつの大きな火種

クルディスタンに住むクルド人は、国を持たない最大の民族。民族統一の解放戦線を持たないクルド人は、各国に散らばった民族主義組織で活動し、周辺諸国はその時々で支援するクルド人組織を選びます。クルド人が独立した国を持つ日は来るのでしょうか。

クルド人が住むクルディスタン

クルディスタンの近くにあるトルコ南東にあるヴァン湖は水面が標高1640メートル、広さは琵琶湖の約5・5倍。春には湖に浮かぶ島に建つアルメニア教会を囲んで、桜に似たアーモンドの花が咲き誇り、雪を冠する標高4434メートルの青いシュプハン山を湖畔に望みます。一帯は険しい山岳地帯で、ティグリス川とユーフラテス川はこの辺りに源流を発します。湖も多く水の豊かな土地です。

クルディスタンはそのヴァン湖周辺のトルコ南東の高原地帯からシリア北東部、イラク北部やイラン北西部にまたがるクルド人が住む土地です。クルド人は国を持たない最大の民族といわれます。クルディスタンに住むクルド人の総人口は多くて4000万人程度とされますが、正確にはわかっていません。

クルド人は独自の文化・言語をもつ

クルド人が話すクルド語はペルシャ語に近く、宗教は大半がイスラム教スンナ派に属しています。スーフィズム(イスラム教神秘主義)の影響が強いといわれます。クルド人は春先にはイラン人と同じく春分の日にお正月(ノウルーズ)を祝います。これは新しい日を意味しています。

クルド人はほとんどが厳しい山岳地帯に住み、古来より農牧を生業としています。また、クルド人は武勇の伝統で知られています。人々が部族長に従属する部族社会もクルド人の特徴です。20世紀にはクルド人の農業従事者が増え、20世紀後半にはトルコ・イラク中央政府による追い立て政策などにより、クルド人の都市生活者も増えました。

クルド人はオスマン帝国崩壊時に独立を求めましたがならず、各国の少数派民族となり、クルド民族主義者らは独立や自治をめぐり各国政府などと戦い、双方の犠牲者は20世紀を通じ数十万人に及ぶといいます。パレスチナと並ぶ、中東のもうひとつの大きな民族問題なのです。

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