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ウィスコンシン州の政治
ウィスコンシン州の選挙人の数は、10人です。ウィスコンシン州は激戦州で、どちらにも傾きます。2016年は、大接戦の末にトランプ共和党が勝利しました。背景には、白人労働者層の存在がありました。
ウィスコンシン州は1にチーズ、2にチーズ!
「名物は何?」の質問に、ウィスコンシン州の多くの人は真っ先に寒さとチーズを思い浮かべます。一部のんべぇはビールとソーセージと答えます。彼らの認識は正しく、アメリカのチーズの4分の1が、ウィスコンシン州南東部、ミシガン湖沿岸、ウィスコンシン州北東部を結ぶチーズ三日月地帯の牛と職人の手で作られています。
ウィスコンシン州の名物を生んだ移民
これらの食べ物をもたらしたのは、1830年代に大きく増加したヨーロッパ北部の移民です。以前は四千人の坑夫が鉄と鉛を掘っていましたが、その頃農業従事者が増加。人口を10倍の30万まで膨れ上がらせたのは、五大湖を渡って来たドイツ、ノルウェー、スイス出身の農民でした。
初のチーズ工場ができたのは、1831年。1845年にはウィスコンシン州グリーン郡にスイス人が身を寄せました。それからチーズ産業は工場による大量生産と相まって成長し、20世紀前半にピークを迎えました。
ウィスコンシン州のラストベルト地帯
チーズ職人と農民を運んだ五大湖は、沿岸で水運を生かした工業が発展・衰退したラストベルト地帯です。ウィスコンシン州東部も属しており、グリーンベイでは製紙が、ミルウォーキーでは製造業が成長しました。紙の代表はトイレットペーパー作りで、後者はハーレーです。
残念ながらデトロイトなど他のラストベルト都市同様に、ミルウォーキーも空洞化して犯罪都市になりました。しかし、危険なエリアに近づかなければいいだけ。チーズが作られ、大自然があるのは郊外で、都市とそうでない場所のコントラストがかくも激しいのがアメリカなのです。
ウィスコンシン州を知るキーワード
ウィスコンシン州のキーワード:トイレットペーパーの首都
ウィスコンシン州グリーンベイは、豊かな森林資源を生かした製紙の町として栄えました。トイレットペーパーやティッシュが主力製品で、その首都と呼ばれました。
ウィスコンシン州のキーワード:チーズ
ウィスコンシン州は、年間100万トンのチーズを生産しています。バーモント州の白チェダーを黄色に加工したりもしています。チーズ文化をもたらしたのは、初期の移民。
ウィスコンシン州のキーワード:ミルウォーキー
ミシガン湖に面した工業都市。ライダーのあこがれハーレーダビッドソンの本社があります。ただし、近年工業は低迷中で犯罪率が上昇中。
ウィスコンシン州のキーワード:グリーンベイ・パッカーズ応援団
地元グリーンベイを拠点とするアメフトチームの応援団は、チーズ頭と呼ばれています。その理由は一目瞭然。皆がチーズを愛しているのです。
ウィスコンシン州のキーワード:ドア郡灯台
19世紀から20世紀初頭にかけ、船を導いた10以上もある灯台。この半島に移民してきたアイスランド人が建設に関わったとされています。
ウィスコンシン州のキーワード:バッドアックスの戦い
インディアンが政府軍に抵抗した、ブラックホーク戦争における最後の戦い。非戦闘員を含んで敗走中だったブラックホークの一団が、虐殺されました。
ウィスコンシン州のキーワード:アメリカ人参
ウィスコンシン州は、ニッチな作物を作っている州として知られています。代表格が漢方薬に使われる朝鮮人参のアメリカ版。輸出先は中国です。
ウィスコンシン州のキーワード:金曜の晩は魚のフライに決まり!
カトリックの安息日である土曜の前に、スペリオル湖で取れた魚をまとめてフライにしました。この昔の習慣が、現在も形だけ残っています。(諸説あり)
ウィスコンシン州のキーワード:ライネンクーゲル
ウィスコンシン州チペワフォールズの老舗ビールメーカー。創業は1867年で、鉄鋼マンとして移民してきたドイツ人のジェイコブさんが醸造所を始めました。
ウィスコンシン州のキーワード:チェクワメゴン・ニコレット国立森林公園
ウィスコンシン州北部の国有林で、広さは約6000平方キロ。アメリカフクロウも生息している野生動物の宝庫で、釣りやトレッキングを楽しめますが寒いです。
ウィスコンシン州のキーワード:アポストル群島
約20キロの湖岸沿いに、ユニークな形をした21の島が点在しています。じっくり見るにはカヤックで島巡りをしてみるのが一番です。でも寒い。
ウィスコンシン州の著名人
ウィスコンシン州の著名人:建築家 フランク・ロイド・ライト
近代建築の巨匠で、作品群が世界遺産登録されています。ニューヨークのグッゲンハイム美術館や日本の旧帝国ホテルを設計しました。(1867~1959)
ウィスコンシン州の著名人:作家・教師 ローラ・インガルス・ ワイルダー
『大草原の小さな家』を執筆しました。作中に白人が持っていたマイノリティへの差別意識が出ており、物議を醸しています。(1867~1957)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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