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ニースの歴史は紀元前から始まる

ニースの歴史を紀元前4世紀まで巻き戻しましょう。そのころニースは、現マルセイユのフェニキア人植民市となり、一説にギリシャ語で「勝利」を意味する交易地ニカイアが生まれました。ニースの名前の由来です。

町の中心は現在の城跡公園に位置していました。紀元前2世紀頃からローマ帝国の属州となり、州都だったシミエ地区のローマ古代遺跡は今もなお残っています。中世に入るとニースは12世紀にプロヴァンス伯領となり、14世紀にはイタリア・ルネサンスの影響を受けた南仏文化が花開きました。その後、市民戦争が起こり、ニースとプロヴァンスの一部は、1388年、サヴォイア公国(後のサルディニア王国)の傘下に入ります。

ニースで生まれたイタリア統一の英傑ガリバルディ

19世紀初頭、1807年にニースで「イタリア統一の三傑」のひとりが生を受けました。軍人のジュゼッペ・ガリバルディです。

18世紀末にフランスの軍隊の侵攻を受け、一時フランス領になるも、パリ条約によりニースはサルディニア王国(後のイタリア王国)へ返還されたので、ガリバルディはサルディニア人(イタリア人)として育ちました。20代半ばでイタリア統一運動に参加しますが反乱運動は失敗に終わり、死刑判決を受けたため、南米へ逃亡しました。

ガリバルディは1848年に帰国が許され、2度目の統一運動で現在のイタリア半島南部の両シチリア王国と戦い、制圧に成功します。占領地をサルディニア王に献上し、1861年のヴェネツィア・教皇領を除くイタリア王国の成立に導きました。1000人ばかりの義勇兵を率いて、2万人以上の兵力を有する両シチリア王国に勝利を収めたガリバルディの武勇伝は欧州中に広がり、英雄扱いされました。故郷のニースにはガリバルディ広場が造られ、彼の記念像が街を見守っています。

ニースはフランスよりもイタリアに近い

ニースはフランスよりもイタリアに近い
そぞろ歩きが楽しいカラフルなレストラン、ショップなどが立ち並ぶ旧市街

正式にフランス領になったのはその1年前の1860年、今から約160年前と比較的歴史は浅いニース。サルディニア王国の首相カヴールが、当時フランスの支配下だった中部イタリアとの併合の見返りに、領土のニースとサヴォイアをフランスへ割譲したのです。

フランスに帰属するまで500年近く、ニースはサヴォイア公国(サルディニア王国)が統治したため、サヴォイア家の拠点、北イタリアの文化の影響を受けました。建築や街並み、料理、ライフスタイルにいたるまでそれが見て取れます。そのためニースにはイタリア語を話せる商売人も多くいるのです。

ニースはフランスよりもイタリアに近い

街灯が照らすフォトジェニックなマセナ広場も、旅の定番スポット

700年以上続く ニースのカーニバル

ニースのカーニバルは、リオ(ブラジル)、ヴェニス(イタリア)と並ぶ世界三大カーニバルのひとつです。歴史は古く13世紀から700年以上も続いています。

例年、告解火曜日(マルディ・グラ)の10日前の土曜日にカーニバルの王様、張り子人形の入場で開幕します。現在のニースのカーニバルは昼の部と夜の部の2部構成で、大規模なパレードフロートや、まばゆいライトアップ演出は夜の部に見物できます。期間中、にぎやかな音楽隊や趣向を凝らした仮装も現れ、南仏らしい陽気な祭りがニースの街中で繰り広げられます。毎年100万人以上の観客が集まる、ニースの一大イベントです。

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第2章 イル・ド・フランス
第3章 フランス北東
第4章 フランス北西
第5章 フランス南東・コルス島
第6章 フランス南西

【監修者】Julie Blanchin Fujita (ジュリ・ブランシャン・フジタ)

1979年、シャラント県生まれ。2004年にストラスブールの国立美術学校(École supérieure des arts décoratifs de Strasbourg)を卒業。翌年からイラストレーターとして活動。
アマゾンを中心にポリネシア、オーストラリアなどを訪れ、現地の日常生活を描く。2008年に南極圏へ向かう取材の途中で東京に短期滞在し、翌年から日本での生活を始める。
2017年に日本の日常生活を綴った『J’aime le nattō(納豆が好き)』を、フランスの出版社Hikari Éditionsから出版しベストセラーに。子ども用ミニ絵本シリーズ『mon imagier japonais』[動物、もの、食べ物編など]を出版しているほか、2015年からNHK出版の「まいにちフランス語」にイラストの連載もしている。2児の母。

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