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カンザス州の政治

カンザス州の選挙人の数は、6人です。カンザス州は農業州らしく、保守的で共和党の牙城です。一方でヒスパニックが増えており、州政府レベルで民主党の力が増しています。

カンザス州は、揺れる麦の穂に歴史あり

カンザス州は、アメリカの歴史通が素通りできない州です。奴隷制をめぐり容認派と反対派が激しい闘争を繰り広げた「流血のカンザス」南北戦争の古戦場、アイクの愛称で親しまれるアイゼンハワー元大統領の少年時代の家にいたるまで、博物館や歴史的遺構が点在しています。

カンザス州の麦の歴史

全米で1、2位の生産を誇るカンザス州の麦についても歴史を紐解くとおもしろい。少雨や寒さに比較的強いこの穀物を持ち込んだのは、19世紀後半の鉄道敷設と時期を同じくして移住してきたドイツ系移民でした。正確にはヴォルガ・ドイツ人と呼ばれ、帝政ロシア時代にロシアに移住したドイツ人の末裔といわれる人々です。

彼らがもたらした赤い冬小麦は、土地の起伏が少なく大規模機械農業に適したグレートプレーンズに広がりました。これにより初期の移民が冬は飢えに苦しみ、バッファローの肉で命をかろうじてつなげるしかなかったカンザス州は、「世界のパン籠」といわれる中西部の大農業地帯の一角をなすまでに成長したのです。

カンザス州は、アメリアのど真ん中

好都合なことにカンザス州は、センター・オブ・アメリカと呼ばれ、アメリカの中央に位置する交通の要衡です。小麦の運搬にうってつけなのに加え、カンザス州内の町は牛の輸送拠点や中継地としても栄えました。
有名なのは、カンザス州南部にあるダッジシティ。荒々しいカウボーイ、彼らを相手にする酒場と娼婦、清濁併せのむ保安官が暴れ回った西部劇らしい町は、当時の雰囲気を今に残す立派な観光地になっています。

カンザス州を知るキーワード

カンザス州のキーワード:ドワイト・デビッド・アイゼンハワー

カンザス州アビリーンの記念館に墓地や家が残されています。1911年陸軍士官学校に入学した彼は軍人としてのキャリアを積み、大統領まで出世しました。

カンザス州のキーワード:竜巻街道

カンザス州は、家を吹き飛ばす強力な竜巻が頻繁に発生する地域。メキシコ湾の湿った空気が南西の乾いた風とぶつかるのが原因です。5、6月が特に危ない。

カンザス州のキーワード:カンザスビーフ

カンザスビーフが有名で地元でも食べられています。7月4日の独立記念日は麦の収穫の終わりの時期、地元の肉を使ったバーベキューで豊穣を祝います。

カンザス州のキーワード:トップクラスの小麦生産

パンに適した粒が硬い硬質冬小麦を作付けします。9月上旬から下旬にかけて植えると、収穫できるのは翌年の6月から7月にかけて。

カンザス州のキーワード:巨大ショベル 「ビッグブルータス」

地上15階のビルに相当する高さがあり、1回150トンの石炭をすくいます。1963年に完成し10年ほど活躍した後、博物館に寄贈されました。

カンザス州のキーワード:セスナ社

軽飛行機の代名詞「セスナ」は、セスナ社の製品。本社があるウィチタは、小型航空産業の集積地です。ボーイングの旅客機の部品もこの町で作っています。

カンザス州のキーワード:鉄道

カンザス州では、1860年代後半から1870年代にかけ最初の鉄道が敷設され、テキサスからの牛を運びました。鉄道は建設時に労働者である移民を呼び込びました。

カンザス州のキーワード:ダッジシティ

市内にある西部開拓時代の史跡や、ロデオ大会を見にカウボーイマニアが集まります。ブートヒル博物館には、開拓時代の史料が保存されています。

カンザス州のキーワード:モニュメントロックス

平原に忽然と現れる奇岩。高さ20メートルを超える石灰質の岩が立ち並ぶ。あまりに奇妙な光景のため、カンザス州の8不思議に選ばれました。

カンザス州のキーワード:オズの魔法使い

カンザス州の少女ドロシーが、竜巻に巻き込まれて異世界へ飛ばされる児童小説。1939年公開の映画版の主演はジュディ・ガーランド。

カンザス州の著名人

カンザス州の著名人:ソウル・シンガー ジャネール・モネイ

カンザス州カンザスシティ生まれ。圧倒的なパフォーマンスと、新時代のソウルを融合させるグラミーの常連女優やモデルとしても活躍しています。(1985~)

カンザス州の著名人:飛行士 アメリア・イアハート

カンザス州アチソン生まれ。リンドバーグに続き大西洋単独横断飛行に成功しました。女性としては初の快挙。世界一周飛行中に消息を絶っています。(1897~1937?)

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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