トップ >  海外 > アジア > 

【中東の帝国の盛衰】ムガル帝国の繁栄(16世紀後半)~インドでイスラーム勢力の王朝が全盛期を迎える

ムガル帝国繁栄のポイント

ポイント1.ムガル帝国はヒンドゥー教地域にできたイスラーム王朝
ポイント2.アクバル帝の対ヒンドゥー教徒融和策が成功した
ポイント3.アウラングゼーブ帝の抑圧策が、帝国の衰退と滅亡を招く

ムガル帝国はヒンドゥー教徒を手なずけた

モンゴル帝国の復興を掲げて建国されたムガル帝国は16世紀後半、3代アクバル帝の時代に北インドとアフガニスタン東部を版図におさめ、最盛期を迎えます

ムガル帝国はトルコ系のイスラーム王朝。ヒンドゥー教徒が多数を占めるインドにおいて、イスラーム王朝が繁栄した背景には、アクバル帝の巧みな宗教政策がありました。

アクバル帝は当初はヒンドゥー教徒に対して弾圧政策を行なっていましたが、やがて融和策に転換。イスラーム教への改宗を強制することをやめ、非イスラーム教徒への人頭税も廃止しました。さらにヒンドゥー教徒を官僚に起用したり、ヒンドゥー教徒の女性を帝の妻に迎えたりもします。信仰と政治の両面からヒンドゥー教徒を味方につけることで、支配体制を安定させたのです

地図の見方:全人口の8割をヒンドゥー教徒が占めていたインドにおいて、アクバル帝は抑圧策ではなく融和策を実施。それが功を奏し、ムガル帝国は大きく発展した

ムガル帝国は抑圧策に転じて衰退

しかしアクバル帝の没後、6代アウラングゼーブ帝はヒンドゥー教徒への抑圧策をとります。それを機に民衆の支持を失い、帝国は傾いていきました。

ムガル帝国の繁栄:その時日本は!?

豊臣秀吉が天下人に

織田信長に仕えていた豊臣秀吉は本能寺で謀反を起こした明智光秀を討ち、諸大名を従えると、北条氏も制圧して全国統一を実現。戦国の世で天下人となりました。

【中東の帝国の盛衰】オスマン帝国の最盛期(16世紀)~地中海の覇権を握り異教徒を効果的に使う

オスマン帝国最盛期のポイント

ポイント1.オスマン帝国は1000年以上続いたビザンツ帝国を滅ぼした
ポイント2.10代皇帝スレイマン1世の時代に最盛期を迎える
ポイント3.ミッレト制イェニチェリなどの異民族政策がうまく機能した

オスマン帝国はイスラーム世界の新たな盟主

8世紀以来、イスラーム世界の盟主はアッバース朝でした。しかし1258年、アッバース朝がモンゴル帝国によって滅ぼされると、小アジアに興ったトルコ系のイスラーム王朝、オスマン帝国が台頭しはじめます。

オスマン帝国は1453年、バルカン半島に上陸して1000年以上続いていたビザンツ帝国を滅ぼし、その都コンスタンティノープルをイスタンブールと改称しました。

16世紀、スレイマン1世の時代には13回も遠征を実施、着実に版図を広げて西アジアから東ヨーロッパ、北アフリカに至る大帝国を築きました

地図の見方:オスマン帝国はイスラム教の2大聖地を押さえ、ウィーン包囲で神聖ローマ帝国の君主となったハプスブルク家を脅かし、プレヴェザ海戦でヨーロッパ諸国を撃破。地中海を股にかける大帝国となった

オスマン帝国の成功は他民族他宗教国家の賢い運営にあった

オスマン帝国の統治で特筆すべきはミッレト制です。異教徒を宗教ごとにまとめて一定の自治を与え、信仰や財産を保障しました。

また、キリスト教から改宗させた青年たちを皇帝直属の精鋭部隊イェニチェリとして組織します。

こうした統治法が多民族多宗教国家でうまく機能し、帝国の繁栄につながったのです

オスマン帝国最盛期:その時日本は!?

クジ引き将軍の末路

クジで選ばれた室町幕府の6代将軍足利義教は、幕府の権威向上を狙い、守護大名を弾圧します。しかし、それで反感を買って殺されてしまい、将軍の権威を失墜させました。

【中東の帝国の盛衰】オスマン帝国とムガル帝国の衰退(18世紀~)~衰退をたどるイスラーム世界の両巨頭

オスマン帝国とムガル帝国衰退のポイント

ポイント1.18世紀以降、イスラーム世界の地位が低下していく
ポイント2.ムガル帝国はイギリスの植民地にされてしまった
ポイント3.オスマン帝国もヨーロッパの標的になり「瀕死の病人」と揶揄される

ヨーロッパ列強の喰い物に!

イスラーム世界で栄華を誇ったムガル帝国とオスマン帝国は18世紀以降、いずれも衰退の一途をたどります。その原因は、ヨーロッパ列強による侵略です。

ムガル帝国は内乱などで混乱しているところをイギリスにつけ入られます。イギリスは1600年に設立した東インド会社を通じてインド全域を支配し、植民地経営を行ないました。

一方のオスマン帝国は1683年の第二次ウィーン包囲でオーストリアに大敗し、建国以来はじめて領土の一部を失います。また、南下をもくろむロシアとの衝突やエジプトとの争いなどで財政が悪化。領域内でのアラブ人反乱などもあって、「瀕死(ひんし)の病人」と揶揄(やゆ)されるほど衰退しました。

イスラーム世界の雄はヨーロッパ列強の餌食となったのです。

地図の見方:ムガル帝国は6代皇帝以降、弱体化。その間隙を突く形でイギリスが侵攻して支配地域を広げ、帝国を有名無実化した。オスマン帝国はヨーロッパ列強などの侵略で版図を大きく狭めてしまった

『地図でスッと頭に入る世界史』好評発売中!

[本書の特長]
◎紹介する歴史項目全てに、イラストや写真を使ったわかりやすい地図を入れ、全体像が一目瞭然!
◎3つの要点で事件の概要が把握でき、歴史上の位置づけがしっかりわかる
◎歴史の一ページを形成した地理的背景、時間の経過がより一層理解できる解説
◎同時期の日本では何が起きていたか比較できるワンポイントコラム

『地図でスッと頭に入る世界史』見どころ―目次から抜粋

■紀元前221年、秦がバラバラの貨幣を統一したことで、歴史上はじめて〝ひとつの中国〞が実現した
■紀元前202年、中国を再統一した漢がシルクロードを開いた結果、東西交易が盛んになった
■208年、魏の曹操・蜀の劉備・呉の孫権の三者が死闘を繰り広げる『三国志』の時代が到来する
■618年、隋を引き継いだ唐が巧みな統治で周辺諸国を服従させ、国際色豊かな大帝国に発展
■1405年、周辺国の朝貢を求める明がヨーロッパより100年早く南海への大航海を展開する
■紀元前5世紀、アテネとスパルタの二大ポリスが戦争を繰り広げ、ギリシア世界は大きく変化
■紀元前334年~、アレクサンドロス大王の東方遠征で東西文化が融合したヘレニズム文化が生まれる
■紀元前27年、200年間にわたって続いたローマ帝国の最盛期は、30万キロの幹線道路が支えていた
■313年、イエスが説いたキリスト教がパウロの布教活動をきっかけに世界宗教へと飛躍した
■800年、ゲルマン人が建てたフランク王国のカール大帝が西ローマ帝国を復活させた
■1096年、計7回の十字軍遠征で当初の目的ははたせなかったが、ヨーロッパ経済が変化した
■14世紀、経済成長を背景にはじまった文化や思想の新しい動きがルネサンスの呼び水となる
■14世紀半ば、「黒死病」とも呼ばれるペストが猛威をふるい、欧州人口の30%以上が死亡
■16世紀、世俗にまみれて堕落・腐敗したローマ・カトリック教会に抵抗するプロテスタントが生まれる
■15世紀、大海原に漕ぎ出したヨーロッパの航海者たちが世界経済を大きく変えた
■16~18世紀、覇権争いを繰り広げるヨーロッパの強国が世界各地に植民地を築く
■紀元前8~4世紀、オリエント世界に興ったアッシリアとアケメネス朝ペルシアが世界帝国として君臨する
■紀元前500年頃、アジア各国で信仰され、世界宗教のひとつになっている仏教がインドで生まれる
■4~6世紀、インドで産声をあげ、民衆の間に浸透したヒンドゥー教が仏教を駆逐
■610年頃、アラビア半島のオアシス都市メッカでアッラーを唯一神とするイスラーム教が成立する
■661年、勢力拡大を続けるイスラーム教がカリフの暗殺をきっかけにスンナ派とシーア派に分裂
■16世紀、地中海の覇権を握り異教徒を効果的に使ってオスマン帝国が大帝国に成長
■18世紀、躍進するイギリスで現代の資本主義社会につながる産業革命が起こる
■1775年~、イギリスの植民地への重圧が植民地の人々を怒らせ、アメリカ独立戦争が勃発
■1789年、英仏戦争での財政悪化とブルボン王朝の贅沢三昧がフランス革命の火種となった
■1804年、フランス革命を引き継いだフランスの英雄ナポレオンが〝ヨーロッパ帝国〞を建設する
■1861年~、産業構造の違いが原因で北部と南部の対立が深まり、アメリカ南北戦争が勃発
■19世紀後半、「眠れる獅子」と呼ばれた清がアヘン戦争でイギリスに負け、列強のアジア進出が加速
■1917年、中東の権益を狙うイギリスが現在のパレスティナ紛争につながる3枚舌外交を展開する
■1929年、世界恐慌が起こり、ブロック経済とファシズムが生まれ、世界は再び戦争へ向かう

『地図でスッと頭に入る世界史』監修者

祝田秀全(いわたしゅうぜん)
東京出身。歴史学専攻。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員、代々木ゼミナール講師を経て、現在北九州予備校東京校で東大世界史講師を務める。『銀の世界史』(筑摩書房)、『東大生が身につけている教養としての世界史』(河出書房新社)、『2時間でおさらいできる世界史』(大和書房)、『歴史が面白くなる東大のディープな世界史』(中経出版)、『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)など、多数の著書・監修書がある。趣味はコーヒー飲用。ジャマイカのあの山の中腹でとれるコーヒー豆を炒って飲んでみたい。それに古典落語鑑賞。

『地図でスッと頭に入る世界史』を購入するならこちらから

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  海外 > アジア >

この記事に関連するタグ