ワシントン州の政治
ワシントン州の選挙人の数は、12人です。1988年以降、ワシントン州では民主党の勝利が続いています。シアトルを中心とする都市圏で、リベラルが強いのです。それ以外の地方は共和党を支持しています。
ワシントン州は、西海岸の最北の州
ワシントン州は、年中雨が降っています。そういわれるのは、ワシントン州東部のシアトルやタコマのこと。カスケード山脈を隔てた西部では湿気を失った風が吹く平原が広がっており、麦や牛を育てる農畜産業が盛んです。
環太平洋の北部の最前線であり、カナダやアラスカに近い場所に位置しているワシントン州。つまり氷河期に陸地だったベーリング海峡を通り、アジアからインディアンが来た最初期の土地ということ。ヨーロッパの探検家、毛皮商人、プロテスタント伝道師が入って来たのは18世紀に入ってからです。
ワシントン州の入植の歴史
ワシントン州へ本格的な入植が始まったのは、中西部から太平洋岸を結ぶオレゴントレイルが確立された1843年が最初で、彼らはオレゴンから北上し、コロンビア川を渡ってワシントンを開拓しました。その子孫はワシントン州の州人口の5分の4に達します。
アメリカの中心から遠く、おまけに寒く後発であったことから南から来た黒人の数は多くありません。一方でシアトルとその近郊の発展にあやかろうと、20世紀の終わり頃からは、アジア系とヒスパニックが増えています。
ワシントン州のシリコンフォレスト
ワシントン州のシアトル一帯には、マイクロソフトやアマゾンが本拠を置きシリコンフォレストと呼ばれています。スターバックスやタリーズも生まれ、ボーイングの拠点もあります。
産業振興に成功した理由として、LGBTにも優しいリベラルな気風とカナダ色が強い独特な商圏、低めの税率があげられます。そうなったのはアメリカの太平洋側の北部の拠点という唯一無二の特徴が大きく、簡単には真似することはできません。
ワシントン州を知るキーワード
ワシントン州のキーワード:シアトル
ワシントン州にあるアメリカ最北の大都市。林業、食品加工、造船、航空機と産業の盛衰を繰り返して成長を続け、現在はITとソフトとコーヒーの町。
ワシントン州のキーワード:雨降りばかり
シアトルでは、10月からの約半年はシトシト雨の季節です。霧雨が多いため雨量だけ見るとさほどではなく、年間降水量は1千ミリ弱。これは東京の3分の2。
ワシントン州のキーワード:リンゴ
リンゴ栽培が有名でアメリカ最大の産地。年間230万トン以上を作り、これは日本の3倍以上。特にオーガニックリンゴの評価が高いです。
ワシントン州のキーワード:スポーケン
西部にあるワシントン州第2の都市。市内を流れる滝を見渡すロープウェイがあります。名前の意味は「太陽の子」で、年間を通じて晴れの日が多い。
ワシントン州のキーワード:グランドクーリーダム
高さが約167メートル、長さ1.6キロと超巨大なダム。完成は1942年。ダムの電力でアルミが生成され、大戦中に航空機や戦艦が造られました。
ワシントン州のキーワード:タコマ行きの列車
ノーザンパシフィック鉄道の終着駅として、ワシントン州タコマが選ばれたことで町が発展。そのためタコマは、運命の町という愛称で呼ばれています。
ワシントン州のキーワード:ヤカマ族
ヤキマともいう。カスケード山脈とコロンビア川流域に暮らしていました。1855年のヤカマ戦争の結果、現在の保留地に押し込められました。
ワシントン州のキーワード:ランボー
ベトナム帰還兵のランボーが、戦争後遺症に苦しむ姿を描く社会派映画。舞台は、ワシントン州のホープという山間の架空の田舎町。
ワシントン州のキーワード:セントヘレンズ山
1980年に大噴火。大規模な山体崩壊が起こり、3千メートル近かった標高が400メートル近く下がって、大きなカルデラが出現しました。
ワシントン州のキーワード:オリンピック国立公園
ワシントン州の世界遺産。域内にほぼ道路がなく、95%が未踏の地。そのためエルクやクジラなどの生き物の楽園です。意外と都市から近く観光しやすい。
ワシントン州のキーワード:鮭缶工場
1866年に最初のサケ缶工場が、ワシントン州のイーグルクリフにできました。20世紀に入るまではコロンビア川を遡上するサケのおかげで、大いに潤いました。
ワシントン州のキーワード:ワラワラ町の甘たまねぎ
農業が盛んなワシントン州南西部の町。名産であるスイートオニオンは、地元で活動する野球チーム、その名もワラワラ・スイーツのマスコットです。
ワシントン州の著名人
ワシントン州の著名人:ギタリスト ジミ・ヘンドリックス
ワシントン州シアトル生まれ。ロックの黎明期に活躍し、爆音で音を引き伸ばすエレキギターの潜在能力に、いち早く気づいた伝説のプレーヤー。(1942~1970)
ワシントン州の著名人:MS創設者 ビル・ゲイツ
ワシントン州シアトル生まれ。マイクロソフト社の共同創設者で元会長。推定資産は約11兆円。環境問題や開発途上国の問題に取り組む篤志家。(1955~)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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