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フランス ボルドーの歴史

そんな世界遺産を差し置いて、ボルドーを世に知らしめたものといえばワインです。ボルドー市近郊における醸造ブドウの栽培面積約12万haは、フランスでトップクラス。そこに1万を超える生産者が存在し、平均作付面積は東京ドームの約2・8個分と広大です。

ボルドーワインの歴史

ボルドーのワインの歴史は2000年前から始まりました。ローマ文化が浸透し、ワインも持ち込まれたといいます。ボルドーでのワインの発展は、イギリス抜きには語れません。1152年、ボルドーを含むフランス南西部を支配していたアキテーヌ公国の娘アリエノール・ダキテーヌが、後のイギリス王アンリ・プランタジュネと結婚します。ボルドーは英国領となるものの、以来イギリスがワインの最大のマーケットとなり巨額の富をもたらしました。英仏による百年戦争を機に、イギリスとの交易が途絶えた後は、オランダなどへの輸出に切り替えて勢いは継続しました。

フランス ボルドーのワインが、「ワインの女王」たる理由

1855年にはボルドーワインの格付け制度ができ、当初4シャトーが1級とされましたが後に1シャトーが加わりました。しかし、19世紀末にウドンコ病などが農園を襲い、壊滅的なダメージを受けたのに加え、粗悪な偽物が市場に出回ってしまいます。

そこでボルドーワインの品質・権威を保つために制定されたのが、品種、収穫量、醸造法などを法律で定めた原産地呼称統制AOCでした。病気の流行以外にも、1830年代のボルドー銀行倒産によるシャトーの経営難や、第二次世界大戦による被害にもありました。それらの困難を乗り越え名声を不動にしたのは、土壌に恵まれていたからこそ

ボルドーのワインを支える醸造技術とボルドーの土壌

ボルドーのワインを支える醸造技術とボルドーの土壌
最高峰の5大シャトーのひとつ、メドック地区ポイヤックのシャトー・ラトゥール。長期熟成の力強いワインに定評あり

ガロンヌ川の砂利が堆積した土壌は排水性が良く、日照時間も長く地温が高いため、ブドウの成熟に最適です。さらに長き歴史で磨かれた醸造技術で仕込むワインは、単一品種から造られるブルゴーニュ産とは反対に、複数の品種をブレンドするので複雑かつふくよかな味わいで女性的「ワインの女王」と称されるボルドーワインが、憧れの存在として現在もワイン界をけん引しています。

フランス ボルドーのワインMAP

※拡大できます

ボルドーは3つの大きな川が区切り、6つの地区に大別できます。メドックおよびオー・メドック地区には5大シャトーのうち、4つが集中しています。ただ、生産の主流は長期熟成型の高級ワインではなく、早飲みワイン。グラーヴ地区では、メドック以外で1級格付けを獲得したシャトー・オ・ブリオンが有名です。ソーテルヌ・バルサック地区は、白の長期熟成タイプの貴腐ワインを産出するエリアです。アントゥル・ドゥ・メール地区は、辛口白ワインが定番です。太陽に恵まれたブール・ブライ地区は、熟した果実の香りのワインが特徴。サン・テミリオンのブドウ畑は、その美しさから世界遺産に登録されています。ほか、右岸地区のワインは豊かなコクを持つ長期熟成型が多くなっています。

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【監修者】Julie Blanchin Fujita (ジュリ・ブランシャン・フジタ)

1979年、シャラント県生まれ。2004年にストラスブールの国立美術学校(École supérieure des arts décoratifs de Strasbourg)を卒業。翌年からイラストレーターとして活動。
アマゾンを中心にポリネシア、オーストラリアなどを訪れ、現地の日常生活を描く。2008年に南極圏へ向かう取材の途中で東京に短期滞在し、翌年から日本での生活を始める。
2017年に日本の日常生活を綴った『J’aime le nattō(納豆が好き)』を、フランスの出版社Hikari Éditionsから出版しベストセラーに。子ども用ミニ絵本シリーズ『mon imagier japonais』[動物、もの、食べ物編など]を出版しているほか、2015年からNHK出版の「まいにちフランス語」にイラストの連載もしている。2児の母。

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