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平安時代の密教僧・空海が広めた密教とは~三密加持、印と真言、両界曼荼羅、護摩行…密教を正しく理解する

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年6月10日

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平安時代の密教僧・空海が広めた密教とは~三密加持、印と真言、両界曼荼羅、護摩行…密教を正しく理解する

空海が日本に広めた密教。密教の教えを実践方法、修行など具体的な内容とともに解説していきます。曼荼羅や仏の種類についても知識を深めていきましょう。

【密教の教え】密教とは~密教と顕教~

まずは、鎮護国家思想(ちんごこっか)の学問から現世利益(げんぜりやく)の仏教へ、それまでの仏教と空海が持ち帰った密教の違いについてから解説を始めましょう。

そもそも従来の仏教と密教はどう違うのでしょうか。まずは仏教の成立から見てみましょう。仏教は今から約2500年前、ルンビニー国(現在のインドとネパールの国境付近にあった小国)の王子である釈迦(しゃか)(ゴーダマ・シッダールタ)が悟りを開いたことによって生まれた教えです。仏教の目的は、仏に成ること(成仏(じょうぶつ))さまざまな価値観に振り回されることなく、苦しみや悩みから離れた悟りの世界に目覚めることを最終目標としています。

仏教伝来のルート

日本には中央アジアや中国、朝鮮半島を経由して(北伝(ほくでん)仏教)、6世紀半ば(飛鳥時代)に伝播(でんぱ)しました。奈良時代になると、仏教の力で国を守る「鎮護国家(ちんごこっか)思想」に基づいて国家運営が行われ、「国家を守るための教え」として研究されていました。

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これまでの仏教と、密教の違い

南都六宗(なんとろくしゅう)をはじめとする奈良時代の仏教は、「経典(釈迦の教え)を学んだ僧侶だけが、悟りを開いて仏になることができる」という思想でした。一方空海は、これらの既存の仏教を「表面に現われている出来事を真実として理解する教え(顕教(けんぎょう))」と区分します。自ら持ち帰った密教を「人間の言葉では表現できない、仏の真意を知ることができる教え」としました。

自著の『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』では、「顕教は塵(ちり)(煩悩(ぼんのう)を払うような教えであり、密教は庫(くら)(悟り)を開く教えである」と解説しました。より深い悟りを得るためには、密教を学ぶことが重要だと主張したのです。

空海が説く密教とは

密教は「仏も人も本質的には同じであり、人は誰しも生まれながら仏性(ぶっしょう)(仏になれる性質)を備えている」と考えます。

自分自身がすでに仏であることに気付き、仏と一体になるための修行を積むことで、現世利益(げんぜりやく)(仏の恵を授かり、生きている世界で幸せになること)が得られるという教えなのです。密教の真髄は言葉や文字で表すことが難しいため、感覚的に理解する必要があります。知識として理解するのではなく、自分なりに解釈して行動に移すことに重きを置いているのです。

空海は「自分自身の中にある仏の心に気付くこと」「気付きを行動に移すこと」の重要性を繰り返し説いており、真言宗では「教相(きょうそう)(経典に書かれた教え)」と「事相(じそう)(行動、実践)」が必修となっています

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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