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【百舌鳥・古市古墳群】百舌鳥古墳群を代表する仁徳天皇陵古墳
百舌鳥古墳群の中で、シンボル的な存在といえるのが、日本最大の仁徳天皇(にんとくてんのう)陵古墳です。長さ約486m、濠を含めると840mにもなる前方後円墳で、面積だけならエジプトのクフ王のピラミッドにも匹敵します。周囲を1周するだけでも、徒歩で1時間はかかります。
仁徳天皇陵の南側には大仙公園(だいせんこうえん)が広がっており、さらに南側に位置するのが履中天皇(りちゅうてんのう)陵古墳。長さ約365mと、日本で3番目の大きさです。
この2つの古墳のほかに、仁徳陵の北側には反正天皇(はんぜいてんのう)陵古墳があり、3基を合わせて「百舌鳥三陵」と総称されます。
【百舌鳥・古市古墳群】古市古墳群にある多数の天皇陵
いっぽうの古市古墳群の中心とされるのが、応神天皇(おうじんてんのう)陵古墳です。長さ約425mで全国第2位ですが、盛り土の体積では仁徳陵をしのぐとされています。
また古市古墳群には応神天皇のほかに、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)、允恭天皇(いんぎょうてんのう)、世界遺産登録外ですが雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)、清寧天皇(せいねいてんのう)、仁賢天皇(にんけんてんのう)、安閑天皇(あんかんてんのう)と天皇陵が多いのも特徴です。
百舌鳥・古市古墳群の現在
ほとんどの古墳は中に入ることが禁じられていて、フェンス越しで眺めるしかありません。また古墳群のある地域は住宅密集地でもあり、濠のすぐそばまで民家が迫っている場所も多いです。
しかし、古墳によっては頂上まで登ることができるものもあり、市民の憩いの場となっています。
百舌鳥・古市古墳群近くの磯長谷古墳群
大阪府太子町周辺は、古代に「近つ飛鳥(河内飛鳥)」と呼ばれていました。『古事記』によれば、大和国(現・奈良県)の飛鳥よりも難波宮(なにわのみや)に近いことを名称の由来とし、難波と大和を結ぶ日本最古の官道「竹内街道」の一部として渡来人の支援で発展してきました。現在でも古墳時代から飛鳥時代にかけての遺物や遺構がたびたび発掘されており、考古学的にも重要な地域となっています。
そんな近つ飛鳥にある「磯長谷(しながだに)古墳群」は、大小合わせて30基もの古墳が分布している古墳群です。完成時期は6世紀後半以降で、ちょうど古墳が建造されなくなる直前の時代と推測されます。
しかも、30ある古墳のうち4基が天皇の陵墓。この古墳群が「王家の谷」もしくは「王陵の谷」と呼ばれているのも、天皇陵が集中して置かれているためです。
百舌鳥・古市古墳群近くの叡福寺北古墳
天皇陵以外に注目すべき古墳は聖徳太子(厩戸王(うまやどおう))の陵墓です。聖徳太子といえば冠位十二階や十七条憲法の制定に関わった人物とされています。
聖徳太子の陵墓とされるのは、叡福寺(えいふくじ)という寺院の奥にある叡福寺北古墳です。直径約 50mの円墳で、太子の母の穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后と妃である膳大郎女(かしわでのおおいらつめ)の棺も納められていると伝えられることから「三骨一廟」と呼ばれています。
なお、天皇陵と聖徳太子陵の5基をウメの花びらになぞらえ、「梅鉢(うめばち)御陵」とも総称されます。
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