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難波宮の焼失前の姿

難波宮(難波長柄豊崎宮(なにわながらとよさきのみや))は686年の火災で一度焼け落ち、約40年も放置されていました。再建は726年とされているので、王宮は事実上、2度設けられたことになります。

このことから焼失前の難波宮を「前期難波宮」、奈良時代の難波を「後期難波宮」と区別することもあります。前期難波宮は地面に直接柱を立てる掘立柱(ほったてばしら)式であり、設計は唐の宮室を参考にしたといわれています。天皇の住まいである内裏があったこともわかっています。

周辺には役人や使用人の居住地が整備されていたことも判明し、こうした「宮域(きゅういき)」と呼ばれる居住地を備えたのは、難波宮が日本で初めてでした。

前期難波宮と後期難波宮

前期難波宮と後期難波宮

天皇の住まいである内裏と儀式や政治の行われる朝堂院が区別されたのは、前期難波宮が最初。後期難波宮は前期の構造をほぼ踏襲しています。

官衙(かんが)とは現在でいう官庁のこと。朝堂院は天皇が政治を行う場所です。

難波宮の再建と解体

655年の飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)への遷都後も、660年の朝鮮半島出兵時に天皇が本拠にするなど第2の首都として扱われていました。火災で首都機能を失ったあとも、宮が放棄されたわけでもなく、699年に文武(もんむ)天皇が行幸したように、皇室とのつながりは深いままでした。

その後、幾度も修復計画が出ましたが実行はされず、ようやく再建されたのが726年。構造は礎石に柱を立てる方式に変更され、内裏も平城京のデザインを基礎としました。

744年には短期間ですが日本の首都に返り咲き、平城京への再遷都後も第2の首都である 「副都」として政治や大陸外交の拠点として活用されていました。

そんな後期難波宮も784年の長岡京(ながおかきょう)遷都で解体され、役目を終えることになります。

難波宮のあった場所と現在

難波宮のあった場所と現在
現在は広大な敷地が「難波宮跡公園」として整備されいる

難波宮の場所は長らく不明のままでしたが、1953年に中央区で行われていた団地建設工事で飾り瓦の破片が出土し、翌年からの発掘調査で法円坂にあったことが確定。どちらの宮も同じ場所にあったことが判明しています。

現在その場所は難波宮跡公園として整備され、国の史跡にも指定されています。

名作が生まれたNHK大阪放送局

難波宮跡公園は地下鉄「谷町四丁目駅」の10番出口を出てすぐの位置にあります。近くに位置するのが大阪城大阪歴史博物館、そして「NHK大阪放送局」です。

NHK大阪放送局では、1925年の開局以降、多くの番組が制作されてきました。とくに朝の「連続テレビ小説」は1984年から東京の放送センターと交代で制作しています。「カーネーション」「あさが来た」「わろてんか」「まんぷく」など、関西を舞台とし、関西弁を話すヒロインの作品が数多く生み出されています。

史跡 難波宮跡

住所
大阪府大阪市中央区法円坂1丁目6
交通
地下鉄谷町四丁目駅から徒歩7分
料金
情報なし

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