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ケンタッキー州の政治

ケンタッキー州の選挙人の数は、8人です。トランプ共和党が重視する石炭産業が盛んなケンタッキー州。2000年以降共和党を支持し、2016年は2大都市以外の全郡が赤色でした。

ケンタッキー州は文化が交差する多様性の州

ケンタッキー州は、アメリカのるつぼとされています。南部の温暖な気候と情の厚さ、北部の工業、東部の古き良き伝統、西部の開拓者魂。これらが全て詰まっているからです。ケンタッキー州は、地理的に東西南北の真ん中であるために各所の文化が集まっています。

ケンタッキー州の名物

ケンタッキー州の名物といえばバーボン、タバコ、それに競馬。カジノ天国ラスベガスを擁するネバダと同じく「罪の税」に依存する州と思われがちですが、ケンタッキー州は地理と文化の十字路といわれるだけあって多面性があり、罪深いとも言い切れないのです。

ケンタッキー州第一の都市ルイビルのバーはウィスキーまみれですが、郊外にはアルコールを禁じる郡「ドライ・カウンティ」があります。また興味がない人には欲望の権化としか感じられない競馬場の近くには、まるでバランスを保つかのように教会が立っています。

ケンタッキー州と南北戦争

南北戦争では、ケンタッキー州はプランテーションで綿花やタバコを作っていたことから、奴隷制賛成でありつつ北軍に残る境界州となりました。そしていざ戦端が開かれると、黒人を含む7.6万の兵士が北軍につき、3.4万が南軍として戦いました。このためケンタッキー州は両方の軍から攻められています。

戦争が終わると奴隷は解放され、南部と関係が深い経済は壊れました。そしてケンタッキー州は、急速な都市化と着実な工業化の道を歩き始めるわけですが、急激な変化にひずみも生じ、タバコ農家とメーカー間の紛争や、東のアパラチア山間部に取り残された人々の不満が地域内紛争に発展しました。

ケンタッキー州の現状

ケンタッキー州は現在、二百近い日系企業の進出からわかるように企業誘致が盛んで、自動車産業が根付いています。教育制度拡充にも熱心で、ケンタッキー州のモットー「団結で栄え、分裂で倒れる」 をうまく体現しようとしています。

ケンタッキー州を知るキーワード

ケンタッキー州のキーワード:禁酒郡 DRY COUNTY

アメリカにはお酒販売を規制する郡があります。数こそ減っていますが、時流に反して完全にお酒の販売を禁止する郡が、ケンタッキー州に15存在してます。

ケンタッキー州のキーワード:ハットフィールド家と マッコイ家の仁義なき戦い

アパラチアの山間の小さな川を挟んで住む両家は、1880年代から血みどろの抗争を20年以上続け全米の注目を集めました。発端は不明ですが、南北戦争で北と南どちらにつくかでもめたという説がありります。

ケンタッキー州のキーワード:ケンタッキー・ダービー

3歳馬によるアメリカクラシック三冠の第1戦。ケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場で開催されます。ファンからは「スポーツで最も偉大な2分」と称えられています。

ケンタッキー州のキーワード:バーボンウィスキー発祥の地

ケンタッキー州はバーボン発祥の地で、バーズタウンに蒸溜所が集中しています。毎年9月に5~6日間開かれるバーボン祭りの時は、酔っ払いだらけ。

ケンタッキー州のキーワード:ブルーグラス花粉症

そこら中に生えるブルーグラスは、晩春から初夏にかけ可憐な花を咲かせ、花粉を飛ばします。「あなたもそのうちなるわよ」がケンタッキー州民の口癖。

ケンタッキー州のキーワード:フォートノックス金塊保管庫

ケンタッキー州にある陸軍基地に隣接する要塞化された金庫室。米国財務省が運営しています。国の金準備と連邦政府の貴重品が保管され、二千億ドル以上の金塊を保管中

ケンタッキー州のキーワード:リンカーン大統領の生家

奴隷解放を主導することになるエイブ君は、1809年にケンタッキー州ホーゲンビルの丸太小屋で、貧困の中で誕生しました。現在は記念館の中に、小屋のレプリカがあります。

ケンタッキー州のキーワード:カーネル・サンダース

仕事を転々とした後、ガソスタ兼食堂を開業しました。1940年にケンタッキー州でレストランをオープンし、フライドチキンレシピを完成させました。その店は今も営業中。

ケンタッキー州のキーワード:コルベット組立工場

ケンタッキー州ボーリンググリーンは、自動車の街。GM(ゼネラル・モーターズ)が、憧れのスポーツカー、シボレー・コルベットを生産しています。

ケンタッキー州のキーワード:タバコ農園

ケンタッキー州はタバコ生産で全米5本の指に入り、郊外に緑の葉が茂るバーレー種のタバコ畑が広がっています。近年は、大麻栽培へシフトする動きがあります。

ケンタッキー州のキーワード:ブルー・ムーン・ オブ・ケンタッキー

バンジョーやフィドルで演奏するカントリー音楽の1ジャンル、ブルーグラス音楽の代表曲。蒼い月に失恋を託す軽快な曲です。

ケンタッキー州のキーワード:バーグー・シチュー

地元の寄り合いで、しばしば振る舞われるケンタッキー州定番の味。複数の肉と野菜を使い、材料は問いません。リスやオポッサムの肉を使うことも。

ケンタッキー州の著名なもの

ケンタッキー州の著名なもの:世界遺産 マンモスケイブ国立公園

世界最長の洞窟群とされ、全長は約650キロ。いくつもの広大な部屋と複雑な道があって、地下のダンジョンそのもの。人が足を踏み入れたのは四千年前で、レンジャーが洞窟にまつわる先住民の伝説を教えてくれます。

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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