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世界経済の基礎となる世界情勢情報

国際情勢の混乱を背景に、貿易や投資が細り、物資が不足してインフレが蔓延、各国は景気の減速に直面しました。世界の対立構造ができ、経済のブロック化が進むことも懸念されています。その一方ではアメリカが好景気になったり、日本で歴史的な株価上昇が起こったりもしています。

新たな潮流と思われる動きも出てきています。昨今のニュースで「グローバルサウス」とか「BRICS+6」といった言葉を見聞きするようになりました。これらは今後、世界経済を牽引していくと目される国々を指しています。

世界経済の牽引役といえば、従来はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本の「G7」と認識されてきましたが、今はもはや先進国だけ見ていれば事足りるという時代ではなくなっているのです。

世界のGDP(国内総生産)

GDPは、その国で一定期間内に生産された付加価値を合計したもので、国の経済規模を表す際に使われます。現在はアメリカが圧倒的な1位で、それを中国が追いかける構図。長く世界第2位の座にいた日本は2010年に中国、23年にドイツに抜かれ、第4位に転落しています。

GDP
出所:IMF

アメリカ
GDP:1位(26兆9,496億ドル)
1人当たりGDP:7位(76,343ドル)

中国
GDP:2位(17兆7,008億ドル)
1人当たりGDP:70位(12,670ドル)

ドイツ
GDP:3位(4兆4,298億ドル)
1人当たりGDP:20位(48,756ドル)

日本
GDP:4位(4兆2,308億ドル)
1人当たりGDP:32位(33,854ドル)

インド
GDP:5位(3兆7,322億ドル)
1人当たりGDP:145位(2,392ドル)

イギリス
GDP:6位(3兆3,320億ドル)
1人当たりGDP:23位(45,461ドル)

フランス
GDP:7位(3兆490億ドル)
1人当たりGDP:24位(42,350ドル)

イタリア
GDP:8位(2兆1,860億ドル)
1人当たりGDP:31位(34,085ドル)

ブラジル
GDP:9位(2兆1,268億ドル)
1人当たりGDP:83位(9,455ドル)

カナダ
GDP:10位(2兆1,178億ドル)
1人当たりGDP:13位(55,037ドル)

ロシア
GDP:11位(1兆8,624億ドル)
1人当たりGDP:63位(15,646ドル)

メキシコ
GDP:12位 (1兆8,114億ドル)
1人当たりGDP:75位(11,266ドル)

韓国
GDP:13位(1兆7,092億ドル)
1人当たりGDP:35位(32,418ドル)

オーストラリア
GDP:14位(1兆6,877億ドル)
1人当たりGDP:10位(64,814ドル)

スペイン
GDP:15位(1兆5,820億ドル)
1人当たりGDP:39位(29,800ドル)

世界のGDP(国内総生産)

主要国の経済成長率

GDP(国内総生産)が増加することを経済成長といい、その度合いは経済成長率で表されます。世界経済はここ数年、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの影響で低成長を続けていますが、2024年の成長率は3.1%、25年は3.2%と予測されており、堅調な成長をみせていくと考えられています。

経済成長率
※数字は各年の実質GDP成長率。
※2023年は推計、24・25年は予測。
出所:IMF

世界全体
23年:3.1%
24年:3.1%
25年:3.2%

カナダ
23年:1.1%
24年:1.4%
25年:2.3%

アメリカ
23年:2.5%
24年:2.1%
25年:1.7%

メキシコ
23年:3.4%
24年:2.7%
25年:1.5%

ブラジル
23年:3.1%
24年:1.7%
25年:1.9%

日本
23年:1.9%
24年:0.9%
25年:0.8%

ロシア
23年:3.0%
24年:2.6%
25年:1.1%

中国
23年:5.2%
24年:4.6%
25年:4.1%

インド
23年:6.7%
24年:6.5%
25年:6.5%

ドイツ
23年:-0.3%
24年:0.5%
25年:1.6%

フランス
23年:0.8%
24年:1.0%
25年:1.7%

イギリス
23年:0.5%
24年:0.6%
25年:1.6%

サウジアラビア
23年:-1.1%
24年:2.7%
25年:5.5%

ナイジェリア
23年:2.8%
24年:3.0%
25年:3.1%

南アフリカ
23年:0.6%
24年:1.0%
25年:1.3%

人口の減る国・増える国

人口はその国の経済の原動力となります。基本的には人口の多い国=経済力の強い国といえます。世界人口は右肩上がりで増加していますが、増えているのはアフリカや南・西アジアなど一部地域に偏っており、東アジアなどは少子高齢化が進んでいます。その結果、将来の世界経済に何がもたらされるのでしょうか。

2022~50年の人口増減率
出所:国連

歴史的に経済が発展すると出生率が落ちる傾向があり、先進国では人口減、アジアやアフリカでは人口増が進んでいる。アジアやアフリカも豊かになるにつれて出生率が低下すると予想されるため、世界全体の人口増加率も次第に鈍化していく。

アメリカ(3位)
アメリカは先進国の中で唯一、人口が増えている。

東アジア
中国、韓国、日本は少子高齢化が深刻になっている。韓国の合計特殊出生率は世界最低レベル。

日本
日本は少子高齢化が深刻な国の一つ。2100年には7,500万人まで落ち込むとみられている。

中国(2位)
インドと並ぶ人口大国だが、少子化が進んでおり、2100年までに4億人以上減るとされる。

ロシア
ソ連末期から出生率の低下が続いていたが、中央アジアなどからの移民や労働者の流入によって、人口減が緩和されてきている。

南・西アジア
パキスタンやアフガニスタン、中央アジア諸国も人口増加が激しい。

インド(1位)
2023年に中国を抜いて世界一の人口大国となった。

ヨーロッパ
イギリスは出生率を維持。フランスや北欧諸国などのように政策対応によって少子化を克服した国もある。

アフリカ
人口爆発の中心地はサハラ砂漠以南のアフリカ。2100年には39億人まで拡大すると予測されている。

ニジェール
ニジェールの合計特殊出生率は6.82で世界最高。2000年代に入ってから人口が倍増した。

人口の減る国・増える国
出所:国連
人口の減る国・増える国
出所:国連
人口の減る国・増える国
出所:国連

『地図でスッと頭に入る世界経済』好評発売中!

G7に代表される先進国が世界経済をリードする時代は、もはや終わりを告げました――。それを示すかのように、昨今のニュースでは「グローバルサウス」「BRICS+6」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
この言葉は、今後、世界を牽引していく国々を指しており、このなかにG7の国はありません。加えて、ウクライナ危機による世界的インフレ、半導体不足、カーボンニュートラルへの抵抗など、世界経済は混迷をしているといってよいでしょう。
そんな世界の動きと行方を知りたいと思いながらも、経済となると複雑で難しいものと感じてしまう読者に向けて、押さえておくべきトピックをわかりやすく解説するのが本書。国内の身近な話題から国家間の問題まで幅広く扱います。
いま、何が問題となっているのか、世界経済はどこへ向かっているのかを地図や図解で紹介していきます。

第1章:世界経済の「トレンド」を知る

・ウクライナ危機と資源価格の高騰により、世界的なインフレが進行中
・世界の「ブロック経済化」によって何が起こるのか?
・半導体の輸出規制で、米中の半導体戦争がはじまった
・中国主導によって実現した「BRICS+6」で、人民元の国際化を狙っている
・西側諸国がグローバルサウスを無視できない理由
・ベロシティー12(次に成長する国)の特徴とは?
・ものづくりをしないメーカー、ファブレス企業とは何か?
・仮想通貨(暗号資産)が、ふつうの通貨になりえるのか?
・TPP、IPEFなど、これまでとは違った貿易協定が誕生し、貿易地図が塗り替わる
・輸出入規制で相手国より優位に立とうとする「経済的威圧」が起こっている
・AIの進歩で奪われる仕事、新たにつくられる未来
・消費から循環へ。新しい経済のあり方(サーキュラーエコノミー)が登場している
・切っても切れない移民と経済成長
・異常気象に世界の経済が翻弄されている

第2章:エリア別・経済トピックをつかむ

アメリカ経済(南北アメリカ)
・アメリカ生まれのGAFAMが急成長できた理由とは?
・アップルの製造拠点をたどると、経済成長国のトレンドが見えてくる
・ニュースで耳にする米雇用統計は、なぜ注目される?
・地位低下に焦るブラジルは、グローバルサウスの雄を目指す
・中南米で再び加速しはじめたハイパーインフレーション

アジア経済
・中国の一帯一路構想から10年。巨額融資が限界に近づいた
・不動産に依存した経済成長モデルはもう終わり
・台湾の経済成長の原動力となった半導体 産業
・アジアの金融センターとなった香港のいま
・複雑性を増すASEANと中国の関係
・日本と比較すると見えてくる韓国経済の強み
・ベトナムの成長力が東南アジアで突出している理由
・「IT大国」として世界3位の経済大国となるインド
・これから注視すべきは、世界に広がる印橋(インド系移民)も流れ
・首都移転事業で大国の企業を取り込もうとするインドネシア

ヨーロッパ経済
・ウクライナ危機で露呈した資源のロシア依存の危うさ
・ロシアへの経済制裁は効いている? 効いていない?
・世界でドル離れが起こっている。つぎの基軸通貨はユーロか?
・ECBの金融政策が大きな転換点を迎えている
・イギリスのブレグジットで、外国企業は撤退をはじめた
・2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)をリードするEUに黄信号
・EUの優等生・ドイツに異変。実質成長率がマイナスに

中東・アフリカ経済
・なぜかアフリカに多い中国人。ねらいはアフリカの資源開発と市場開発
・オイルマネーは限界? 石油・天然ガス依存からの脱却をはかるサウジアラビア
・官主導のアラブ経済が岐路に立つ
・南アフリカにとって日本は、意外にも重要な貿易相手国
・中東とアフリカでも注目されはじめたグリーンビジネス

第3章:世界のなかのニッポン経済

・コロナ後、日本経済の回復が遅れている理由とは?
・日本が「安い国」になってしまったのはなぜ?
・アジアの国々が日本を下請けにする日がまもなくやってくる!?
・経済停滞と人口減により、こんな未来が待っている
・次世代自動車の開発で出遅れた日本の一発逆転とは?
・レアメタル確保のために金属資源の再利用できる技術開発に注力
・1円の円安で450億円利益が出るトヨタだが、資材価格が高騰という「影」も
・人手不足が景気上昇の足かせに
・金価格高騰とウクライナ侵攻の関係
・漫画文化の輸出に失敗した日本政府
・日本の安全をセットにして売り込みはじめた鉄道事業
・品質の高さから海外でも高く評価されている農産物。その輸出額が1兆円突破

【監修者】蔭山 克秀(かげやまかつひで)

代々木ゼミナール公民科講師。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。代々木ゼミナールでは、「現代社会」「政治・経済」「倫理」「倫理政治経済」をすべて指導。また、4科目すべての授業が「代ゼミサテライン」(衛星放送授業)として全国に配信されている。主な著書に『やりなおす経済史』『やりなおす戦後史』(以上、ダイヤモンド社)、『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)、『マンガみたいにすらすら読める哲学入門』(大和書房)、『世界の政治と経済は宗教と思想でぜんぶ解ける!』(青春出版社)などがある。

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