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ミシシッピ州の政治
ミシシッピ州の選挙人の数は、6人です。共和党が優勢で、レーガン以降は一貫して共和党を支持しています。2016年の時に、ミシシッピデルタは民主党を支持しました。
ミシシッピ州は最もディープなサウス
ミシシッピ州は、貧困と人種差別の呪いにいまだ悶えている印象があります。産業は、農業が主軸。南の暖かい日差しのなかで繁栄したおっとり、のんびりのプランテーション経済と文化の繁栄が忘れられないかのようです。
綿花大農場の造営は、ミシシッピ州西部を流れるミシシッピ川を抜きにしてはありえませんでした。
お祖父さん(Old man river)と親しまる川は、時に荒ぶって氾濫し、肥沃な土壌を持つミシシッピデルタを形成。ここに白人たちが、奴隷を使役して綿花プランテーションを作ったのです。最盛期には、奴隷がミシシッピ州の州人口の過半数を超えました。
南北戦争後のミシシッピ州
南北戦争でリンカーン大統領率いる北軍に敗れると奴隷は解放、プランテーション経済は崩壊しました。黒人たちは北を目指し、白人たちは近隣州に散っていきました。
元々保守的であった北部の共和党は、南部の奴隷復権にあまり積極的ではありませんでした。差別は野晒しにされ、やがて公民権運動が起きましたが、今でも人種差別が根強い地域があります。そこに教育、経済の格差が合わさって問題はより複雑化。政治的に彼らを代弁する勢力はなく、国のプログラムから取り残された感が否めません。
ディープサウス・ミシシッピ州の現在
ディープサウスの中のディープサウスとされるミシシッピデルタは、今も黒人比率が高く教会が多い地域です。彼らの苦難の歴史は、文学、ブルース、ゴスペルという形で世界に広がっていきました。現在のミシシッピ州は農畜産業やナマズの養殖、南のラスベガスと呼ばれるカジノリゾート、そして自動車産業が頑張っています。
ミシシッピ州を知るキーワード
ミシシッピ州のキーワード:綿花
奴隷の人生の犠牲の上に成り立った、プランテーションの主要作物。肥沃な黒土の地域「ブラックベルト」で、黒人の汗を吸って育ちました。
ミシシッピ州のキーワード:ビックスバーグ 包囲戦
南北戦争で北軍が南軍の要塞都市ビックスバーグを、1か月以上にわたる包囲の末に攻略。これで南軍はミシシッピ川勢力圏を失い、一気に弱体化しました。
ミシシッピ州のキーワード:アンドリュー・ジャクソン
インディアンの虐殺で戦功をあげ、米英戦争の英雄となりました。第7代大統領となり、民主主義の発展に尽力。ミシシッピ州の州都の名前になったのは人気の証です。
ミシシッピ州のキーワード:エルビス・プレスリー生誕の地
世界恐慌下の厳しい時代に、ミシシッピ州北東の街テューペロで誕生。13歳でテネシー州メンフィスに引っ越すまで、手にはいつもギターがありました。
ミシシッピ州のキーワード:偉大なるブルース・ ギタリスト B. B. KING
ミシシッピデルタで育ちながらブルース、ゴスペル、ギターの腕を磨きました。やがて、テネシー州メンフィスでのDJ時代に脚光を浴びます。
ミシシッピ州のキーワード:ベラ・メイ・ピギーの美容院
ミシシッピ州の公民権運動活動家。自身が切り盛りしていた美容院を拠点としていました。お客さんが黒人だったので、仕事に影響をきたさず活動ができました。
ミシシッピ州のキーワード:ミシシッピの蒸気船
水運の要で優美なサロンを持つ船もありました。鉄道に役目を奪われる20世紀初頭まで活躍。マーク・トウェインが、ここで船員をしていました。
ミシシッピ州のキーワード:1962年のミシシッピ大学暴動
ミシシッピ州のミシシッピ大に入学した黒人学生、ジェームス・メレディスへの入学拒否暴動。人種差別主義者が暴徒化し、2名が亡くなっています。
ミシシッピ州のキーワード:おいしいケーキ「ミシシッピの泥」
チョコ好きの夢。チョコ生地とチョコフィリングのケーキの上に、アイスをトッピング。こげ茶でドロドロな仕上がりが、名前を体現しています。
ミシシッピ州のキーワード:ビロクシ・カジノリゾート
ミシシッピ州の辺りで、ほぼ唯一のカジノリゾートとして人気です。ホテルから眺めるメキシコ湾に心を洗い流されてから、ギャンブラーは毎夜ポーカーに勤しみます。
ミシシッピ州のキーワード:世界ナマズ祭
ミシシッピデルタは、ナマズ養殖で有名。1976年から毎年お祭りが開かれ、1万人が訪れます。ミス・ナマズ・コンテストを同時開催しています。
ミシシッピ州の著名人
ミシシッピ州の著名人:小説家 ウィリアム・フォークナー
ミシシッピ州北部のオックスフォードで、ほぼ生涯を過ごしています。『響きと怒り』をはじめ、同じ架空の町を舞台に南部人の情念を描きました。(1897~1962)
ミシシッピ州の著名人:戯曲家 テネシー・ウィリアムズ
ミシシッピ州コロンバス生まれ。若い頃は放浪しながら、創作活動を続けました。タブーに挑む『欲望という名の電車』が高く評価されました。(1911~1983)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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