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ワシントンDCの政治

ワシントンDCの選挙人の数、3人です。高学歴な政府関係者が多いエリア。住民の半数を黒人が占めています。民主党の牙城で、1984年のレーガン共和党さえ支持しませんでした。

ワシントンDCは、州に属さない首都区域

ワシントンDCをどの州にも属さない首都とするため、ポトマク川を挟んだメリーランド州とバージニア州の正方形の土地に計画都市として造られました。
ジョージ・ワシントン大統領と議会が7年にわたる調整を行い、水陸の交通の要衡で守りが堅固、大都市に近く、南北に延びる東海岸諸州の中心というこの場所に決まったといいます。

ワシントンDCをめぐる北部州と南部州の思惑

当時、北部州は独立戦争の負債を政府に肩代わりさせたいと考えていました。一方多くの返済を終えていた南部州はこれに反対、さらに奴隷農業経済圏と近い南に首都を置き政治的影響力を強めたいと考えていたのです。

首都建設には多くの自由な黒人と奴隷が関わり、南北戦争以降は南部の黒人が流入したため、人口の約半分が黒人という多様性の高い町に成長しました。暫定首都フィラデルフィアから遷都が行われたのは1800年。その前年にジョージ・ワシントンは逝去しています。

首都ワシントンDCに暮らす人々の現実

ワシントンDCの町の東西の道路をアルファベットで、南北の道路を数字で表し、碁盤の目状に整備した上、斜めに州の名前が付いた道路が走っています。富裕な白人が住む西に対し、南東部は貧困層の黒人が暮らしています。

特殊な立場ゆえに、1961年まで住民に大統領選の選挙権が与えられず、今でも議決権を持つ代表を連邦議会に送ることが認められていません。そのため度々、州昇格の議論が立ち上りますが、首都と州の両立は難しく話はなかなか進んでいません。

ワシントンDCを知るキーワード

ワシントンDCのキーワード:ワシントンメトロ

1976年に開業したワシントンDCの地下鉄網。初めは5駅のみでしたが、現在は91駅。ニューヨークシティに次ぎ、全米で2番目に忙しい地下鉄です。

ワシントンDCのキーワード:ロッククリーク公園

ニューヨークのセントラルパークの2倍以上大きい、ワシントンDCの市民とホームレスの憩いの場。大きいだけありプラネタリウムや乗馬センターもあります。

ワシントンDCのキーワード:大統領官邸

大統領の公邸兼官邸のホワイトハウス。建設当初は白色ではなく、米英戦争で一度焼き払われた後復旧する際、ススで汚れた外壁を白に塗っています。

ワシントンDCのキーワード:国会議事堂

連邦政府の立法府は上院棟と下院棟に分かれ、2つを専用の地下鉄道が結んでいます。カフェが入っており、グルテンフリーのメニューが人気です。

ワシントンDCのキーワード:リンカーン記念堂

リンカーン像が設置されたギリシャ様式の建物。内部には、有名な演説の文句が彫られています。1963年にキング牧師はここで夢を語りました。

ワシントンDCのキーワード:東市場

ワシントンDCにある1873年から営業中の市場で、レンガ作りの建物の内外に店が広っています。国家歴史遺産に指定されている、首都の現役の胃袋かつ観光名所です。

ワシントンDCのキーワード:ワシントン国立大聖堂

国家行事に使用され、ウッドロウ・ウィルソン第28代大統領やヘレン・ケラー女史が眠っています。北西の塔には、さる暗黒卿が彫られています。

ワシントンDCのキーワード:スパイ博物館

実際に使われた道具の展示や、諜報体験プログラムが目玉。「スパイ用鳩さんカメラ」といった珍品まで惜しみなく披露しています。

ワシントンDCのキーワード:ヴァージニアへの南岸地区返還

ポトマク川より南のエリアも当初は首都の範囲内でありましたが、あまり発展することがなく、最終的には1846年にヴァージニア州に返還されました。

ワシントンDCのキーワード:エクソシスト階段

ワシントンDCのジョージタウンは、映画『エクソシスト』のロケ地。作中に登場する細長い階段があり、登ったり降りたりするファンが世界から集まります。

ワシントンDCのキーワード:マンボソース

ケチャップやトマトソースがベースの甘酸っぱい、ワシントンDCの地元の味。黒人コミュニティで生まれた味でチキンウイングやポテトに添えられます。

ワシントンDCの著名人

ワシントンDCの著名人:ジャズメン デューク・エリントン

首都生まれの20世紀を代表するジャズマン『A列車で行こう』を世に送り出しました。デューク・エリントン楽団は現在も活動中。(1899~1974)

ワシントンDCの著名人:ソウルシンガー マーヴィン・ゲイ

首都ワシントンDC生まれのソウルミュージシャンで、伝説のレーベル「モータウン」で活躍しました。『ホワッツ・ゴーイン・オン』など名曲を残しています。(1939~1984)

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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