アイオワ州の政治
アイオワ州の選挙人の数は、6人です。アイオワ州は2016年大統領選で、トランプ共和党を支持。しかしアイオワ州東部や州都で民主党が強く、時と場合でどちらにも傾く可能性があります。
アイオワ州はコーンベルトとハイテクが同居する州
アイオワ州の土地の8〜9割が農地でトウモロコシ畑が延々続き、その一部を飼料にしてすくすくと子豚が育っています。そんなまごうことなき中西部の一大穀倉地帯にも、近年はハイテクの波が押し寄せています。
アイオワ州は、再生可能エネルギーの活用によって電力代が平均より安く、税制優遇政策も手伝って、アップル、グーグルなどのデータセンターが誘致されているのです。
アイオワ州の歴史
アイオワ州の州都デモインの都市圏は19世紀後半に炭鉱の町として栄え、20世紀後半になると金融、保険、出版などが興って産業構造の変化に対応しました。
現在はアイオワ州の州内で最大の都市圏に成長しましたが、それでも人口は100万に満たず、どこかゆったりした時間が流れています。
アイオワ州は、大統領選挙の初戦の地
普段は静かな農業州のアイオワ州は4年に1度、トウモロコシの香り漂うまどろみから慌ただしく起きます。大統領選挙のためです。
アイオワ州では大統領選の予備選にたっぷり時間をかけています。アイオワ州を約1700の地区に分け、何度かの話し合いと投票をするという丁寧で複雑なプロセスを経るのです。かかる時間を確保するために、他州よりも早期に党員集会・予備選を行っています。
こうした背景でアイオワ州は他州に先駆けて、大統領選挙の第一歩を始めるアーリーステーツの1つとなりました。苛烈な報道が手伝い、アイオワ州の情勢は大統領選に大きな影響を与えるので、多くの大統領候補者がデモインに選挙運動の拠点を置いています。
アイオワ州を知るキーワード
アイオワ州のキーワード:豚
トップクラスのトウモロコシ生産に加え、豚肉生産が国内1位。アメリカの豚の3分の1はアイオワ州が故郷で、人より豚の方が7~8倍多いのです。
アイオワ州のキーワード:ブラックホーク
誇り高きソーク族の長。白人の侵略に抵抗したブラックホーク戦争での敗戦後は、政府の保護観察のもとに過ごし、アイオワ州で没しました。
アイオワ州のキーワード:タイダム族
ベトナムやラオス周辺に住む少数民族のタイダム族は、1975年にラオスで社会主義政権が誕生すると一部がアイオワ州に亡命しました。
アイオワ州のキーワード:植民地アマナ
ドイツ敬虔主義者たちが作った7つの村。設立は1850年代。現在も自給自足の宗教的コミュニティの姿を残す、アイオワ州の人気の観光スポットです。
アイオワ州のキーワード:アメリカン・ゴシック
1930年の油絵で、アイオワ州エルドンの町の田舎家が農民の背後に描かれています。その存在感からしばしばパロディーの対象となり、2020年はマスクをされ、ソーシャルディスタンスをとらされました。
アイオワ州のキーワード:フィールド・オブ・ドリームズ
1989年公開の野球ファンタジー映画。トウモロコシ農家の主人公が、何者かの声に従い農地に野球場を作ると奇跡が起きます。「ここは天国かい?」「いやアイオワ州さ」の名台詞にアイオワ州民は誇りを感じています。
アイオワ州のキーワード:バター牛
毎夏デモインで開かれる「アイオワ・ステート・フェア」の名物は、600ポンドのバターで作られた牛。アイオワ州の州民なら1度は目にしています。
アイオワ州のキーワード:マディソン郡の橋
アイオワ州ウィンターセットにある屋根付き橋「ローズマン・ブリッジ」は、映画『マディソン郡の橋』の舞台として世界的に有名となりました。
アイオワ州のキーワード:贖罪の岩窟
アイオワ州ウエストバンドにある宗教的岩窟で、宝石・鉱物が積み込まれています。ドイツ移民の神父が肺炎の完治を願い、約半世紀かけ手作りしました。
アイオワ州のキーワード:牛肉そぼろサンド
アイオワ州のご当地バーガー。牛肉がパティではなくそぼろなので、アメリカ人はバーガーに分類しません。地元チェーン店メイドライトの看板商品です。
アイオワ州の著名人
アイオワ州の著名人:第31 代大統領 ハーバート・フーヴァー
アイオワ州で生まれ、幼少期から西海岸へ移住。鉱山技師を経て大統領になりました。任期中に大恐慌が起きてしまいました。(1874~1964)
アイオワ州の著名人:映画人 ジョン・ウェイン
アイオワ州で生まれ、幼少期から西海岸へ移住。名画『駅馬車』の主演で西部劇の黄金時代に俳優、監督として活躍しました。(1907~1979)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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