ジョージア州の政治
ジョージア州の選挙人の数は、16人です。ジョージア州は共和党優勢ですが、アトランタやサバンナをはじめ都市部では民主党が顕著に強い州です。2016年は、僅差でトランプが勝利しています。
ジョージア州は南部諸州を牽引するエンジン
ジョージア州は、アメリカ建国時の13植民地の1州という古い歴史を持ち、南部の伝統と文化が色濃く残るディープサウスに属しています。一方で発展著しいアトランタがあることから、新旧の南部が出合う場所ともいわれます。ジョージア州は概して、経済発展に後れをとっている南部の希望の星なのです。
ジョージア州の奴隷制度
ジョージア州は南北戦争で、奴隷制度を敷いた南部連合「アメリカ連合国」の中心メンバーでした。そして敗北後も他の南部州同様、黒人に対する差別を1世紀近く続けていました。
黒人の法の下での平等は、ジョージア州アトランタ生まれのキング牧師らの公民権運動によって機運が高まり、公民権を認めようとしたケネディ大統領の暗殺を経て、1964年に公民権法が制定されようやく実現することになります。
南部の不屈の魂がもたらした、ジョージア州の発展
南北戦争の終盤、ジョージア州の大きな町と農場は、映画『風と共に去りぬ』にあるように、北軍がことごとく焼き払いました。
しかし南部の不屈の魂は消えず、戦後のリコンストラクション(再建)の過程で、アトランタの織物や鉄鋼を中心に産業が目覚ましく発達したのです。復興に際して鉄道など交通網整備が大きな役割を果たしました。南部人は1996年のアトランタ五輪を、万感の思いで迎えたといいます。
ジョージア州は現在、鉄道に加え、航空、高速道路網が発達。アトランタ大都市圏ではヒスパニックやアジア系の移民が増え、サービス業も好調です。コカ・コーラやCNNといった大企業が本社を置き、アメリカ南東部の経済の中心となっています。
ジョージア州を知るキーワード
ジョージア州のキーワード:アトランタといえば
ジョージア州アトランタには、コカ・コーラ本社とコーラ博物館があります。近年はテレビシリーズ『ウォーキング・デッド』で、CDCの奮闘虚しく市民がゾンビ化しました。
ジョージア州のキーワード:世界一忙しい空港
ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港の乗降客数は、年間1億1000万人超えで世界一です。21年連続でトップに君臨中!
ジョージア州のキーワード:遥かなるオーガスタ
ゴルフの最高の選手を決めるマスターズの開催地。11番から13番ホールは神に祈るしかないアーメンコーナーと呼ばれ、数多の伝説が生まれました。
ジョージア州のキーワード:古き港町サバンナ
南北戦争以前から栄える町。アメリカで一番お化けが出る街として有名で、お化けツアーもあります。怨霊の正体は北軍にやられた兵士かも?
ジョージア州のキーワード:風と共に去りぬ
南部プランテーションが舞台の紳士と淑女の悲恋の物語は、奴隷時代賛美の観点からアメリカでは映画の放送が危ぶまれています。
ジョージア州のキーワード:シャーマンの進撃
1864年に北軍のシャーマン将軍が、南軍降伏を目的に行なった進軍。アトランタ・サバンナ間の約400キロを、6万の兵が焼き尽くしました。
ジョージア州のキーワード:ジョージア・ゴールドラッシュ
1828年にアメリカ初のゴールドラッシュが、ジョージア州ダロネガで起きました。現在は、金鉱跡とジョージアワインを目玉にした観光地になっています。
ジョージア州のキーワード:クリケット人口が増加中
かつて公民権運動の行進があったジョージア州フォーサイス郡では、アジア系移民増加にともない巨大クリケット場ができ、地元住民を驚かせています。
ジョージア州のキーワード:旧アトランタ五輪競技場
カール・ルイスらが活躍したアトランタ五輪のオリンピック競技場は、現在はジョージア州立大フットボールチームのホームです。
ジョージア州のキーワード:ベニング陸軍基地
アラバマ州にまたがる米陸軍の駐屯地で歩兵・機甲・騎兵の本拠。毎年、国際スナイパー競技会を開催しており世界の腕自慢が集います。
ジョージア州のキーワード:ジョージアの田舎
アトランタを出ると一部都市を除くほとんどが、銃を所持し、共和党を支持し保守的で、気のいい人が多い呑気な田舎町になります。
ジョージア州のキーワード:オケフェノキー湿地
フロリダ州境をまたぐ約1500平方キロの泥炭湿地で、大部分は国立野生生物保護区。サギ、ワニ、カエル、カメ、クマたちの楽園です。
ジョージア州の著名人
ジョージア州の著名人:ソウルシンガー レイ・チャールズ
ジョージア州オルバニー生まれの盲目のピアニストであり、ソウルの先駆者。代表曲「Georgia on My Mind」はジョージア州の州歌になりました。(1930~2004)
ジョージア州の著名人:第39代大統領 ジミー・カーター
海軍の潜水艦技術者、ピーナッツ栽培実業家、ジョージア州知事を経て大統領を務めた異色の経歴を持つジミー・カーター。ノーベル平和賞も受賞しています。(1924~)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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