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インディアン戦争は、どんなものだったのか

インディアン戦争①:セミノール戦争(フロリダ州)

セミノールと呼ばれるインディアンたちとアメリカの間で起こった紛争は、別名フロリダ戦争とも呼ばれ、過去3度にわたって繰り返されました。

インディアン戦争②:ビーバー戦争(オハイオ州)

オハイオ州では17世紀にビーバーの毛皮を巡って、アメリカ先住民のインディアンとフランスとの間で争いが起こった歴史があり、史上最も残虐な戦闘といわれました。

インディアン戦争③:バッドアックスの 戦い(ウィスコンシン州)

アメリカ先住民であるインディアンが政府軍に抵抗したブラックホーク戦争における最後の戦いは、ウィスコンシン州での出来事でした。非戦闘員を含んで敗走中だったブラックホークの一団が虐殺されました。

インディアン戦争④:リトルビッグホーンの戦い(モンタナ州)

モンタナ州の発展に大きく貢献した鉱物資源は、インディアンの悲劇につながりました。当時のモンタナ準州には、大勢の鉱夫が送り込まれたほか、軍事拠点も建設されていました。すると当然、先住民であるインディアンと衝突。アメリカの教科書に必ず出てくるリトルビッグホーンの戦いが1876年に勃発したのです。

南北戦争で活躍した指揮官・カスター率いる騎兵隊がインディアン部族の連合に全滅させられると、残虐行為を理由に世論を味方につけた政府はインディアンに対する規制を強め、次第に彼らの勢力を封じ込めました。
カスター中佐率いるアメリカ第7騎兵隊を、インディアン連合軍が打ち負かした戦いの記念碑がモンタナ州に立てられています。インディアンが誇る栄光の歴史の一つです。

現在、モンタナ州の人口のうち白人が約9割を占めますが、インディアンの祖先を持つ人の比率は6%と高くなっています。多数派の白人は、保護区やインディアンだけに許されるカジノなどを認めて共存を図っています。

インディアン戦争⑤:サンドクリークの虐殺(コロラド州)

1864年コロラド州で政府軍がインディアンのキャンプを襲撃し、非戦闘員を含む約500人を無差別攻撃しました。その場所は現在、国立史跡となり簡素な石碑が立っています。

インディアン戦争⑥:スー戦争(サウスダコタ州)

スー族の人々は1850年代には、連邦政府が定めたサウスダコタ州のインディアン居留地に住んでいました。しかし居留地内のブラックヒルズで金鉱が見つかると、事態は一転します。金の独占をもくろむ政府はインディアンを迫害を始め、これに抵抗したスー族の間で戦いになったのです。非戦闘員まで殺されたスー戦争は、両者の間に深い溝を残しました。

現在、サウスダコタ州人口の約1割をスー族が占めますが、貧困問題を抱えています。サウスダコタ州に限らず、先住民インディアンの貧困は現代アメリカが抱える解決すべき大きな課題とされています。

インディアン戦争⑦:フレンチ・インディアン戦争(メイン州)

1754年から1763年にかけてメイン州で起こったフレンチ・インディアン戦争は、北米におけるイギリスとフランスの代理戦争という側面があります。アメリカ支配をめぐり、イギリスとフランスがインディアンをも巻き込んで戦争を行ったのです。戦った勝ったのはイギリスでした。

アメリカ先住民「インディアン」の英雄たち

アメリカ先住民「インディアン」の英雄:シッティング・ブル

スー族の英雄クレイジー・ホースと並んでインディアンの間で英雄とされた戦士。本名はタタンカ・イヨタケで、スー族の精神的支柱でした。(1831~1890)

アメリカ先住民「インディアン」の英雄:ジェロニモ

アパッチの故郷アリゾナ州は、白人抵抗戦争の戦場でした。戦士ジェロニモは勇敢に戦うも敗北し、部族消滅は免れましたが自身は虜囚として生涯を終えました。

アメリカ先住民「インディアン」の英雄:ブラックホーク

誇り高きインディアン・ソーク族の長です。白人の侵略に抵抗したブラックホーク戦争での敗戦後は、政府の保護観察のもとに過ごしアイオワ州で没しました。

アメリカ先住民「インディアン」の英雄:ジョセフ

1879年頃にはオレゴン州で存在が記録されているインディアンで、ネズパース族との戦争で捕らえられた若き長ジョセフ。彼の名前の由来にオレゴン州には「ジョセフの町」という町があります。現在はアートで町おこし中です。

アメリカ先住民「インディアン」の英雄:ポカホンタス

白人と結婚し和平を結んだバージニア州の先住民インディアンの女性。捕虜である白人の命乞いをした逸話は真偽不明ですが、当時の人々はその物語を欲していました。(1595頃~1617)

現代に残るインディアン文化を見てみよう

アメリカに残るインディアン文化:感謝祭とワンパノワ族(マサチューセッツ州)

1620年にピューリタンの一団であるピルグリム・ファーザーズが、プリマスに入植しました。彼らの半数近くは病死しましたが、ワンパノワというインディアンの一族から食料を分け与えられ作物の栽培法を教えられて生き延びました。翌年、入植者たちはワンパノワ族のインディアンと収穫を祝う祝宴を催し、それがアメリカ人にとって最も重要な祭日の一つである感謝祭(サンクス・ギビング・デイ)となりました。この11月第4木曜は、七面鳥の丸焼きで祝うのが通例です。

アメリカに残るインディアン文化:ガンボ(ルイジアナ州)

先住民のインディアンと移民の味覚が結集して作られた郷土料理です。小麦を炒めてルーにし、具を入れて煮込んだらライスにかけていただきます。独特な味わい。ルイジアナ州の伝統料理です。

アメリカに残るインディアン文化:レッド・レイク・ パウワウ(ミネソタ州)

ミネソタ州のインディアン居住地で、音楽と踊りで命の輪を讃えるお祭り「パウワウ」が毎年開かれています。パウワウは交歓の集会という意味です。

アメリカに残るインディアン文化:インターナショナル・パウワウ(ノースダコタ州)

インディアンの部族の垣根を越えた伝統的な祭、パウワウ。ノースダコタ州ビスマルクでは、毎年アメリカ全土から数百人ものインディアンが集まっています。

アメリカに残るインディアン文化:クロウフェア(モンタナ州)

モンタナ州ビリングス近郊で毎年8月に行われる、インディアンの祭典。千を超えるティピー(テント)が設営され、パレードやパウワウ、ロデオが行われます。

アメリカに残るインディアン文化:カホキア墳丘(イリノイ州)

9~14世紀にかけて栄えたアメリカ先住民インディアンによる、ミシシッピ集落の遺産。周辺に70の墳丘がある世界遺産です。

アメリカに残るインディアン文化:メサヴェルデ国立公園(コロラド州)

コロラド州にある世界遺産。先住民インディアンのプエブロ族が築いた岩窟住居をはじめ、数えきれないほどの遺跡が状態良く保存されています。一度は見てみたい景色です。

アメリカに残るインディアン文化:インディアン保留地

サウスダコタ州を始めアメリカ南西部の州には、インディアン保留地があります。しかしインディアンが押し込められた土地は荒れ地で、農業に適さず、貧困を助長しています。カジノ運営権を与えられた部族もありますが生産性がある仕事とはいえず、アル中、ドラッグ、犯罪に結びついています。現代インディアンの環境は、白人到来前とは違った過酷さがあるのです。

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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