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オクラホマ州の政治
オクラホマ州の選挙人の数は、7人です。1968年以降、共和党の大統領候補を選び続ける、堅固な保守の地盤です。2016年は全郡がトランプ支持で、オクラホマ州が赤く染まりました。
オクラホマ州は、百年前に抜け駆けした者たちの州
オクラホマ州でアメリカ人がまず思い描くのは、鍋の取手(パンハンドル)が付いたような形。この細長い部分は「ノーマンズランド」と呼ばれた荒野で、インディアンも開拓者も、辺境の中の辺境に本格的に根付くことはありませんでした。
オクラホマ州へと続く「涙の道」
1830年代、白人の居住区域が拡大するにつれ全米各地でインディアンが排除されました。
その強制移住先となったのがオクラホマ州です。欧米文化を取り入れたインディアン(文明化五部族)すら追いやられ、チェロキーやチョクトーが通った過酷な道のりは「涙の道」と呼ばれます。このためオクラホマ州はインディアンが多いのです。
オクラホマ州の愛称スーナーの由縁
その後、政府は1889年にオクラホマ州中央の約8千平方キロの土地を開放し、先着順で土地を無償提供すると決めます。開放時刻である4月22日の正午には開拓者たちが一斉に走り出したといわれ、正午を前に抜け駆けした者もいたといいます。この掟破りたちはスーナーと呼ばれ、やがてオクラホマ州の愛称として定着していきました。
彼らはなりふり構わず手にした土地で農業を始めたので、オクラホマ州の小麦やトウモロコシなどの生産高は現在も多いのです。他には綿花プランテーションで栄えたアメリカ南部と近く、綿花が栽培されています。
1930年代にはアメリカ中西部各地で頻発した巨大砂嵐「ダストボウル」で甚大な被害を受け、人口の7%がオクラホマ州外に流出しましたが、畜産と食品加工、石油や天然ガスといったエネルギー産業が21世紀のスーナーズの暮らしを支えています。
オクラホマ州を知るキーワード
オクラホマ州のキーワード:パンハンドル
オクラホマ州は、奴隷制の賛否を分けた南北の境目に位置したことで細長い陸の孤島となり、本格的な開拓も進んでいなかったため、誰も積極的に領有を主張しませんでした。1890年にオクラホマ準州に組み入れられるまでは、誰の物でもないノーマンズランドだったのです。
オクラホマ州のキーワード:チェロキー
東部からの強制移住の道のり「涙の道」で4000人が命を落としたとされるチェロキー族は、オクラホマ東部に腰を落ち着け、今も暮らしています。
オクラホマ州のキーワード:タルサのゴールデンドリラー像
石油採掘人の巨大像があるタルサは、キリスト教を熱烈に信仰するバイブルベルトにあって、ベルトのバックルとされるほど敬虔な町。
オクラホマ州のキーワード:オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件
1995年に起きた168名が犠牲になったテロ。主犯がアメリカ人の元軍人であったことに衝撃が走りました。現在は慰霊碑が立っています。
オクラホマ州のキーワード:オクラホマプライムリブ
オクラホマでプライムリブといえば、ボローニャ・ソーセージのことです。スライスしてサンドイッチに挟んで食べることが多い。
オクラホマ州のキーワード:ショッピングカート発明
オクラホマ州は、ショッピングカート発祥の地という説があります。地元スーパーの経営者シルヴァン・ゴールドマン氏が発案したといいます。
オクラホマ州のキーワード:竜巻街道
中西部の竜巻多発地帯にオクラホマ州は位置しています。国際的な竜巻基準「改良版藤田スケール」で、最強のEF5級が2013年にムーアで発生しました。
オクラホマ州のキーワード:オクラホマ国立家畜市場
オクラホマシティにあるストックヤードは、世界最大の牛取引所。本物のカウボーイが、馬に乗って牛を追い立てる光景に圧倒されます。
オクラホマ州のキーワード:怒りの葡萄
ダストボウルによって農業を諦めたオクラホマ州の州民をモデルに、ジョン・スタインベックが執筆。主人公一家は夢のカリフォルニアを目指し、ルート66を進みます。
オクラホマ州のキーワード:オクラホマ大学フットボールチーム
スーナーズは、地元で大人気の強豪。隣州にあるテキサス大学とはライバル。スポーツ以外もオクラホマとテキサスは、腹に一物抱え合う関係。
オクラホマ州のキーワード:ビッグフット祭り
オクラホマ州ホノビアは、怪人ビッグフットの目撃例が多いホットスポット。毎年10月の祭りでは、有識者が集まりビッグフット会議が開かれます。
オクラホマ州の著名人
オクラホマ州の著名人:映画俳優 ブラッド・ピット
俳優としても、プロデューサーとしても、アカデミー賞の受賞歴があります。代表作は『セブン』や『ファイトクラブ』など多数。(1963~)
オクラホマ州の著名人:カントリー歌手 ガース・ブルックス
アルバムの売り上げ総数は、エルヴィス・プレスリーを超えています。アメリカで最も売れている、ソロアルバムアーティスト。(1962~)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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