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アメリカ南北戦争開戦とリンカーン大統領当選
1860年の大統領選挙で奴隷制反対を掲げる共和党のリンカーンが当選すると、南部奴隷州の反発が高まり、翌年にはアメリカ連合国を成立させアメリカは2つに分裂します。
しかしリンカーンは連合国の独立を認めず、同年4月に南北戦争の戦端が開かれたのです。
当初はリー将軍率いる南軍が優勢でしたが、1862年にリンカーンが奴隷解放宣言(予告宣言)を出すと、イギリスやフランスをはじめとする世論は北軍支持に転換します。
北部工業地帯の経済力を背景に形勢を徐々に挽回し、1863年のゲティスバーグの戦いで北軍が勝利、形勢が変わります。その後も激しい戦いが続きましたが、1865年、アメリカ連合国の首都リッチモンドが陥落。戦いに敗れたリー将軍が降伏し、南北戦争は終結します。
アメリカ南北戦争後も残り続けた黒人差別
リー将軍が降伏して2日後、リンカーンはアメリカ連合国であった南部諸州を合衆国に復帰させるための再建方策「リコンストラクション」を発表します。しかしその3日後に暗殺され、再建方策は南部出身で民主党のアンドリュー・ジョンソン大統領に引き継がれました。
ジョンソン大統領の再建方策
ジョンソンは黒人奴隷制の廃止を受け入れれば、戦争を行った罪を問うことなく合衆国への復帰を認める路線を採りました。しかし共和党がこれに強く反発。
奴隷から解放された黒人が白人と同様にカウントされると南部出身の議員が増え、共和党が少数派になることから、自分たちに都合のよい再建策を画策しました。
しかしジョンソン大統領はこれを退け、1868年には黒人の市民権を保障する憲法修正第14条の受け入れを南部諸州に迫りました。その結果、1877年までに南部諸州はこれを受け入れ合衆国に相次いで復帰を果たしたのでした。
形を変えて残り続ける差別と格差
合衆国に復帰した南部諸州は黒人奴隷制の廃止を受け入れましたが、形を変えて黒人差別を強めていきます。
州法を制定し財産によって選挙権を制限するなど、実質的に黒人投票権を奪ったのです。
また黒人取締法を制定して公共の場での隔離、区別を行うようになりました。この間、南部は人種差別と小作人を使った農業からなかなか脱却できず、工業化と都市化で潤う北部に経済的に大きく遅れをとることになります。差別と格差は、今もなおアメリカに暗い影を落としているのです。
アメリカ独立戦争 北軍・南軍の分布図
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“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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