目次
【ヨーロッパの世界史】アレクサンドロス大王の東方遠征とヘレニズム文化(紀元前334年~)
アレクサンドロス大王の東方遠征のポイント
ポイント1.弱体化したギリシアで、アレクサンドロス大王が台頭
ポイント2.大王の帝国はエジプトからインド西部に至る超巨大帝国となった
ポイント3.東方遠征で生まれたヘレニズム文化は日本の仏像にも影響を与えた
アレクサンドロス大王はギリシャ復興を目指す
ギリシアのポリス間抗争は100年続き、ギリシアはすっかり弱体化しました。するとマケドニア王アレクサンドロス大王が登場し、東方に新たなポリスを建設することでギリシア世界を復興させようと試みます。
前334年、アレクサンドロス大王は東方遠征に出発。前333年のイッソスの戦いでアケメネス朝ペルシアを破り、3年後にはペルシアが滅亡します。その後も遠征を続け、西はエジプトから東はインド西部に至る広大な版図を築き上げました。
征服地には「アレクサンドリア」の名前を冠した約70の植民市を建設し、マケドニアの兵士とペルシア人女性を集団結婚させたりしました。
ヘレニズム文化の誕生で進んだ東西文化の融合
アレクサンドロス大王の遠征によってギリシアの文化が東方へと伝わり、ギリシアとオリエントの文化が融和したヘレニズム(ギリシア風の)文化が生まれました。
そしてヘレニズム文化は世界各地に波及。インドでは仏像を生み出し、日本の仏像にも影響を与えました。
アレクサンドロス大王東方遠征:その時日本は!?
弥生時代の最盛期
弥生時代が本格化し、弥生式土器が盛んにつくられました。また、九州の吉野ヶ里に大規模な環濠集落が形成され、西日本では青銅器、近畿では銅鐸の製造が始まりました。
【ヨーロッパの世界史】ポエニ戦争の勝利でローマが地中海掌握(紀元前146年)
ローマの地中海掌握のポイント
ポイント1.ローマはローマ人の都市国家からはじまる
ポイント2.軍事力でライバルの都市国家を次々と倒しイタリア半島を統一
ポイント3.ポエニ戦争で勝利するとローマは地中海世界の主役となる
ポエニ戦争でカルタゴに勝利
古代ローマのはじまりは、前7〜前6世紀にラテン人の一派であるローマ人がイタリア半島中部に建国した都市国家でした。ローマは貴族による共和政を採用し、重装歩兵などで軍事力を高めると、ほかの都市国家を圧倒。前272年にイタリア半島の統一を成し遂げます。
その後、ローマは食糧問題を解決するために地中海へ乗り出していきますが、穀倉地帯のシチリア島を巡ってカルタゴ(現チュニジア)と衝突します。
このポエニ戦争は前264年から約120年間も続きました。その間、名将ハンニバルの活躍でカルタゴが優勢になったこともありましたが、ローマは前146年にカルタゴを滅ぼします。
その後もローマは地中海沿岸を次々と征圧。こうして地中海は「ローマの海」になったのです。
【ヨーロッパの世界史】ローマ帝国の繁栄はローマ街道が支えていた(紀元前27年)
「ローマの平和」の到来のポイント
ポイント1.ローマは共和政から帝政の国家へと変わっていく
ポイント2.五賢帝時代に帝国の領域は最大に。「ローマの平和」が200年間続いた
ポイント3.帝国内に張り巡らされた街道が経済活動を促し帝国を発展させた
ローマ帝国は共和制から帝政へ
ポエニ戦争後、ローマは全地中海地域に領土を広げ、帝国化していきます。
それまでローマでは共和政が敷かれていましたが、戦争や内乱の末、前27年にオクタウィアヌスが元老院からアウグストゥス(尊厳なる者という意味)の称号を与えられ、実質的な初代皇帝になったため、共和政から帝政へと移行したのです。
ローマ帝国は五賢帝のひとり、トラヤヌス帝の時代に西はイギリスから東はメソポタミアまでを領有し、最大版図を実現。また経済発展にともないコロッセウムや公衆浴場などがつくられ、市民は繁栄を謳歌しました。
この時代(オクタウィアヌスの即位から五賢帝時代までの約200年間)を「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」といいます。
ローマ街道が経済活性化のカギに
「ローマの平和」を支えたのはローマ街道でした。当初は軍事利用のためにつくられましたが、街道を通じて属州からの貢物が運ばれ、商人が往来する交易路ともなり、ローマの経済を活性化させたのです。
ローマ帝国の繁栄:その時日本は!?
倭と後漢の交流が続く
倭と中国の交流がなされていました。57年には奴国の王が後漢の光武帝から「漢委奴国王」の金印を授かり、107年には倭国王帥升らが朝貢し、160人の奴隷を献じました。
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『地図でスッと頭に入る世界史』見どころ―目次から抜粋
■紀元前221年、秦がバラバラの貨幣を統一したことで、歴史上はじめて〝ひとつの中国〞が実現した
■紀元前202年、中国を再統一した漢がシルクロードを開いた結果、東西交易が盛んになった
■208年、魏の曹操・蜀の劉備・呉の孫権の三者が死闘を繰り広げる『三国志』の時代が到来する
■618年、隋を引き継いだ唐が巧みな統治で周辺諸国を服従させ、国際色豊かな大帝国に発展
■1405年、周辺国の朝貢を求める明がヨーロッパより100年早く南海への大航海を展開する
■紀元前5世紀、アテネとスパルタの二大ポリスが戦争を繰り広げ、ギリシア世界は大きく変化
■紀元前334年~、アレクサンドロス大王の東方遠征で東西文化が融合したヘレニズム文化が生まれる
■紀元前27年、200年間にわたって続いたローマ帝国の最盛期は、30万キロの幹線道路が支えていた
■313年、イエスが説いたキリスト教がパウロの布教活動をきっかけに世界宗教へと飛躍した
■800年、ゲルマン人が建てたフランク王国のカール大帝が西ローマ帝国を復活させた
■1096年、計7回の十字軍遠征で当初の目的ははたせなかったが、ヨーロッパ経済が変化した
■14世紀、経済成長を背景にはじまった文化や思想の新しい動きがルネサンスの呼び水となる
■14世紀半ば、「黒死病」とも呼ばれるペストが猛威をふるい、欧州人口の30%以上が死亡
■16世紀、世俗にまみれて堕落・腐敗したローマ・カトリック教会に抵抗するプロテスタントが生まれる
■15世紀、大海原に漕ぎ出したヨーロッパの航海者たちが世界経済を大きく変えた
■16~18世紀、覇権争いを繰り広げるヨーロッパの強国が世界各地に植民地を築く
■紀元前8~4世紀、オリエント世界に興ったアッシリアとアケメネス朝ペルシアが世界帝国として君臨する
■紀元前500年頃、アジア各国で信仰され、世界宗教のひとつになっている仏教がインドで生まれる
■4~6世紀、インドで産声をあげ、民衆の間に浸透したヒンドゥー教が仏教を駆逐
■610年頃、アラビア半島のオアシス都市メッカでアッラーを唯一神とするイスラーム教が成立する
■661年、勢力拡大を続けるイスラーム教がカリフの暗殺をきっかけにスンナ派とシーア派に分裂
■16世紀、地中海の覇権を握り異教徒を効果的に使ってオスマン帝国が大帝国に成長
■18世紀、躍進するイギリスで現代の資本主義社会につながる産業革命が起こる
■1775年~、イギリスの植民地への重圧が植民地の人々を怒らせ、アメリカ独立戦争が勃発
■1789年、英仏戦争での財政悪化とブルボン王朝の贅沢三昧がフランス革命の火種となった
■1804年、フランス革命を引き継いだフランスの英雄ナポレオンが〝ヨーロッパ帝国〞を建設する
■1861年~、産業構造の違いが原因で北部と南部の対立が深まり、アメリカ南北戦争が勃発
■19世紀後半、「眠れる獅子」と呼ばれた清がアヘン戦争でイギリスに負け、列強のアジア進出が加速
■1917年、中東の権益を狙うイギリスが現在のパレスティナ紛争につながる3枚舌外交を展開する
■1929年、世界恐慌が起こり、ブロック経済とファシズムが生まれ、世界は再び戦争へ向かう
『地図でスッと頭に入る世界史』監修者
祝田秀全(いわたしゅうぜん)
東京出身。歴史学専攻。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究員、代々木ゼミナール講師を経て、現在北九州予備校東京校で東大世界史講師を務める。『銀の世界史』(筑摩書房)、『東大生が身につけている教養としての世界史』(河出書房新社)、『2時間でおさらいできる世界史』(大和書房)、『歴史が面白くなる東大のディープな世界史』(中経出版)、『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)など、多数の著書・監修書がある。趣味はコーヒー飲用。ジャマイカのあの山の中腹でとれるコーヒー豆を炒って飲んでみたい。それに古典落語鑑賞。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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