もうひとつ、グローバル・サウスが注目されているのは、先進国の新たなパートナーとして期待されているからです。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界は西側諸国を中心とする自由主義の国と、中国やロシアを中心とする権威主義の国の対立構図が明確になりました。両陣営ともグローバル・サウスの国と連携を強化し、自陣営に取り込みたいと考えており、さまざまな形でアプローチがなされているのです。

しかし、グローバル・サウスの国としては、両者の対立に「巻き込まれたくない」というのが本音です。実際、ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁に参加しているのは、自由主義陣営を中心とする48ヵ国しかありません。グローバル・サウスの国にとっては、ウクライナの戦局より、ロシアとの貿易を継続できるかどうかのほうが重要な問題なのです。

そうした意味で、グローバル・サウスに支持されているのがインドです。

世界最大の人口を抱え、経済発展の著しいインドは、欧米寄りにも中ロ寄りにもなびかないバランス外交を実践し、途上国の不満を世界に発信する役割も担っています。そのスタンスが共感を呼び、グローバル・サウスの代表格のようになりつつあります。

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地理の予備校講師。大阪外国語大学（現・大阪大学外国語学部）アラビア・アフリカ語学科卒。スタディサプリをはじめ、全国の大手予備校で地理を教える。講習では100人規模の大教室が満席になる人気講師。おもな著書に『世の中のしくみが氷解する 世界一おもしろい地理の授業』（KADOKAWA）などがある。