ワイオミング州の政治
ワイオミング州の選挙人の数は、3人です。ワイオミング州は独立心が強く政府の規制を嫌うため、共和党の牙城。戦後に民主党が勝ったのは2回だけで、オバマブームすら跳ね除けました。
ワイオミング州の女性参政権
ワイオミング州は、2つの愛称を持っています。1つは平等の州。ワイオミング州がこう呼ばれるのは1869年に女性参政権を、他州に四半世紀以上先駆けて承認したからだとワイオミング州の州民は誇らしげに語ります。実際に翌70年には、ララミーで最初の女性による投票が行われました。
1890年には女性参政権が問題視されて、一時は州昇格が危ぶまれる事態にまで発展しましたが、「女性なしで合衆国入りをするよりも、我々は後百年アメリカに入らない道を選ぶ」と当時の代表が言い放ち、見事女性の選挙権を認めさせた上で州昇格を果たしています。
その後はアメリカ初の女性州知事を誕生させました。1924年にネリー・テイロー・ロスが選挙直前に亡くなった夫の後を継ぐ形で州知事に当選したのです。
ワイオミング州は、カウボーイの州
ワイオミング州のもう1つの愛称は、カウボーイの州。ここには西部の伝統が息づいており、大きなお祭りでは必ずといっていいほど、ロデオ大会が催されます。牧畜も盛んで、ワイオミング州の農業経済の3分の2以上を占めるほどです。
とはいえ、やはりワイオミング州といえばイエローストーン国立公園。観光はエネルギー産業とともにワイオミング州の州経済の柱で、年々増加中の旅行者の数は一千万人に迫ろうとしています。エネルギー産業は環境破壊とセットであるため課題も多いですが、クリーンエネルギーへの転換を活路にした政策で共存の道を模索しています。
ワイオミング州を知るキーワード
ワイオミング州のキーワード:デビルズタワー
噴き出たマグマが冷えてできた、高さ386メートルの円柱形の山。映画『未知との遭遇』では、人類が口を開けて見守るなか宇宙船が着陸しました。
ワイオミング州のキーワード:聖なる輪
ビッグホーン山脈のメディスンマウンテンにある石の輪。中央から28のスポークが出ています。インディアンが、儀式や天文に用いていました。
ワイオミング州のキーワード:ワイオミング 恐竜センター
50を超える化石、数百のディスプレイとジオラマがあり、化石の掘り起こし体験が人気を博す博物館。場所は、ワイオミング州中部サーモポリス。
ワイオミング州のキーワード:パウダー川盆地
化石燃料が豊富なワイオミング州にあって、パウダー川盆地のソルトクリークでは大規模な石油採掘が行われました。ワイオミング州南東部には、シェールも眠ります。
ワイオミング州のキーワード:ウラン鉱石採掘
石油、石炭、天然ガスのほか、黄色い天然ウラン鉱石が採れます。ワイオミング州のアメリカ最大のウラン鉱山は、カナダ企業カメコが所有。
ワイオミング州のキーワード:西部の無法者たちの挽歌
ブッチ・キャシディーとサンダンス・キッドの強盗団ワイルドバンチは、ワイオミング州やモンタナで暴れ回り、このあたり一帯の荒野に潜んでいました。
ワイオミング州のキーワード:ララミー
テレビで放送された西部劇『ララミー牧場』の舞台があります。現在は、ワイオミング大学やララミー空港がある立派な町に成長しています。
ワイオミング州のキーワード:シャイアン
1897年から続く世界最大のロデオの祭典が、7月にワイオミング州で開催されます。特設ステージではカントリー歌手が美声を披露。観客は20万人を超えたことも。
ワイオミング州のキーワード:イエローストーン国立公園
高さ40メートルまで熱水を吹き上げる間欠泉や蛍光色の温泉プールは、火山が作り出す神秘の光景。広島県と同じ広さの世界遺産です。
ワイオミング州のキーワード:グランドティトン国立公園
イエローストーンの南側に位置し、グランドティトンを中心に3000メートル級の山が連なります。映画『シェーン』の撮影が行われました。
ワイオミング州のキーワード:ロックスプリングスの虐殺
鉄道開通で、ワイオミング州ロックスプリングスの炭鉱には移民が集まりました。それゆえ諍いも増え、中国人労働者との確執は、虐殺事件にまで発展しました。
ワイオミング州のキーワード:バイソン・バーガー
ワイオミング州のご当地バーガー。乱獲で絶滅寸前に追い込まれたバイソンは、現在保護され農場で飼育されています。その肉は低脂肪で健康志向の人に好評。
ワイオミング州の著名人
ワイオミング州の著名人:カウボーイ バッファロー・ビル
バッファローを狩り、カウボーイの見せ物を興行した西部の凄腕ガンマン。本名に因んだコーディの町がワイオミング州にあります。(1846~1917)
ワイオミング州の著名人:政治家 ディック・チェイニー
ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務め、イラク戦争に大きく関わったとされています。ワイオミング州で政治家キャリアをスタートしました。(1941~)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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