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ミズーリ州の政治
ミズーリ州の選挙人の数は、10人です。ミズーリ州は激戦州の1つですが、近年は共和党が優勢です。2016年もトランプ共和党が勝利しました。クリントン(隣州出身)の時は、民主党支持していました。
ミズーリ州は、南北戦争では境界州。戦後は工業化に成功した州
アメリカには、風土が周囲と交わる「十字路の州」がいくつかあります。ミズーリ州はその1つで、全米最多となる8州と隣接しています。プレーリーのコーンベルトと、南部のプランテーションの両方が存在する土地で、つまり少なからず奴隷がいたのです。
ミズーリ州の南北戦争
ミズーリ準州が、合衆国にミズーリ州として合流しようとしたのは1820年。もしこれが叶えば、11対11で拮抗していた北部自由州と南部奴隷州のバランスが崩れます。
そこで政府が下した決定は、ミズーリ州を認めると同時に、メイン州を独立させ12対12とし、北緯36度30分以北で奴隷制を禁じるという妥協でした。
やがて南北戦争が勃発すると、ミズーリ州は奴隷制を維持しながら自由州に残り、州内の勢力が割れて北軍とも南軍とも戦う境界州となったのです。
境界の街 ミズーリ州セントルイス
ミシシッピ川沿いの町セントルイスは、アメリカの西の終わりでした。それが1803年のルイジアナ購入で国土が一気に西へ2倍広がると、西への玄関口へと変貌します。太平洋を目指したルイスとクラーク探検隊の出発地も、ここアイオワ州です。
旅立ちの町となったセントルイスは急速に都市化・工業化し、バドワイザーや、化学肥料の安全性で物議をかもしたモンサントが本社を置きました。繁栄の頂点は、1904年のセントルイス万博と五輪です。今は当時の輝きは薄れましたが、セントルイスとミズーリ州は農業、自動車、化学製品で健闘しています。
ミズーリ州を知るキーワード
ミズーリ州のキーワード:綿花栽培
トウモロコシと綿花が特産品のミズーリ州。綿花栽培を始めたのは、奴隷を連れてプランテーションを造営した白人たちで、現在も主要作物の1つです。
ミズーリ州のキーワード:マーク・トウェインとトム・ソーヤ
トム・ソーヤとハックルベリー・フィンが活躍する物語の生みの親は、ミズーリ州フロリダの町に生まれました。物語の根幹には、ミシシッピの流れがあったのです。
ミズーリ州のキーワード:セントルイス
西部への入り口を示す巨大アーチのゲートが、ランドマークの大都市。バドワイザーやイモズピザというローカルチェーンの本社があります。
ミズーリ州のキーワード:カンザスシティ
世界で2番目に噴水が多く観光の目玉にしています。1番はイタリアのローマ。かつて黒人野球リーグ「ニガーリーグ」が存在していました。
ミズーリ州のキーワード:セントジェネビーブ
18世紀にミシシッピを遡ってきたフランス人が造った町。独特な形の屋根をした古い木造の家があります。ミズーリ州にあるこぢんまりとした観光地です。
ミズーリ州のキーワード:劇場の街ブランソン
約50の劇場があり、ブロードウェイよりも席数が多いと誇る町。歌、演芸、マジックショーとあらゆるライブが生で見られます。
ミズーリ州のキーワード:ミズーリ大学フットボールチーム
4大プロスポーツを差し置いてミズーリ州の人が最も熱狂するのが、ミズーリ大タイガース。試合のテレビ中継がある日は、町が多少静かになります。
ミズーリ州のキーワード:トルーマン第33代大統領
ミズーリ州ラマー生まれの大統領で、末期の第二次世界大戦、朝鮮戦争、冷戦を指揮しました。日本への原子爆弾投下を命令した人物。ステーキが好物でした。
ミズーリ州のキーワード:名著『料理の喜び』
1931年にミズーリ州セントルイス出身のイルマさんが自費出版した料理書は、今も読まれ続ける大ベストセラーです。
ミズーリ州のキーワード:黒クルミ
ミズーリ州でよく採れる名産品。中身を取り出した後の硬い殻は捨てません。なぜなら、細かく砕いてダイナマイトの原料にするからです。
ミズーリ州のキーワード:オザーク国立リバーウェイ景勝区
川と水系を守るために作られた初めての国立公園。「魅力は川だけじゃないよ」とミズーリ州の地元の人は言い、キャンプや山歩きを勧めてくれます。
ミズーリ州のキーワード:ジョン・ハーデマン・ ウォーカーの靴のかかと
ミズーリ州南東部の飛び出た地域。1811年の大震災で多くの人がここを去るなか、ジョンは復興に力を注ぎました。やがて農場ができ、1818年にミズーリ州の合衆国入りの話が出ると、ジョンらはアーカンソーより結びつきが強いミズーリ州の一部になることを望んだのでした。
ミズーリ州の著名人
ミズーリ州の著名人:ジャズメン チャーリー・パーカー
ミズーリ州カンザスシティ生まれのアルトサックスプレーヤー。即興アドリブを真髄とするビバップの先駆者で、ジャズに革命と破壊をもたらしました。(1920~1955)
ミズーリ州の著名人SF作家 ロバート・A・ハインライン
ミズーリ州バトラー生まれ。海軍勤務の後に作家に転向し、『月は無慈悲な夜の女王』『夏への扉』を執筆しました。SFを一般化させた功労者にして鬼才。(1907~1988)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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