更新日: 2024年6月10日
護摩行を行うのは真言宗と天台宗だけ。護摩行は、大日如来の智慧の火で煩悩を焼き払う密教の修行
護摩行は、願いを叶えてもらうものではなく、願いを叶えるための妨げになる煩悩を焼き払ってもらうもの。真言宗と天台宗だけが執り行うという護摩行とは、どのようなものなのでしょう。護摩行には、祈祷の内容により四種類の方法があります。
護摩行は密教の修法の一つ
護摩行は密教の修行の一つ。一般的には加持祈祷(かじきとう)と同一視されることが多いですが、密教では「加持」と「祈祷」を区別しています。加持とは大日如来の慈悲と衆生の信仰心が一つになること、祈祷とは仏に自分の願いや意志を届けることを指しています。
護摩行は「護摩壇(ごまだん)に設けられた火炉(かろ)に護摩木(ごまぎ)を焚(た)き、火の前で祈祷する修行」であり、護摩祈祷とも呼ばれます。もともとはバラモン教の「供物を火中に投げ入れ、天の神々のもとに運んで供養する」という祭礼でしたが、紀元前5世紀ごろに仏教と融合。密教の教えの中で発展し、現在の形となりました。日本の仏教宗派の中で護摩行を執り行なうのは、真言宗と天台宗だけです。
護摩行の目的
時代劇などでは、政敵を陥れるために護摩行をするシーンが描かれることがあります。またスポーツ選手が護摩行に取り組むこともあるため、「護摩行とは、仏に自分の願いを叶えてもらうために行うものだ」と思う人もいるかもしれません。しかし正しくは、悟りを開くための修行なのです。
護摩行に用いる火は、大日如来の智慧を象徴しています。本尊の前に護摩壇を組み、火(大日如来の智慧)の前に座って本尊に祈りを捧げることで、煩悩(ぼんのう)が焼き払われ心が浄化されます。浄化された心で本尊と一体となり、悟りを進めるのが護摩行の目的です。
密教系の寺院を訪れると、添護摩木(そえごまぎ)の案内を見かけることがあります。添護摩木とは、祈りを捧げながら火中に投入する小さな薪のこと。添護摩木に氏名と願い事を記入して護摩の火で焼き、願い事を清めて成就を祈願するのです。
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