元からルイジアナ州の地に住んでいたインディアンは、地元の野菜やハーブの知識がありました。

18世紀初頭にルイジアナ州に来た最初の入植者は、煮込み料理を好むフランス人。彼らはミシシッピ川を北上し、現在のルイジアナ州を含む中西部からカナダまでの広い範囲を、仏領ルイジアナとして統治しました。

この頃ドイツ人や、カナダ北東部を追い出されたフランス系カナダ人であるアカディアン（現在のケイジャン）も来ています。

途中、スペインとの間で国譲りがくり返され、最終的にアメリカが広大な仏領ルイジアナを購入して自らのものとしました。

アメリカ人は、奴隷を連れてきてプランテーションを造営。母国で煮込み料理に親しんだ黒人たちは、スープにとろ味を付けるオクラをもたらし、南北戦争後はニューオーリンズでジャズを発展させました。

ニューオーリンズにはフランス人の末裔であるクレオールがいて、彼らはガンボにトマトを入れます。一方ケイジャンは、トマト否定派。21世紀にハリケーン・カトリーナと、大規模石油流出事故の被害を受けたニューオーリンズとルイジアナ州ですが、工業、観光、石油・天然ガス、そしてガンボがあるので大丈夫、問題ありません。

先住民と移民の味覚が結集して作られた郷土料理。小麦を炒めてルーにし、具を入れて煮込んだらライスにかけます。独特な味わい。

ルイジアナ州にある、インディアンが3400年前に暮らした半円形の遺構。2014年に世界遺産に登録されました。北アメリカで、最初に造られた集落といわれています。

19世紀に現れた文学のジャンル。奴隷制時代の陰湿さと抑圧が、牧歌的な村の習俗を背景に、不気味でグロテスクなホラー作品となりました。人気ゲーム『バイオハザード７』が、この系譜。

テネシー・ウィリアムズによる戯曲。舞台であるニューオーリンズには、世界一古い路面電車が走っていますが「欲望行き」はもうありません。

Mr.Charlieと呼ばれる移動式海洋掘削ユニット。メキシコ湾岸にあり、1954年から1986年まで石油を生産していました。「世界唯一の歩いて行ける沖合油田」が、売り文句の博物館として人気です。

中西部を荒らした犯罪カップルは、ルイジアナ州北部で警官隊に射殺されました。世界恐慌ですさむ社会は２人を憎みきれず、今も毎年２人のお祭りを開催しています。

タバスコを作る世界唯一の工場が、ルイジアナ州エイブリー島にあります。もう150年ほど作り続けており、この島の地下でとれる岩塩が使われています。

テキサスとルイジアナ州の州境にある川沿いの町。南北戦争時は、南軍の拠点。現在は船上カジノが有名で、敗北者たちは著名なバラ園で心を癒しています。

プランテーション華やかりし頃の、フランス建築の影響を受けた邸宅が残っています。女性の絆を描くドラマ『マグノリアの花たち』のロケ地。

カナダ北東部での迫害を逃れてきたフランス系カナダ人「アカディアン」が暮らす、ルイジアナ州南部のエリア。彼らはケイジャンと呼ばれています。

沿岸部は湿地になっており、エビやカニがとれ、爬虫類が生息しています。ワニも多く、蒸し暑いからといって水に飛び込むと喰われます。

フランス人がニューオーリンズに持ち込んだ、古いカトリックの２月の伝統行事。宗教的な食事制限期間の前によく食べる祭りで、「太った火曜日」の意味を持っています。当日は、仮面の仮装行列が街を練り歩く。観光客の数は100万人以上とも。

ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。『この素晴らしき世界』の重厚な歌声で知られるトランペッター。少年院で楽器と出会ったという。（1901～1971）

1章　北東部
■各州紹介
■＜歴史解説＞自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■＜歴史解説＞アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■＜コラム＞4大プロスポーツのチームがない州

2章　南部
■各州紹介
■＜歴史解説＞南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■＜歴史解説＞人種差別を跳ね返した公民権運動　キング牧師の夢が叶う日はいつ
■＜コラム＞地下鉄道

3章　中西部
■各州紹介
■＜歴史解説＞アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■＜コラム＞アメリカの地勢

4章　西部
■各州紹介
■＜歴史解説＞銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter（ブラック・ライブズ・マター）

巻末資料
■＜大統領選挙しくみ解説＞民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制（拳銃の公然携行の可否）／同性婚
■死刑の存続と廃止／消費税率（セールス・タックス）

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』（InteLingo）などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。