イリノイ州の政治
イリノイ州の選挙人の数は、20人です。近年は民主党の牙城です。しかし、人口が多いシカゴ圏で民主党が強い一方、それ以外の田舎は共和党が強いという分断があります。
イリノイ州は、普通のアメリカ
イリノイ州は、「アメリカで最も平均的な州」といわれています。バットマンやアル・カポネが暗躍したアクの強い大都市シカゴを擁するには程遠い、「平均」「普通」という印象はどこからくるのでしょうか?
イリノイ州の面積が25番目と真ん中であること。イリノイ州の人種構成比がアメリカの平均値に近いことなどが、その理由としてあげられますが、それだけではなさそうです。
イリノイ州の多様なビジネス
イリノイ州は、トゥー・フェイスどころか顔がいくつもあります。
ラストベルトのど真ん中で、製造業だけでなく、金融、メディアなどあらゆるビジネスがしのぎを削るシカゴ圏(シカゴランド)は、イリノイ州の一部分にすぎないともいえるのです。
シカゴだけじゃない!イリノイ州
イリノイ州の中部は肥沃なコーンベルトにあたり、トウモロコシや大豆の一大産地です。
奴隷解放の父・リンカーン大統領が暮らしたイリノイ州の州都スプリングフィールドもここにあり、いまだ人々に愛され続けています。南部はかつて炭鉱や小規模な油田で栄え、古い町並みを残す田舎町が観光客に人気です。
アメリカらしい商農工の繁栄、一部大都市とその他の田舎町という風景、文化と多様な人種がすべてそろっているという意味でイリノイ州はアメリカの平均であり、ある種の象徴といえるのです。
逆にないのは山。イリノイ州内の最高地点であるチャールズ・マウンドですら高さ376メートルで、シカゴのウィリスタワーの高さ442メートルより低いです。
イリノイ州を知るキーワード
イリノイ州のキーワード:ミシガン湖
五大湖の1つで、チペワ族の言葉で「大きな湖」という直球の意味。ミシシッピ川とつながる運河が造られ水運が発達しました。
イリノイ州のキーワード:シカゴ
人口約270万、アーリントンハイツなど周辺を含めたシカゴランドは、約1千万。ランドマークは、ウィリスタワー。芸術とスポーツ(4大スポーツ全部)も盛んです。
イリノイ州のキーワード:スプリングフィールド
イリノイ州の州都であり、リンカーン大統領が暮らした土地。家や墓地を訪れる人が絶えず、今も人権を尊ぶイリノイ州の良心の源です。
イリノイ州のキーワード:ルート66
イリノイ州シカゴと、カリフォルニア州サンタモニカを結ぶ大陸横断道路。廃線となりましたが、文化を西部まで運んだ道として歌や映画に記録されています。
イリノイ州のキーワード:ピオリアでうまくいく?
ピオリアは、イリノイ州中部の都市。アメリカの平均的な都市のメタファーとしてかつて語られ、「ピオリアで成功するの?(するなら全米で成功するよ)」という言い回しが有名でした。
イリノイ州のキーワード:コーンベルト
イリノイ州中部は肥沃な黒色土に覆われ、トウモロコシや大豆を大量に作っています。トウモロコシ由来のバイオエタノールも作っています。
イリノイ州のキーワード:原子力発電所
アメリカで最も多くの原発があるイリノイ州。その数は2020年時点で11基。原子炉臨界実験に世界で初めて成功したのは、シカゴ大学なのです。
イリノイ州のキーワード:カホキア墳丘
9~14世紀にかけて栄えた、アメリカ先住民によるミシシッピ集落の遺産。周辺に70の墳丘がある世界遺産です。
イリノイ州のキーワード:蛍石
イリノイ州南部は、かつて蛍石(フローライト)と呼ばれる鉱石の有名な産地でした。鉱山は閉山しましたが、今でも一部の標本が流通しています。
イリノイ州のキーワード:ディープ・ディッシュ・ピザ
ものすごく分厚い「ディープ・ディッシュ・ピザ」は、シカゴの名物の1つ。大量のトマトソースとチーズで、食べ応え抜群で大人気です。
イリノイ州の著名人
イリノイ州の著名人:映画王 ウォルト・ディズニー
ミッキー誕生の立役者は、イリノイ州シカゴ生まれ。アイルランド移民の子で、貧困をバネにアニメやテーマパークなど数々の事業を成功させました。(1901~1966)
イリノイ州の著名人:第44 代大統領 バラク・オバマ
第44代合衆国大統領で、初の非白人大統領。生まれはハワイのホノルルで、弁護士や上院議員として活躍したのはイリノイ州でした。(1961~)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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